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みんなの「読書」ブログ

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未来のスタジアムを考えるにも好適な本〜「2020狂騒の東京オリンピック」(吉野次郎著・日経BP社)
未来のスタジアムを考えるにも好適な本〜「2020狂騒の東京オリンピック」(吉野次郎著・日経BP社)  僕は市場原理主義の過度な拡大に警戒心を抱いていて、一定の枠内にとどめておくべきだと考えている人間である。具体例を挙げれば、年間3万匹もの犬や猫が殺処分されている事実によってペット産業は“倫理的に”破綻している、と思う。また、どこもかしこも全国展開のチェーン店で溢れ返っている状況は、雇用を促進しているという意見もあろうが、大方は半ばブラック化した就業形態であり、売上が本社へ流れていくことを考慮すると、地域経済という点では貢献よりもマイナス要素のほうが大きい気がしてならず、同時に巧みな宣伝で自らを... ...続きを見る

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2016/06/22 21:30
いけず返しが心地よし〜「京都ぎらい」(井上章一著・朝日新書)
いけず返しが心地よし〜「京都ぎらい」(井上章一著・朝日新書)  京都人がさす京都の範囲がきわめて限定されていることは僕も承知している。以前、モーニング娘にいたころの中澤裕子さんが、京都出身であることをささやかながらアピールしていた時期があった。それをテレビでたまたま見た僕は、控えめにしておいたほうがいいよ、と思った。中澤さんは福知山出身。京都市内に住む人は、福知山出身者が京都人を名乗ることを許さないだろうから。 ...続きを見る

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2016/05/05 06:00
一級の資料、奇跡のバランス〜「増補版 時刻表昭和史」(宮脇俊三著・角川ソフィア文庫)
一級の資料、奇跡のバランス〜「増補版 時刻表昭和史」(宮脇俊三著・角川ソフィア文庫)  昭和8年、国鉄(現JR)渋谷駅の小荷物窓口の所に老いた秋田犬がいつも生気なく横臥していた。駅員や乗客から食べ物をもらっていたこの犬こそ、銅像にもなり、今に存在が伝えられるハチ公である。宮脇俊三さんは幼少のころ、飼い主が急死したあとも渋谷駅へ主人を迎えに行く習性が変わらなかったハチ公の姿をしょっちゅう見ていた。 ...続きを見る

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2015/11/12 21:30
ハーフタイムのコーヒーブレイク(118)〜藤島大さんの「人類のために。」を読みながら
ハーフタイムのコーヒーブレイク(118)〜藤島大さんの「人類のために。」を読みながら  藤島大さんのラグビーエッセー選集、「人類のためだ。」(鉄筆)の中に収められた『「暗黙の絶対」を捨てるな』の最後の一文に目を奪われた。藤島さんはラグビー精神を「性善説を前提とする絶対の価値」と記したうえで、こう書いていた。 ...続きを見る

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2015/09/11 21:30
三島由紀夫『実感的スポーツ論』を読んで思ったこと
三島由紀夫『実感的スポーツ論』を読んで思ったこと  先日、玉木正之さんが編まれた「彼らの奇蹟 傑作スポーツアンソロジー」(新潮文庫)の書評を当サイトへ発表した。その中に収められている、三島由紀夫が1964年に書いた『実感的スポーツ論』について、僕は、氏にしては心やさしい牧歌的な筆致がほの見えるのはスポーツが持つ力にほかならないのだ、と書いた。ここではまず、そのあたりを詳しく見ていきたい。文章を一部、引用する。 ...続きを見る

