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zoom RSS イングランド、芸術の域に達したディフェンス勝ち〜テストマッチ オーストラリアvsイングランド

<<   作成日時 : 2016/06/21 06:00   >>

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画像 18日、ワラビーズvsイングランドのテストマッチ、第2戦がおこなわれた。場所はレベルズがホームとするメルボルンのAAMIパーク。このスタジアムは芝の状態が悪いことで知られている。まるで苔の上で試合をしているような感じで、スクラムが組まれるたびに芝がごっそりとめくれあがっていた。スクラムはイングランドが3番側で内組み、相手1番を弾き出すとともに左側の1、2番が圧力をかける策で主導権を握っていたが、劣勢のワラビーズにとっては、相手が足を滑らせることが期待できる分、コンディションが悪いほうがありがたかったもしれない。こんな突飛なことを考えたのは、盗塁のスペシャリストとして鳴らした元阪急、福本豊氏の話を思い出したから。今はなき大阪球場、ビジターの南海戦で、1塁ベースの先、福本氏がリードをとるあたりが、水がたっぷりと撒かれてぬかるみ、盗塁のスタートが切りにくい状態になっていたそうな。また、牽制球を捕ってタッチする際、1塁手はファーストミットの網の部分で捕球してそのまま福本氏の脛へコツンとぶつけてきたという。現在のプロ野球ではそうした話をあまり聞かないが、マウンドに関してはホームチームの先発投手が投げやすい堅さに調整することがよくある。


   ☆ ☆ ☆

 【●オーストラリア(ワラビーズ)7×23イングランド○

 前半3分、イングランドは敵陣10メートルの位置でPKを得るとショットを選択した。左CTBオーウェン・ファレルのPGは右へ逸れて不成功。この反則は、ラインアウトの投入前、右PRセコペ・ケプが間隔を詰めて少し前に立っていた左LOマロ・イトジェを押したことによるもの。ラフプレーというほどのことはないけれども、スポーツマンシップに反するということなのだろう。好感の持てる笛だった(レフリーはクレイグ・ジュベールさん)。

 7分、ワラビーズはキックキャッチのFBマイク・ブラウンに左FLスコット・ファーディーがタックル、ノックオンを誘った敵陣10メートル右のスクラムを起点に連続攻撃。7次、9−10−2−13−11−14と左へ展開した。SOバーナード・フォーリーが相手に接近し、引きつけてから後ろへ放す形。端にスペースが残り、右WTBデイン・ハイレットペティが22メートル内へ入ったが、イングランドは右WTB(番号は11)ジャック・ノウェルとブラウンがカバーし、タッチへ押し出した。相手タッチキック後の9分、ワラビーズは敵陣22メートルでラインアウトとなお好機。しかし、イングランドの分厚い壁に阻まれ、11分にブレイクダウンでラフプレーを犯してしまった。イングランドはキックを主体にした手堅いゲームメイクで様子をうかがい、16分、ハーフウェイ左のスクラムから攻めた3次、SOジョージ・フォードが右裏へハイパントを蹴った。弾んだボールを右CTBジョナサン・ジョセフが手中に収め、敵陣22メートルでラックを作る。ノウェルが左サイドを突いたあと、9−1−5−12の左展開で右リターンパス、5番ジョージ・クラウスがクラッシュ。この攻撃に対しては、アンストラクチャー局面にもかかわらず、ワラビーズが早々に防御の数を揃え、きっちり対処した。イングランドは左ワンパスの縦を挟み、9−8−10と後ろを通して右へ展開、フォードが右へキックパスを蹴る。8と10のあいだにはファレルがデコイランナーで走り込んでいて、そこへ防御が寄ってスペースが発生するという目算があったと推測するが、ワラビーズはFBイズラエル・フォラウと左WTBロブ・ホーンが瞬時にカバー。キックパスをキャッチしたノウェルをすぐに倒した。ところが、フォラウがラック内の相手側で閉じ込められてしまってノットロールアウェイ。18分、イングランドはPKをタッチ、残り5メートルのラインアウトからトライを狙う。イトジェにスローを合わせたモールをドライブし、HOディラン・ハートリーが右中間でボールを押さえるトライ。コンバージョンも成功し、0×7と先制した。

