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help RSS 創部34年目摂南、歴史に刻まれる“同志社超え”の瞬間・関西大学ラグビー第2節摂南大学vs同志社大学

<<   作成日時 : 2009/10/06 00:33   >>

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画像 10月4日、大阪市東部の鶴見緑地へ行ってきた。快晴の空。思いのほか早く到着したので近隣を散策してみた。ひんやりとした空気が心地いい日陰と、歩いているうちに汗ばんでくる日なた。運動会の日の朝がこんな感じだった、と懐かしんでいると、近くの小学校から子供たちの歓声と拍手が聞こえてきた。門の外から校庭を覗くと、運動会の真っ最中。学校名を示すプレートには茨田(まった)の文字があった。サントリーサンゴリアスの清宮克幸監督は茨田高校出身。彼はこの近辺で育った人なのである。

 陽射しを遮るものが何もない鶴見緑地球技場のスタンド。陽だまりというには苛烈な陽光のもとに身を置きながら、やっぱり運動会の日の太陽だ、とつくづく思った。関西大学ラグビーAリーグは2試合が組まれている。第1試合は摂南大学vs同志社大学。先週、関学に敗れはしたものの接戦を演じた摂南と、最後まで集中力を切らさない厳粛な試合運びで大体に圧勝した同志社。ともにチーム状態は良好、楽しみな対戦だった。

画像 同志社のキックオフで午後0時、試合開始。2分、同志社がPGで3点を先制。摂南はbWイオンギ・シオエリ、左CTBトゥイネアウ・リシモリに他選手のスパイスがほどよくブレンドされたアタックで攻めたが、9分、同志社は敵陣ラックで摂南のオブザゲートによるペナルティを得た。30メートル前後、やや右から蹴ったSO橋野皓介のプレースキックのボールはポスト間を逸れ、インゴールで弾んでいる。プレーは続行だ。これを同志社の選手が押さえる珍しい形のトライ。コンバージョンも決まって0×10、同志社がリードを広げた。

 摂南は13分に反撃。SH森雄祐の素早いフラットパスが、一時交替のSO冨山拓朗の手を経て、リシモリのトライを導く。ゴール成功で7×10とすると、摂南は俄然勢いづいた。同志社の左CTB森田洋介のタッチキックがダイレクトになって得たラインアウトから展開。まずシオエリを縦へ。同志社はシオエリ1人に3人がかりだ。そこから森とSO池上広規の小気味いいコンビネーションを起点とする連続攻撃。このチャンスはノックオンで逃したが、20分、センターライン付近で森のパスを受けた右CTB山崎周がトイメンの右CTB西田悠人とのすれ違いで、一気に裏へ抜けた。サポートについた左FL見世大祐がインゴール右隅へ飛び込んで12×10。摂南、逆転である。

画像 見応えのある攻防が続いた。池上のハイパントをキャッチしたFB正海智大を急襲して鮮やかにターンオーバーすると摂南は、シオエリ、リシモリ、山崎、FB中澤勇人、ラインブレイカーたちによるパス回しで同志社を揺さぶるかと思えば、シオエリが単騎でドカン。防戦一方の同志社は相手が孤立気味のポイントに巧く絡み、ノットリリースザボールを誘ってピンチを凌いでいく。アタックに転じた同志社は、才能豊かなBKに左LO廣佐古大典や左PRチャン・ファユらFWの縦攻撃を入れるバリエーションを見せるが、摂南のディフェンスもしぶとい。両者のディフェンスにおける集中力が冴えた時間帯でもあった。

 28分、スクラムの8−9から展開されたボールを受けた同志社の右WTB大久保教全が快速を飛ばして大きくゲインした。止められはしたが、今度はSH小森光太郎が近場に走り込む右LO四至本侑城に短いパスをあわせる。焦った摂南はオーバーザトップの反則。クイックタップのbW村上丈祐が自らトライ。12×15、同志社が再びリードを奪った。

 33分、摂南はスクラムのサイドアタックでシオエリがフルスロットル。相手ディフェンダーをハンドオフで斥け、薙ぎ倒しながら30メートルの縦突進だ。そこからリシモリ、見世、右FL高田真平、中澤とパスがつながり、内へサポートランの池上がフィニッシュ。コンバージョンを決めて19×15とした摂南は、前半終了間際にリシモリが躍動した。39分は大久保のアンクルタップがギリギリのタイミングでリシモリの足元を刈る。インジャリータイムにはリシモリが裏へ絶妙のゴロキック。追った左WTB後藤弘樹の掌中には収まらなかったが、つながっていれば完全にトライのシーンだった。摂南が存分に暴れたという印象を与えたところで、前半終了の笛が鳴った。

画像 後半、同志社はSHに下平凌也を入れてきた。下平のボックスキックが好タッチとなって敵陣22メートルライン付近へ進むと、摂南ボールのラインアウトをスチールして連続攻撃。下平、森田、正海とボールが渡る。ここで正海はタックルに来た見世を荒々しいランで吹っ飛ばしたあと、華麗なステップで中澤を交わしてトライ。個人技を炸裂させた。9分にはこぼれ球へいい反応を見せた四至本がそのままインゴールへ持ち込む。2つのトライのコンバージョンもきっちり決め、同志社は19×29とした。同志社ディフェンスは摂南にいいプレッシャーをかけ、摂南の方は逆に足が鈍ってきた感じ。このまま同志社が突き放しにかかるかと思われた。