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2015/09/09 21:30
スポーツを読む醍醐味が凝縮した1冊〜「彼らの奇蹟 傑作スポーツアンソロジー」(玉木正之編・新潮文庫)
スポーツを読む醍醐味が凝縮した1冊〜「彼らの奇蹟 傑作スポーツアンソロジー」(玉木正之編・新潮文庫)  《優勝者のための国旗掲揚で国歌吹奏をとりやめようというブランデージ(註・当時のIOC会長)提案に私は賛成である。(略)/私は以前、日本人に希薄な民族意識、祖国意識をとり戻すのにオリンピックは良き機会であるようなことを書いたことがあるが、誤りであったと自戒している。/民族意識も結構ではあるが、その以前に、もっと大切なもの、すなわち、真の感動、人間的感動というものをオリンピックを通じて人々が知り直すことが希ましい》 ...続きを見る

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2015/08/25 21:30
ハーフタイムのコーヒーブレイク(116)
ハーフタイムのコーヒーブレイク(116)  「彼らの奇蹟 傑作スポーツアンソロジー」(玉木正之編・新潮文庫)を読んだ。いずれ書評を記すので詳細を述べるのはその機会に譲るが、スポーツの本質をとらえた評論あり、肉体が心を支配し、心が肉体を指揮せんとする双方向の関係を描き切った重厚なノンフィクションあり……文芸の粋に陶酔せずにはいられない作品が連続していた。昨今の「ビジネスに役立つナントカ」「○○の人間力」といったテーマで書かれるスポーツ本の、安直に答えをさし示すがゆえに露呈する底の浅さを、否応なく感じてしまうような珠玉の作品が集められていた... ...続きを見る

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2015/08/15 21:30
「国立競技場の100年 神宮外苑から見る日本の近代スポーツ」(後藤健生著・ミネルヴァ書房)
「国立競技場の100年 神宮外苑から見る日本の近代スポーツ」(後藤健生著・ミネルヴァ書房)  本書のあとがきで、著者の後藤健生さんが、こう記しておられる。国立競技場の通史のような本を読みたかったが、そのような本がなく、ならば自分で書くしかなかった、と。そこで新書版くらいの簡単な通史を、と考えて出版社の人間に何人か打診してみた。そのときは色よい返事がもらえなかったものの、ミネルヴァ書房の編集者との出会いにより、著者の企画は陽の目を見ることになった。 ...続きを見る

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2015/08/13 21:30
中学1年の少女を描く精緻さが光る〜「ミーナの行進」(小川洋子著・中公文庫)
中学1年の少女を描く精緻さが光る〜「ミーナの行進」(小川洋子著・中公文庫)  主人公の朋子は、わけあって中学1年生の1年間、親元を離れて飲料会社を経営する叔父の大邸宅で暮らすことになった。「ミーナの行進」はそこで過ごす日々、とくに1歳年下の病弱な従妹ミーナとの友情を描いた小説である。 ...続きを見る

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2015/08/04 21:30
毒舌の王道〜「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」(武田砂鉄著・朝日出版社)
毒舌の王道〜「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」(武田砂鉄著・朝日出版社)  中学生のころ、僕は、現在は芸能界の一線を退かれている上岡龍太郎さんに心酔していた。彼が出演するテレビやラジオを、それこそむさぼるように見聞きしたものである。なぜ惹かれたのか。それは上岡さんの、決してありきたりな角度では物事を見ない発言の数々に魅力を感じたからだ。今、咄嗟に思い出したのは、以下のような発言である。 ...続きを見る

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2015/07/15 21:30
秋のバス停にて、「暑い道」〜『わかれの船』(宮本輝編・光文社文庫)
秋のバス停にて、「暑い道」〜『わかれの船』(宮本輝編・光文社文庫)  宮本輝さんの小説、とりわけ短編は落語である。情緒に富み、思わず頬を緩む箇所があって、何事も角度を変えて見れば、別の場所が光輝いて映ることを教えてくれる。人生が、雪や宝石の結晶のように思えてくるのだ。 ...続きを見る