 21分、イングランドはノットロールアウェイのPKにより、敵陣10メートルと22メートルの中間へ進出。4フェーズ目、フォードが右裏へキックを蹴った。弾んだボールを獲得したフォーリーをノウェルがタッチへ押し出し、敵陣22メートル過ぎでラインアウトとチャンス拡大。クラウスにスローを投入してモールを狙った。ワラビーズはファーディーが競りかけて着地と同時にクラウスを倒す。ボールが体の上にあってモールアンプレイヤブル。マイボールスクラムとしてピンチを脱出したワラビーズは、26分にキックカウンターのノウェルをホーンが倒し、右FLマイケル・フーパーが絡むノットリリースザボールのPKを得る。敵陣10メートルを越えた位置でラインアウト。ところがレシーバー、SHニック・フィップスが右へ放したパスが地を這い、受け手がノックオンした。そして直後のスクラムをコントロールされ、イリーガルホイールをとられてしまう。再び地域を制したイングランドは29分、倒れ込みのPGを追加。0×10とした。

 ワラビーズはこのリスタートを右へ蹴り、ハイレットペティがタップバック。bWショーン・マクマーンが敵陣22メートル内でボールを確保し、反撃機を迎えた。時折、ワンパスで走り込むアタックを交えながら、順目にスピーディーなパス回しでフェーズを重ねる。そしてノットロールアウェイのPKを得た33分、残り5メートルでラインアウト。出血交代で一時的に左LOへ入っていたディーン・マムにスローを合わせてモールを組み、いったん左のタッチへ出されそうになったものの、立て直して右内へコントロールした。34分、HOスティーブン・モーアが左中間へトライ。フォーリーのコンバージョンも決まり、7×10となった。

 38分、ワラビーズはキックキャッチのフォラウがカウンターランでハーフウェイまで前進したのを皮切りに連続攻撃。6次、9−2−12−15と左へ振り、フォラウが右リターンパスのオフロードパスを左CTBサム・ケレヴィへつないだ。先週の第1戦でイングランドの防御を何度も崩した、FWが1stレシーバーになる形である。ケレヴィが左へついたファーディーにパスを放したが、イングランドはブラウンがタックル&ジャッカル。ブレイクダウンのノックオンを誘う好守備により、自陣22メートル右端でスクラムを得た。ところが、前半終了まであと2、3秒残っているのにbWビリー・ヴニポラが真横へタッチキックを蹴り、ワラビーズにラインアウトをプレゼントしてしまう。思わぬチャンスがめぐってきたワラビーズは怒涛のアタックを仕掛け、ピッチを広く使いながらインゴールをうかがったが、43分、球出しのフィップスがSHベン・ヤングズとイトジェに捕まったあと、右CTBテヴィタ・クリンドラニがボールを拾い損ねてノックオン。イングランドの3点リードは変わらずに前半が終わった。

 後半のキックオフはイングランド。右LOサム・カーターがキャッチミスしたことにより、敵陣でマイボールとして右へ展開。ファレルが裏へグラバーキックを蹴った。直後の蹴り合いに勝って地域の優勢を保った5分にもヤングズが左奥へ好タッチキック、ワラビーズを自陣5メートル付近まで後退させた。しかし、ワラビーズはラインアウトに始まる2次、9−14と右へ回してハイレットペティが右裏へキック。B・ヴニポラが後逸したことによって、エリアをイーブンに戻したが、7分、キックカウンターの3次、右ワンパスのbWショーン・マクマーンがハートリーとクラウスのダブルタックルを浴びてノックオンした。ハーフウェイ右でスクラムを得たイングランドは4次、フォードが右裏へハイパント。ここでワラビーズはフォーリーがファレルのチェイスコースを妨害する反則を犯す。10分、イングランドは手堅くPGを刻んで7×13とした。