 だが、摂南もかんたんには引き下がらない。18分、FWに拘ってきた同志社の攻めを死力を振り絞って守る。そして21分、攻めに転じた中央付近の展開で、中澤がふわっといい位置へ飛び出してきてパスを受けた。右へ走りながら、相手ディフェンスを1人、2人と外し、最後は右WTB平良克秀が中央へ回り込んでトライ。ゴール成功で26×29、3点差へ詰め寄った。関学戦でも感じたが、1年生FB中澤にはセンスがある。

 27分、摂南は近場で好プレーを繰り出した。途中出場のSH石塚雄太(正月の花園で旋風を巻き起こした京都成章出身の1年生。1年後輩の湯浅と2枚看板のSHだった)のフラットパスに、高田がいい角度でスピードに乗ってきた。スパッと抜けたあとのフェーズはオーソドックスなBK攻撃。石塚、池上のつなぎから、最後は山崎が中央へ飛び込んだ。コンバージョンを加えて33×29。摂南はこの試合3度目の逆転である。

画像 残り10分。野望を抱く者にとって、短くも長い10分である。この時間帯を戦い抜けず、喉から手が出るほどほしかった金星を逃した者は過去数多。日本代表でさえ海を渡ればそうなのだ。4点差とされ、ターゲットをトライ1本に絞った同志社の猛攻が始まる。途中から同志社の優勢が顕著になったセットプレー、スクラムとラインアウトについては、もはや摂南は統御不能に陥っていた。33分、34分、同志社はハイタックルとノットリリースザボールを犯しておきながら、敵ボールのラインアウトをマイボールに。あっさり逆転しそうなムードだったが、ゴールラインを背にした摂南は一致団結して必死のディフェンス。36分のFWによる執拗な攻撃をなんとかアンプレイヤブルにして耐えた。その後、下平から橋野のパスが狂い、他の選手の陣形が乱れてボール確保の森田が孤立したノットリリースザボール、橋野がインゴールへ蹴ったボールに誰も反応していないなど、同志社に手痛いミスが出た。3分のインジャリータイムは正海の勝負、森田のアングルチェンジ、四至本の縦……同志社がフェーズを重ねて攻めまくったが、西田が痛恨のノックオンで万事休す。終盤のピンチを死守した摂南が創部34年目にして初めて“西の雄”同志社を破った。ノーサイドの瞬間、選手はピッチ上で喜びを爆発させたが、そうかと思えば歓喜のアクションが出ず、ただただ感涙に咽ぶ選手もいた。いい光景だった。歴史的瞬間に立ち会えた自分を幸福に思う。

 何度か摂南のラインブレイクを許した同志社。ちょっとしたアヤとでもいおうか、守備の重点の置きどころがズレた感があった。シオエリとリシモリをマークすれば他の選手に抜けられ、シオエリにボールを持たれると、その時だけマークが薄い、といったチグハグ。低いコンタクトをしているし、いいタックルもあったが、止め切るところまでは行かなかった。前に出るのなら倒し切る、でなければゾーンを広くケアーする、もう1ランク高度なディフェンスをする必要があった。攻撃に関しては、ところどころで出たミス以外に、もっと横幅を使って摂南ディフェンスを振り回してもよかった。同志社が展開した際の対応を見ると、摂南の守備は昨年の対戦時より格段に成長していると感じたが、「さすがだな」という同志社らしいトライは相手を萎縮させる効果があるようにも思うので……は、ダメ押しトライを取り切れなかったから思うことかな? 近場中心の攻めであと1つや2つはすぐに取れそうな感じもしたし、ここはむしろ縦のコンタクトに強い摂南を褒めるべきなのかもしれない。

画像 反対に、取り切る強さがあった、といえるのは摂南。関学戦の観戦記でも褒めちぎったが、bWシオエリと左CTBリシモリを絡めたうえで、されど2人だけに頼らない、という他選手の動きが抜群にいい。BK展開の局面になると絶好の位置どりで安定したパスをつなぐのが、右CTB山崎。彼のような選手がいるから、摂南はトライが取れる。BKではFB中澤、SO池上も絶好調、好プレーを再三見せた。見世、高田の両FLもシオエリの脇でいい仕事をしており、全員ラグビーのまとまりがもたらした勝利である。個人的MOMはともに1T、安定したゲームメイクの池上か山崎かで迷うところだが、バイプレーヤーぶりだけでなく、機転に利いた縦突破で好機を演出する活躍を評価して山崎としたい。摂南に苦言を呈するとすれば、後半、壊滅状態に近くなったセットプレー、とくにラインアウトをしっかり修正すること。この試合は負けずに済んだからよかったけれども、同じことを繰り返していると意外な相手に足元を掬われる危険がある。

 両校とも、試合日程がしばらく開く。次の試合は摂南が10月25日の天理戦、同志社が10月31日の京産戦である。それまでの期間、この試合の反省を次に生かすべく練習を積むことであろう。意識の高い両校だけに次の試合が楽しみである、とくに摂南はここ2戦を観る限り、関学、同志社と肩を並べるところまで来た印象。摂南が昨季、公式戦と大学選手権で連勝して分がいいと思える天理に慢心なく戦えるか、に注目したい。そこを勝てば、優勝争いに最後まで残るはず。台風の目から主役の一角へ。関西大学シーンは今、摂南が熱い。

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