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2014/11/12 21:30
性を通じて知る昔日の庶民生活〜「夜這いの民俗学・夜這いの性愛論」(赤松啓介著・ちくま学芸文庫)
性を通じて知る昔日の庶民生活〜「夜這いの民俗学・夜這いの性愛論」(赤松啓介著・ちくま学芸文庫)  日本には男性器、女性器をかたどった偶像を崇拝する風習が各地に存在している。かねてから僕は、このことを不思議に感じていた。その多くは現在、安産の神、子宝の神とされているが、だからといって男性器や女性器をかたどったものを拝むのは飛躍しすぎ、正確にいえば元を辿りすぎではないか、と思っていたのである。 ...続きを見る

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2014/09/25 21:30
大人になって読み返したい星新一〜「天国からの道」(星新一著・新潮文庫)
大人になって読み返したい星新一〜「天国からの道」(星新一著・新潮文庫)  巻末の解説で新井素子さんが星新一さんについて、こんなことを書いている。〈星さんのお話の中には、何かとっても“深い”ものがある。勿論、子供の頃読んだって、それで充分面白いんだけれど、大人になってから、あるいは、中年になってから読んで、初めて、隠された面白さが判るようなものが。〉 ...続きを見る

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2014/08/21 21:30
本書自体が見事なお手本〜「縦横無尽の文章レッスン」(村田喜代子著・朝日文庫)
本書自体が見事なお手本〜「縦横無尽の文章レッスン」(村田喜代子著・朝日文庫)  世に文章の書き方を指南する本は数多ある。しかし、本書はその中でも白眉といえるのではないだろうか。 ...続きを見る

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2014/07/30 21:30
相撲→「うさぎ亭」……………(しりとりエッセイ)
相撲→「うさぎ亭」……………(しりとりエッセイ)  『うさぎ亭』と書いても、何のことだが、皆目わからない人も大勢いらっしゃるのではないだろうか。これは村上春樹さんの昔のエッセイ「『うさぎ亭』主人」(新潮文庫「はいほー!」収録)に書かれたメシ屋のことである。当時、村上さんがよくお昼を食べに行っていた店で、メニューは日替り定食とコロッケ定食の2種類しかない。噂によれば、ここの主人は元ヤクザで、昔の仲間とかかわりを持たないように閑静な住宅街に店を出し、口コミだけでひっそりと商売している、ということである。 ...続きを見る

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2014/02/15 21:30
物書き的良心
物書き的良心  ちょっとやわらかめのラグビーコラム、3本立てで構成される当サイト「ハーフタイムのコーヒーブレイク」bW9において、ラグビーの情景を歌ったユーミンのナンバー「ノーサイド」のことを書いたとき、関連する酒井順子さんのエッセイの文章を引用した。そこに、付記として僕はこう書き添えた。 ...続きを見る

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2014/01/29 21:30
プライベート→「トロッコ」……………(しりとりエッセイ)
プライベート→「トロッコ」……………(しりとりエッセイ)  芥川龍之介の小説に「トロッコ」という作品がある。新潮文庫の「蜘蛛の糸・杜子春」の中に収録されている9ページばかりの掌編だが、中学1年のとき、国語の授業で習って以来、僕はこの作品を愛読している。近くの鉄道工事現場に置いてあるトロッコに興味津々の少年がある日、作業員がトロッコを押すのを手伝い、ついでに乗せてもらう。かねてからの念願が叶って有頂天の少年。ところが思いのほか遠くへ来てしまって、現場へ泊まるという作業員と別れ、夕闇に追い立てられながら遠路を歩く帰り道は、孤独と恐怖に苛まれる。その様子を描... ...続きを見る

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2013/11/22 21:30
宮脇俊三さんを読むうちに思い出した種村直樹さんのこと
宮脇俊三さんを読むうちに思い出した種村直樹さんのこと  思春期にさしかかったころ、親と一緒に外出することを嫌った経験を、多くの人が持っていると思う。反抗期といってしまえばそれまでだが、そこには、自立心が芽生える中、外とのかかわりにおいて、自己と親を含めた家族よりも、自己という個人を優先させたがる心理が存在するのではないだろうか。だからこそ、この年代は友達関係がすべてであり、ここで抱えた深い悩みが家族の愛で癒されることは稀だといっていい。悩みを抱えつつも、家族に支えられてその時期をやり過ごした人は、決まってあとになって家族の愛に気づく。思春期というの... ...続きを見る

