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zoom RSS 経済効果→「彼氏」……………(しりとりエッセイ)

<<   作成日時 : 2016/08/22 21:30  

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画像 彼氏という言葉を広辞苑に当たると、「@彼。あの人。からかいや親しみの気持を含めていう語。A転じて、恋人や愛人である男性の意」と記されている。そこには、昭和初期の新造語である、と由来が明記されていた。昭和初期というからおそらく、和服の服装習慣をやめて洋服姿で街を闊歩した当時の流行の最先端、モダンガールと呼ばれた女性たちあたりが彼氏という言葉を使い始めたのではないだろうか。

 最初ははやり言葉みたいなものだったに違いない。それが現代まで生き永らえている。彼ではなく彼氏になると、氏という敬称がついているにもかかわらず女性が男性と対等になった印象を受ける。男女同権の流れが加速した以上、この言葉が滅亡するどころか隆盛を保つのは当然であろう。

 また、平成初期の人気テレビ番組、「ねるとん紅鯨団」の存在を指摘したくもなる。素人の男女が出演、合コンをして互いに気に入ればカップルになるという企画だったが、出演者のプロフィール紹介において、特定の交際相手がいない期間について彼女イナイ歴21年、彼氏イナイ歴2年といった形容が使われていた。ツーショット、大ドンデン返しといった流行語を生み出した「ねるとん紅鯨団」は、この時代の若者文化を牽引していたといっても過言ではない。下にイナイ歴が付されているとはいえ、この番組が彼氏という言葉の、本流としての地位を盤石にする役割を果たしたとはいえないか。

 その代わりに使用頻度が減ったのが、恋人である。最近ではJ−POPの歌詞でもとんと耳にしなくなり、ゴシップ記事の見出しでたまに「新恋人発覚!」といった形で見かけるくらいだ。今の時世、恋人は文学的な言い回しという印象を受けなくもない。こうした語感をいったん持ってしまうと、恋人という響きには、永遠の愛を誓わなければならないというような生真面目さ、堅苦しさを伴っているように思えてくる。結婚前に複数の異性との交際を経て、その中から最適と思われる相手を見つけてゴールインするパターンがあたりまえになったばかりか、交際理由の1番目はセックスの魅力という、いわゆるセフレの関係すら珍しくなくなったのが現代だ。恋人という言葉が廃れていくのもある意味、仕方のないことかもしれない。

 恋人とは反対に彼氏から醸し出されるのは、カジュアル感や軽さである。業界の隠語ふうの浮ついたアクセントで発声、文字を当てるのならカタカナのほうがしっくりくる「カレシ」になると、もはや存在非存在は重大事ではなく、すべては気分優先で関係を持ったり持たなかったりする放埓な一面さえ感じさせる。ついでにいうと、すっかりポピュラーになった元カレという言い方を、未練を込めて使う人はいないと思う。幽霊部員としてちょっとのあいだ在籍した大学サークルを語るような気軽さがある。これは離婚経験を表わすバツ1、バツ2にも当てはまり、たいていはクイズ番組で1問間違えただけというようなノリで使われている。男女関係をカジュアルに表現する新語はこれからも増えていくはずだ。

 少し話が逸れたけれども、恋人が彼氏に対して優勢を保っているケースがないこともない。それは「友達以上恋人未満」なる言い回し。「友達以上彼氏未満」にはない、尊敬の意が含まれているように感じられるが、なぜここにだけ恋人が生き続けているのか。その理由として、女性には、友情をベースに相手が女としての魅力も自身へ感じている――男の立場からいえば中途半端な――異性関係を構築するのが好きなタイプが多いから、と僕は推理している。そこで、ちょっと美しい、箔のついた表現にしてみたくて恋人という言葉を選択するのではないだろうか。ちなみに、男の多くが心の奥底でいつも身近に所有しておきたいと欲しているのは「セフレ以上恋人未満」である。もちろん、女性にも肉体の享楽を優先するタイプがいないわけではないが、男と比較すると少数派に違いない。これは、男と女の精神構造は違うといわれる所以の1つだと思う。

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