 ワラビーズはこのリスタートの蹴り返しをフォラウが確保し、敵陣22メートル近くまで前進。2フェーズ後、9−14と右の狭いほうへ回し、ハイレットペティがチップキック。イトジェの手に当たったボールを再獲得して裏へ出て、チャンスをつかんだ。6フェーズ後、9−10−15の右展開でフォラウがフーパーと重なりながらも右斜めラン。場内が大いに沸いたが、4フェーズ後、9−19の左、戦術的交代で登場していたマムが右PRダン・コールに倒されてノットリリースザボール。2人目のレースもへったくれもないくらい、左FLクリス・ロブショウに素早くジャッカルされたのだった。しかし、ワラビーズは16分、スクラムコラプシングのPKによって敵陣22メートルへ進出し、後方のファーディーへスローを投じたモールから9−12−10−15と左へ展開。右へ放したオフロードパスをクリンドラニが捕球したのを皮切りに攻め立てたが、7フェーズ目、9−10の左でフォーリーが落球した。次にワラビーズが好機をつかむのは20分。倒れ込みのPKを得て、敵陣22メートル手前でラインアウト。右順目を3フェーズののち、左へ戻して9−10、フォーリーがコールを外して前へ出る。直後、9−15−16の右展開、フォラウにHOへ入っていたタタフ・ポロタナウがスイッチでつないだのは、もっとも足が鈍る時間帯にさしかかり、イングランドの内側からのプッシュアウトが遅れていたので、いいアタックといえた。そして左順目を攻めた2フェーズ後、ショートサイドで9−11−6。ファーディーがタッチ際をゲインする。イングランドは順目へ回り込むのが遅れたものの、1、11、15が駆けつけてファーディーを寸前で止めた。ワラビーズは直後、9−5と右へ回し、カーターが左中間をうかがったが、ヘルドアップインゴール。21分、残り5メートル左のスクラムで仕切り直しとなった。しかし9−22の右、途中出場の左CTBクリスチャン・リアリイファノがノックバックし、ボールを拾い損ねてしまう。ノウェルがルーズボールを獲得したイングランドは14−15と左へ展開し、ブラウンが前進。ワラビーズはクリンドラニがブラウンを倒すと、リアリイファノがポイントを乗り越えた。ミスを取り返すターンオーバーで再び敵陣で攻撃権を得たワラビーズは24分、倒れ込みのPKにより、残り8メートルでラインアウトの絶好機。クリーンキャッチはできなかったものの、後方でボールを拾ったフーパーが左へ回り込むスワーブランで仕掛けたのを始まりにワンパスのアタックで縦を突いていく。しかし8次、9−10−15のフラットな右展開でフォラウが左PRマコ・ヴニポラと右FLジェームズ・ハスケルのダブルタックルを受けて落球。ロブショウのタッチキックにより、ハーフウェイ付近まで後退させられた。

 このラインアウトに始まる連続攻撃は7次、9−10−15−13の後ろを通した右展開でフォラウが詰めるフォードをハンドオフで外し、クリンドラニが前進と見せ場を作ったものの、左へ折り返した2フェーズ後、ワンパスのファーディーが右LOへ入っていたコートニー・ロウズのタックルを浴びてハンドリングエラー。またも、チャンスが潰れた。30分、イングランドは相手ノックオンによるハーフウェイやや右のスクラムから22−10と右へ展開し、フォードがワラビーズを22メートル内へ下げる好タッチキック。ラインアウトを起点とするワラビーズの2次、フォーリーのキックをイトジェがチャージダウンしたが、ボールはデッドへ。ドロップアウトで再開されると、イングランドはキックキャッチの3次、ボールを手に持ったアタックに執着せず、フォードが右裏へハイパントを蹴った。ワラビーズは自陣10メートルで途中出場のSHニック・フリスビーがイーブンボールを獲得し、連続攻撃。敵陣10メートル付近まで来たが、13フェーズ目、右ワンパスのファーディーがファレルとイトジェのダブルタックルによって落球した。イングランドは右FLへ入っていたジャック・クリフォードがルーズボールを拾い、18−19−20と左へ展開する。LOへ回ったロウズが敵陣10メートルへゲインし、ポップパス。捕球した途中出場のHOジェイミー・ジョージがピッチ中央でまっすぐ裏へキックを蹴った。34分、チェイスのファレルがゴール前に転がるボールをドリブルし、左ポスト下でグラウディングする貴重なトライ。ゴールの2点を併せ、7×20とした。ワラビーズはこのリスタートで再獲得を狙ったが、10メートルラインに達しないミス。ここで勝敗の行方が決した。39分にイングランドはスクラムコラプシングのPGを追加。7×23でワラビーズを破り、敵地で連勝、今シリーズの勝ち越しを決めた。