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2013/08/15 21:30
人間を描く宿命〜「歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―」(中村計著・新潮文庫)
人間を描く宿命〜「歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―」(中村計著・新潮文庫)  「甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―」「佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―」に続き、新潮文庫から中村計さんの3冊目の本「歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―」が刊行された。 ...続きを見る

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2013/07/30 21:30
野球における知性を描く傑作〜「マネーボール」(マイケル・ルイス著/中山宥訳[完全版]・早川書房)
野球における知性を描く傑作〜「マネーボール」(マイケル・ルイス著/中山宥訳[完全版]・早川書房)  貧乏球団がなぜ金満球団に負けない優秀な成績を残せるのか。その秘密は他球団が思いもよらなかったデータを駆使して、野球というゲームに勝つ近道を開拓したことにあった。そして、独自開発の「勝利の方程式」に当てはまる優秀な選手であるにもかかわらず、他球団が雑魚扱いしている選手を、安く買い集めてきた。ハヤカワノンフィクション文庫から出た本書は、資金が潤沢でないのにプレーオフ進出の常連となったオークランド・アスレチックスを詳細に追う。 ...続きを見る

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2013/07/23 21:30
帯の浅野温子さんに導かれ、椎名誠さんを読んで昭和軽薄体の文章も高潔だ!と思うのであった
帯の浅野温子さんに導かれ、椎名誠さんを読んで昭和軽薄体の文章も高潔だ!と思うのであった  書棚にあった椎名誠さんの「日本細末端真実紀行」を取り出した瞬間、僕は「やややっ!」と叫んでしまった。帯つきである。写真を見ればおわかりのように、そこにはまだ20代の浅野温子さんがいた。ワンレングスのロングヘアーを靡かせる浅野温子さんがあまりにカッコいいものだから、巷の、とりたててカッコよくもない女たちまでみんな同じ髪型にしちゃってバブルに浮かれる街を闊歩していた時代である。そこには、1989年、角川文庫、春のフェスティバル実施中と記されている。 ...続きを見る

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2013/07/11 21:30
底抜けにおかしくも示唆に富むロックなノリ〜「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著・本の雑誌社)
底抜けにおかしくも示唆に富むロックなノリ〜「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著・本の雑誌社)  ソマリアと聞いて我々日本人が連想するのは、内戦が絶えない、大飢饉に襲われた悲惨な国、といったところであろう。あるいは、自衛隊の派遣論議で話題になったソマリア海峡に出没する海賊か。ところが、日本におけるイメージがほとんど最悪といっていい彼の地の一角に、国際社会には認められていないものの、平和を維持する民主主義の独立国家が存在するらしい。 ...続きを見る

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2013/06/18 21:30
宮本輝さんのエッセイ集、「二十歳の火影」にほの見えるもの
宮本輝さんのエッセイ集、「二十歳の火影」にほの見えるもの  宮本輝さんのエッセイ集、「二十歳の火影」の中に、『雨やどり』というタイトルのエッセイがある。氏が広告代理店に勤めていたころ、雨に降られて地下街へ入り、中の本屋で文芸誌を手にとった。巻頭の短編小説がおもしろくなくて、次に大衆小説誌を読む。それらはたしかにおもしろかったけれども、三流のコピーライターである私の目を白黒させるようなとんでもない日本語で書かれていた、と記したあと、宮本さんは、次のように綴る。 ...続きを見る

