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zoom RSS 子供の頃に立ち返る高校野球

<<   作成日時 : 2010/08/08 21:30   >>

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画像 夏の高校野球が始まった。

 高校野球に対する意識が変わるのは中学生になる頃ではないか、と思う。それまでプロ野球に等しい雲の上の存在だったのが、ある日突然、自分と立ち位置を同じくする存在に思えてくる。理由はかんたん。グラウンド上を駆ける球児たちと年齢が近くなるからだ。また、中学生くらいの年齢になると部活動が忙しかったり街を徘徊することを覚えたりで、小学生の頃みたいに昼食にそうめん、デザートにスイカを食べて、麦茶をお供にずーっとテレビ観戦している、というようなこともなくなる。どうだろう? もっとも印象に残っている高校野球シーンといえば小学生時代に観たあの試合、あの選手、という人が多数を占めているのではないだろうか。

 たとえば、PL学園といえば桑田、清原が1年生として登場する1983年から1985年、その翌年の立浪、片岡、野村、橋本のタレントを擁して全国制覇したあたりがもっとも輝いていた時代だと思う。ところが僕はその頃、中学1年から高校1年だった。彼らの凄さを認めるにしても、純粋な感動でいえばそれ以前のPL学園なのである。1978年夏に優勝した頃から桑田・清原時代が始まるまで。逆転勝ちが多く、“逆転のPL”と呼ばれていたのだった。PLのバッターは打席に入る前、ユニフォームの胸の下に入れたPL教のお守りを必ず握り締める。まだ子供だった僕は、あのお守りには奇跡を起こす不思議な力が宿っている、と信じて疑わなかった。

 僕は関西人なので当然、甲子園球場にも何度か出かけている。プロ野球の甲子園球場は一種独特の雰囲気があって鉄火場の雰囲気とでもいおうか、俺が、うちが阪神を勝たせたる、というふうに甲子園へ向かう阪神電車の中から意気込んだ表情の人が多いのだけれど(でも、とても楽しそう)、高校野球はといえば、まあのんびりしたものである。どちらのチームを応援するわけでもない、強いていえば判官びいきで負けているほう、となれば、ノンポリ客はのんびりしていて当然だ。

 そんな中、いまでも甲子園には、ガキだけで観に来ているグループがいると思う。そう、僕もかつてそういう子供だったのだ。小学校4年、5年ともなると、友達同士で甲子園へ行くようになる。外野席はタダ。当時、イエローシート、オレンジシートと呼ばれていた1、3塁の内野席だって、高校野球のときは600円で入れたと記憶している。どのみち懐にやさしい。それに、高校野球は教育の一環、神聖なものであると親たちもイメージしているから、子供だけの遠出が許されやすい、というのもあった。そこには、夏休みに入ってひと月弱、子供がずっと家にいるのがいいかげん鬱陶しいという気持ちが存在したかもしれない。

画像 先ほど、もっとも印象に残る高校野球シーンといえば小学生時代に観た選手、試合ではないか、と書いたが、実際に甲子園へ行っていまでも覚えていることといえばなぜか、友達とふざけ合っていた、とか、名物のカチ割りを買った、だったりする。子供時代の記憶なんて、そんなものか。しかし、同時期に観たプロ野球の試合は結構覚えている。結局これは、どちらを応援するわけでもないからあまり記憶に残っていないのだろう。

 高校野球を観に行った記憶でいま思い出すといえば、ほんとに妙なことなのだ。まっ先に浮かんだのは、近所のガキたちと一緒に始発電車に乗って出かけて梅田駅の改札をくぐったとき、40代後半くらいのオッサンに声を掛けられたこと。

 「甲子園? 高校野球? 君ら、なんでそんなん観に行くんや。ほかにやることがあるやろ。うちの息子たちはみんなアルバイトしてるよ。君らもアルバイトしなさい」

 おい、俺たち、まだ小学生だぞ。なんでそんな命令されなきゃならんのだ。その場ではふんふん黙って話を聞いていたが、電車に乗ったあと、

 「なんやねん、あのうるさいオッサンは!」

 と相成った。しかし、いま思い返してみると、なんとなく懐かしい香りがする。この時代はまだ、他人の子供に説教を垂れたがる大人というのがいたのだ。

 甲子園の駅を下りると、晴れた日であれば、たとえ真夏でも海から吹く風が爽やかに感じられるはず。プロ野球に関しては現在、チケットの入手難が続いているので、改装の済んだ甲子園を高校野球で見てみたい、と考えている人もいると思う。僕の経験からいうと、3塁側内野スタンド本塁寄りの銀傘の下、上段のほうはかなりお勧めである。1日中日陰で、海からの風を正面から受ける形になる。直射日光を浴びながら観るのとは雲泥の差。不意の夕立ちに遭ってもへっちゃらだ。

 夏の高校野球が始まると、どうしたって子供の頃に立ち返る。1979年夏、箕島vs星稜の延長18回、追いつ追われつの激闘は、母の田舎へ帰省していて今は亡き祖父と一緒に大興奮でテレビ観戦していた。そして、高校野球が終わり、新聞のテレビ面のNHKの欄が通常番組に戻ったときの一抹の淋しさと、同時に夏休みの宿題のことが頭に掠めたときの憂鬱……。

 それらを毎年のように思い出す。

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