 ワラビーズは攻める時間がイングランドよりも圧倒的に長かったが、最後はミスか被ターンオーバーで終わるというパターンに終始。イングランドの堅い守りに阻まれた。前回の対戦時以上に防御ラインが整っていたイングランドを相手に、ワラビーズは決定的なオーバーラップを作ることができなかった。ただ、FWフェーズで前へ出られれば、最後に端のスペースが残るものである。そう考えると、フィジカルの劣勢が響いたという見方ができよう。もちろん、スクラムの劣勢も敗因に挙げられる。後半20分以降、守るイングランドの内側からのプッシュアウトが遅れ始めたタイミングで、ワラビーズは、第1戦では見せなかったSOの位置で内返しのパスを放すアタックを繰り出した。これを突破口にしてトライを取り切っていれば、流れが変わったかもしれない。ピックアッププレーヤーはハイレットペティ。織機にいたころ、ショーパブやラブホテル、トイレの芳香剤みたいな名前だと言い合ったものだが、彼はしぶといゲインもさることながらクオリティキックを担う存在でもある。フォーリーがパッサー、フォラウはランとオフロードパスを得意とするファンタジスタで、2人ともジェネラルキッカーとしては超のつく一流ではない。その分、質の高いキックを蹴ることのできる選手が必要とされる。この試合におけるハイレットペティの出来を見る限り、その役割を任せられそうだ。代表外の選手でほかにクオリティキックを期待できる存在として、前ブランビーズでモンペリエへ移籍したジェシー・モグ、レベルズのマイク・ハリスといったあたりが思い浮かぶが、WTBとしての走力が不足している。ジェームズ・オコナーが豪州国内にいると何かと問題を起こして海外を流浪する現況では、14番はハイレットペティに落ち着くのだろう。

 5フェーズを超えるアタックの数を比較すると、ワラビーズは13回、イングランドはたったの2回だった。それで16点差をつけて勝つのだから凄い。ミドルエリアでは、3フェーズでラインブレイクができないと判断したときはキックを蹴ってチェイス、という策で意思統一されていたようだ。フォードとファレル、優れたキッカーが2枚いて、イトジェというワールドクラスへ急成長したラインアウトジャンパーがいるだけに、キックを中心に敵陣でセットピースを得るゲームメイクは嵌まる。そして、特筆すべきはディフェンス。第1戦では後ろを通すアタック、とりわけFWが1stレシーバー、SOが2ndレシーバーとなる「プルバック」にまるで対応できなかったが、今回はSOにプレッシャーをかけられていたし、外側が上がる連動性もあった。それでもスペースが残った場合にはバッキングアップで急行する動きが速く、ブラウンにノウェル、ワトソンのバックスリー3人はワラビーズの「プルバック」を想定した練習をしてきたのではないだろうか。ふつう、ディフェンスが堅いチームというのは、どんなシステムを採用するにせよ、FLとCTBの守りが鉄壁で、ほかの選手が持ち場を離れることがあまりない傾向がある。しかし、今回のイングランドはプラスアルファとして、M・ヴニポラとダン・コールの運動量が傑出していた。連続攻撃を受けて最初に立ち遅れるのはたいていPRである。しかし、この2人のリロード(倒れたあと、立ち上がって配置につく動き)が図抜けて速く、いつも防御ラインに並んでタックルするばかりか、コールに至ってはジャッカルに入る2人目の働きも良好だった。これでは全然、ディフェンスに穴が空かない。これぞFLの鑑という守りで何度も好タックルを決めたハスケルのプレーもMOM級だが、M・ヴニポラとコールには惚れ惚れした。両PRがバックロー並みに動けてスクラムも強いとなれば鬼に金棒で、欧州内のPRとして現代ラグビーにもっともマッチした、一段階上のレベルへ昇華したといっても過言ではない。むろん、彼らだけでなく、全員のハードワークによる勝利であるのはいうまでもないが。とにかく、今回のイングランドの勝利には魅了された。5フェーズ以上の連続攻撃が2回だけ、巧みなキックでゲームの要所をコントロール、運動量とタックルの強さを存分に見せ、数的優位を作られずに守り勝って16点差をつけた内容は、芸術的でさえあった。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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