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2013/01/16 21:30
自然と人間の共生を教唆する名文〜「ハチはなぜ大量死したのか」(ローワン・ジェイコブセン著 文春文庫)
自然と人間の共生を教唆する名文〜「ハチはなぜ大量死したのか」(ローワン・ジェイコブセン著 文春文庫)  先日、しりとりエッセイに「ミツバチ」というタイトルで一文を記した。実際に文章を書いたのは約半年前だったが、ブログ記事として掲載する日を前に、関連書籍として一級品にランクされる本に出会った。文章を一から書き直すだけのゆとりある時間を持てず、ほぞを噛む思いがしたが、その一級品の本、「ハチはなぜ大量死したのか」について、ここで記すことにする。 ...続きを見る

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2012/11/21 21:30
モノマネの元ネタを観る感じ〜「蜂蜜パイ」(「神の子どもたちはみな踊る」所収 村上春樹著・新潮文庫)
モノマネの元ネタを観る感じ〜「蜂蜜パイ」(「神の子どもたちはみな踊る」所収 村上春樹著・新潮文庫)  このあいだ、新聞に「あなたの好きな村上春樹(筆者注・以下、敬称略)の作品は何?」というアンケートの結果と、そこに寄せられた主だった声が、記事として掲載されていた。こういう企画を読むと当然、いちばん好きな村上作品は何だろうか、ということに思いを馳せる。ドッペルゲンゲル、つまり、もう1人の自分――影という言葉は村上作品のキーワードの1つだと思う――、あるいは自分の分身に近い、魂のふるさとを同じくするように感じられる人間との邂逅や結びつきを描く長編作品はみんな好きだし、その中でも「国境の南、太陽の西... ...続きを見る

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2012/11/15 21:30
在りし日の国鉄と豊かな旅情と時代の変遷と〜「時刻表2万キロ」(宮脇俊三著・河出文庫)
在りし日の国鉄と豊かな旅情と時代の変遷と〜「時刻表2万キロ」(宮脇俊三著・河出文庫)  日本ノンフィクション賞、新評賞を受賞した本書は、昭和の名随筆に違いない。耳に入ってくる、あるいは目に触れる評判から、そんなふうに認識していた。 ...続きを見る

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2012/10/31 21:30
強い言葉の快さ――文芸の魅力に満ちていた山際淳司さんの文章
強い言葉の快さ――文芸の魅力に満ちていた山際淳司さんの文章  先日UPした「神様じゃなくて人間が決めたことじゃないか」を書こうと思い立ったとき、すぐに、奇想天外なアイデアでエベレストの頂上征服を目論んだモーリス・ウィルソンの逸話を盛り込もう、と考えた。ウィルソンについて書かれていたのは、故・山際淳司さんの「みんな山が大好きだった」(中公文庫)。さっそく書棚から本を取り出して頁をめくったが、該当箇所を見つけるまでに、何度も手が止まった。ついつい引き込まれて、読み入ってしまうのだ。書き終わってから読もうな。自らに言い聞かせ、本来の作業に戻った。 ...続きを見る

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2012/08/30 21:30
問題作と謳いつつも読後感が清涼なのはなぜ?〜「モンスター」(百田尚樹著・幻冬舎文庫)
問題作と謳いつつも読後感が清涼なのはなぜ?〜「モンスター」(百田尚樹著・幻冬舎文庫)  「なんだかんだ言って外見より中身が大事。ハートだよ」 ...続きを見る

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2012/05/18 21:30
丹念な青春小説〜「プリズムの夏」(関口尚著・集英社文庫)
丹念な青春小説〜「プリズムの夏」(関口尚著・集英社文庫)  医師であり、すぐれたエッセイストでもある海原純子さんが巻末に、他者の追随を許さないような素晴らしい解説をお書きになっている。重複する部分がどうしても出てきてしまうのだが、読書エッセイという感じの力を抜いた気分でなら、自分もこの小説について何かを記そう、という気になった。 ...続きを見る

