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前日夜、南アフリカvsウェールズのテストマッチを観た。第1戦の大敗を受けて修正を加えてきたとはいえ、ウェールズは南アフリカの牙城を崩せずに終わった。終盤になるにつれ南アフリカの強さばかりが目立ち、シックスネイションズで欧州王者となったウェールズをもってしても2戦2敗。世界の巨塔の頂上ははるか雲の上にあるように思えた。 その南アフリカを相手に昨年のW杯で健闘したのがトンガである。6月15日、パシフィックネイションズカップ(以下PNC)第2戦で日本はトンガを迎え撃った。勝てない相手ではないが、場合によっては大敗もありうる。世界ランキングはトンガ12位、日本16位。勝ちたい気持ちを確実に結果としてあらわす能力(要するに実力)を問うには格好の相手だった。 PGの応酬から12×6とリードして前半を折り返す。前半は両者ともやや手探りの感。ジャパンの動きも堅かった。トンガはジャパンの攻撃起点、SOアレジ、左CTBニコラスにいいプレッシャーをかけていたように思う。連続攻撃がなかなか決まらない。 しかし、後半になって勢いに乗ったのはジャパン。後半の7分、左FL菊谷が好判断のグラバーキック。この球をFBウェブがタッチ際で生かし、ニコラスへ。タックルを受けたニコラスのそばには起点となった菊谷がきっちりとサポートについていた。オフロードパスを受けてインゴール左へトライ。このあたりからトンガの足が止まり、1人1人のカバーエリアが目立って狭くなってきた。飛び出してくるタックラーをいなして少しマークをズラせば、かんたんに穴があく。次々と加点し、35×13としてノーサイド。ホームであることを割り引かなければならないかもしれないが予想以上の点差、安心して観ていられるゲームだった。 この試合においてはトンガの不出来を指摘せずにはいられない。W杯メンバーも多く残っていたし、右FLラトゥ(NEC)、SOホラ(神戸製鋼)、bWフィリピーネ(日本IBM)といった怖さとスキルを十分に知っている面々がいまひとつ弾けなかった。攻守ともに直線的な動きが多いチームではあるが、キックへの反応、味方の判断に対するほかのプレーヤーの次の動きに鋭さがない。漫然とプレーしていた印象で、明確なプランがあまり感じられなかった。 この試合を観て思い出したのは、サッカーのW杯を前にした日本メディアの報道である。身体能力のなみ外れた外国に対して組織力が基盤の戦術に長けた日本、という構図が必ずといっていいほど描かれる。野性と知性の対決において最後は知性が競り勝つのではないか、という誘導は納得できる部分もあるとはいえ、個人的にはあまり好きではない。そして、それはラグビーにはあてはまらんのだ、といつも思う。どこの国も十分に組織的だからなのだが、この日のトンガはそうした日本のメディアが好む身体能力だけの未開人であった。本来の実力はこんなものではない。かなりムラのあるチームなのだろう。 しかし、実力がないとトンガには勝てない。現在の代表チームにはハートの熱さ、意識の高さを感じていて、それはこの試合にも十二分にあらわれていた。接点の攻防で体力負けしなくなり、個々の判断が非常に冴えるようになっている。確実に進化はしており、目標のPNC3勝に向けて視界は良好といっていいだろう。22日国立におけるフィジー戦は大注目だ。大量破壊兵器の右CTBと両WTBを封じながらどのようにゲームを組み立てるのか、興味は尽きない。ラインアウトの整備など急がれる課題もあるが、やれるという手応えは感じる。PNC出場の各国の中でいちばん伸びたといわれるチームがジャパンであるようなパフォーマンスを期待したい。 |
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