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zoom RSS 涙器→「金玉」……………(しりとりエッセイ)

<<   作成日時 : 2016/06/24 21:30   >>

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画像 金玉フェチの女性は意外に多い、と知人の男が言う。女性と一緒にお風呂へ入って湯船に浸かっていると、彼の金玉を触りながら、気持ちいい、という感想を洩らす女性が多いのだそうだ。

 僕たちがオッパイを触っていて気持ちいいのに似た、非日常的な独特の触り心地があるのかもしれない。また、この話を聞いて、湯船の中というのが肝なのではないか、と思った。金玉ではなくウンコの話になるけれども、辺見庸さんのエッセイ『フェティシズムとしての贅沢』(「反逆する風景」所収、鉄筆文庫)に、浴槽内における脱糞を愛好する経済官僚の話が出てくる。奥さんが子供を連れて帰省し、家で1人だけというときに敢行するそうだが、この浴槽脱糞官僚によれば、

 「体から臓物がズボッと抜けていく感じがして、ケツのあたりから世界がひっくり返るみたいにいいのよ」

 とのことである。想像するに、排出されたウンコが水圧と浮力によって肛門付近にしばしとどまる分、空気中で引力の影響を受けて瞬時に体から離れていくウンコにはない臓物感が得られるとともに、肛門へ押し返してくるようなわずかな力感が、世界がひっくり返るみたいな錯覚をもたらす――ということではないだろうか。官僚は、無重力の宇宙船内でウンコするのに似ているかもしれない、と言う。臓物感はないにせよ、浮力を得て湯の中をゆらゆらする金玉も、女性が触ってみれば、浴槽内のウンコと同様、無重力感が付加された心地よさがあるのだろう。

 しかし、よくよく知人の男の話を聞くと、金玉フェチの女性というのはみんな風俗嬢だった。全女性に占める金玉フェチの割合は稀有とも考えられる。風俗嬢が言うには、彼の金玉は大きくて立派ゆえに湯の中で触っていて気持ちいいのだそうだ。ひょっとして、暗に自慢してないか。銭湯などで他者のイチモツを目にしたとき、そのサイズを無意識的に自分のモノと比較してしまうことはある(外人のモノを見て、でけぇ!と驚愕するといった経験だ)。金玉に注意を払うことは少ないが、形態や大きさに明確な個人差があるような気がしないでもない。

 今、思い出したけれど、中学1年のときだったか、水泳の授業が終わって着替えていたところ、誰かが、

 「吉村の金玉がない!」

 と叫んだ。まだ6月で、プールの水が冷たかったから縮み上がってしまったのだろう。見ると、吉村君の金玉は体内に埋没、見事に消失していた。金玉が小さい人にはこういうことが起こりうると思う。

 金玉にまつわる話に、こんなのがある。中島らもさんのエッセイ『むさい奴』(「中島らものたまらん人々」所収、徳間文庫)に紹介されていたが、関学のアメフト部には「稲荷おとし」なる必殺技が代々伝わるそうな。それはいかなる技か。合宿先で起床時間になってもまだ眠っている奴の頭上に、下半身裸になった男が中腰でまたがり、腰を落としていきながら、寝ている相手の頬を叩いて起こす。寝ぼけまなこの相手の視界に迫ってくるのは金玉だ。そして、状況を把握できずに固まっている相手の両目をそのまま金玉で塞ぐのだという。ちなみにこのエッセイが書かれたのは30年くらい前。今でも関学のアメフト部に「稲荷おとし」の伝統が継承されているとは限らないことを、念のために付しておく。

 なぜ「稲荷おとし」なのかについては、もはや説明の必要はないかもしれない。2つまとめて袋に覆われた金玉の形が稲荷寿司に似ているからで、「お稲荷さん」という呼び方を耳にすることもままある。

 だが、それをいうなら睾丸を「金玉」と呼ぶことのほうがもっと不思議に思えてくる。井上章一さんが「性的なことば」(井上章一・斎藤光・澁谷知美・三橋順子=編 講談社現代新書)のあとがきに記されていたけれど、黄金かつ宝石を意味する熟語なのである。アメリカのプロレスラー間には急所攻撃をさす「ボールズ」という隠語があるらしいが、球形や、睾丸の名称にも使われている丸形を、神性を帯びたものとしてとらえる風習なら、古くから世界中に存在する。太陽や月を神として信仰の対象にするのもその一例だが、かといって睾丸に「金玉」という最高級の呼称を与えているのは日本人だけだろう。コントなんかで股間を強打したときに効果音として入るチーンという金属音は、名称が「金玉」であるからこそのチーンだと思われる。でも、この感覚は外国人には存在しないと思う。また、男性器を語るときに、陰茎やペニスよりもチンコ、チンポ、チンチンといった幼児語のほうが高い頻度で使用される理由は、根元にぶら下がっている「金玉」とチンという響きの親和性にある、とも考えられる。ひょっとすると、日本語にそこそこ通じた外国人の場合、コントで股間を打ったときの効果音、チーンを、金玉ではなくチンコに由来すると理解しているかもしれない。

 金玉。あらためて字面を見ると、古来より日本人が育んできた、春画等に見られる豊かな性文化がまざまざと投影されているように感じられる。




付記1 女性には「金玉」と言わず「タマタマ」と呼ぶ人が多いような気がする。同音を重ねた響きによって醸し出されるのは可愛らしさ。親愛の情がこもっているゆえの「タマタマ」なのだろう。

付記2 台湾のプロ野球にチン・キンポー(陳金峰)という名前の選手がいる。女子アナの読み間違いを期待せずにはいられない、実に危なっかしい名前だ。また、ヨーロッパのサイクルロードレース界のスターに、キンタナという選手がいる。同じ名前の人が昨年夏に来日したU18野球アメリカ代表にもいたけれど、甲子園のスコアボードには「クインタナ」と表示されていた。「キンタナやて。キンタマかと思ったわ」といった会話で客席が盛り上がるのを避ける目的があったと思われるが、こういう配慮は興ざめである。


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