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2012/03/31 21:30
大切なことはすべて、この小説の中に詰まっている〜「永遠の0(ゼロ)」(百田尚樹著・講談社文庫)
大切なことはすべて、この小説の中に詰まっている〜「永遠の0(ゼロ)」(百田尚樹著・講談社文庫)  文学の目的は、と問われたとき、宮本輝さんは「人間にとって幸福とは何か、を考えること」だと答えた。故・児玉清さんは「日常生活の中ではめったに出逢えない感動的な出来事や素晴らしい人間と出逢うため」と、この本の巻末に寄せた解説文に記している。児玉さんは読書、とりわけ小説を読むことの効用を述べておられるのだが、文学の目的と解釈して差し支えないだろう。僕ごときがそこへしゃしゃり出るのはたいへん厚かましいけれど、つけ加えるとすれば、人間が“けったいな”生き物であることを知る、知らしめることが文学の目的であ... ...続きを見る

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2011/10/14 21:30
痛快活劇ノンフィクション〜「全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路」(松本修著・新潮文庫)
痛快活劇ノンフィクション〜「全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路」(松本修著・新潮文庫)  関東人は人を罵るとき「バカ」と言う。関西人は「アホ」だ。しかし、実は両方とも関西弁である。えっ?と疑問に思う人が多いだろう。理由を知りたければ、本書を読んでみよう。 ...続きを見る

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2011/09/06 21:30
「です・ます調」
「です・ます調」  「携帯のない青春」(酒井順子著・幻冬舎文庫)を読んだ。バブル世代の酒井さんの身を貫いた流行、風俗を、ご自身の経験をふんだんに交えながら豊饒な観察力、分析力を駆使、軽妙に綴っていくエッセイである。10代のころをふりかえって「自分に自信が全く無かったあの時代」と自虐的な表現を記しつつ、まるっきりひねくれていたわけでもなくて“大東京”の波頭をセービングする感覚にも優れているというバランスが、彼女の人気の秘密なのかな、と思う。テレビドラマにするのなら、中越典子さんが主演したベストセラー「負け犬の遠吠え... ...続きを見る

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2011/08/25 21:30
市民必読の1冊〜「報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪」(上杉隆 烏賀陽弘道・幻冬舎新書)
市民必読の1冊〜「報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪」(上杉隆 烏賀陽弘道・幻冬舎新書)  高校生、大学生のころ、角川文庫や新潮文庫に入っていた読売新聞大阪社会部のノンフィクションシリーズを愛読していた。故・黒田清さんが社会部長だった時期に出された本で、現在フリー、テレビのコメンテーターとしても活躍されている大谷昭宏さんも頻繁に登場する。このシリーズは現場の記者の姿が臨場感たっぷりに描かれていて、府警ボックスなどという言葉が本文中に飛び交い、読めば警察記者クラブがどのような存在であるかを知ることができた。だから、一般にはあまり知られていない(ことになっている)記者クラブについて、僕自... ...続きを見る

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2011/08/21 21:30
「もしドラ」を読むのが遅れた理由
「もしドラ」を読むのが遅れた理由  岩崎夏海さんが書いたベストセラー、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を買い、夢中になって読んだ。 ...続きを見る

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2011/08/19 21:30
佐渡さんの大ファンに自然、なってしまう〜「僕はいかにして指揮者になったのか」(佐渡裕著・新潮文庫)
佐渡さんの大ファンに自然、なってしまう〜「僕はいかにして指揮者になったのか」(佐渡裕著・新潮文庫)  事実は小説より奇なり。使い古されて陳腐化した感さえある言葉だけれど、本書を読むとあらためて、その言葉が目の前にドーンと聳え立つ。佐渡さんが指揮者になるまでの人との出会いが、運命的すぎるのである。こんなことってあるの、というくらい、オカルトめいている。あっ、そういえば本文中に佐渡さんの“指導霊”も登場していましたね。 ...続きを見る

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2011/07/17 21:30
同じ電車に乗り合わせて――目尻が下がり、口許が緩んでくる小説〜「阪急電車」(有川浩著・幻冬舎文庫)
同じ電車に乗り合わせて――目尻が下がり、口許が緩んでくる小説〜「阪急電車」(有川浩著・幻冬舎文庫)  ある土曜日の朝、電車に乗って外出した。隣に坐った女の子がバッグから文庫本を取り出す。何気なく横目で見たら、今回紹介する有川浩の「阪急電車」だった。そして、帰りの電車で吊り革に掴まった僕の前に坐る中年女性が読んでいたのも「阪急電車」。 ...続きを見る

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2010/11/14 21:30
真夜中に、スポーツノンフィクションを読み耽る
真夜中に、スポーツノンフィクションを読み耽る  幼いころであれば、もう子供は寝る時間よ、と言われた時間に、力尽きたように眠ってしまった。夜中に目が覚める。かなり良質な睡眠だったらしく、1度目が覚めると、頭がくっきりと冴えていた。もうひと寝入りしたいところだが――。 ...続きを見る

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2010/09/18 21:30
ふつうの人が何かを批評するときの3つの手法
ふつうの人が何かを批評するときの3つの手法  車の中でFMラジオを聴いていたところ、女性DJが公開中の映画「きな子」について、こんなふうに語り始めた。 ...続きを見る

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2010/08/27 21:30
快刀乱麻を断つ糞土師が行く〜「くう・ねる・のぐそ」(伊沢正名著・山と渓谷社)
快刀乱麻を断つ糞土師が行く〜「くう・ねる・のぐそ」(伊沢正名著・山と渓谷社)  2年前に書いたある記事の中に、僕はこんな一文を残している。 ...続きを見る

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2010/06/14 21:30
表現の自由inらもワールド
表現の自由inらもワールド  先日、宮本輝の「花の回廊」を読んで書評を記した(★参照)。同作品はシリーズ第5部。読んでいる最中、第1部からもう1度読み返したいという気持ちがむくむくと湧いてきて、すぐさま「流転の海」を書棚から引っぱり出してきた。あらためて、最初から順を追ってページをめくったのである。 ...続きを見る

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2010/06/05 21:30
そこはかとなく溢れる包容力〜「花の回廊」(宮本輝著・新潮文庫)
そこはかとなく溢れる包容力〜「花の回廊」(宮本輝著・新潮文庫)  宮本輝の「花の回廊」を堪能した。 ...続きを見る

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2010/05/19 21:30
アカデミックなエロ語解説書を読む
アカデミックなエロ語解説書を読む  何年か前、日本へ来て通訳の仕事をしている中国人女性と友達だった時期があった。ある時、彼女がこんなことを僕に訊いてきた。 ...続きを見る

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2010/03/16 21:30
後半2編に役者が登場・主人公はごくふつうの女性なのだ〜「強運の持ち主」(瀬尾まいこ著・文春文庫)
後半2編に役者が登場・主人公はごくふつうの女性なのだ〜「強運の持ち主」(瀬尾まいこ著・文春文庫)  占い師、ルイーズ吉田は元OL。上司と衝突して短大卒業後に勤めていた会社を半年で辞めたが、営業仕込みの巧みな話術を駆使して悩める人にアドバイスを送る毎日を過ごしている。彼女は断言する。この仕事は1人でできるのがいい、と。そして、同棲中の恋人、通彦はかつて相談に訪れた女性の彼氏。通彦が姓名判断、四柱推命、すべてにおいて最高の星のもとにあることを知ったルイーズは占いにかこつけて自分との相性のよさをアピールし、彼を相談者からぶんどってしまったのだった――。 ...続きを見る

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2010/02/09 00:47
これは「市民の言葉」である〜「単独発言 私はブッシュの敵である」(辺見庸著・角川文庫)
これは「市民の言葉」である〜「単独発言 私はブッシュの敵である」(辺見庸著・角川文庫)  昨秋から暮れにかけて新しく読んだ本を列挙してみる。新刊はない。書評というよりも読書エッセイのつもりで記した奥田英朗「港町食堂」と志水辰夫「情事」、本多勝一「北海道探検記」、山本文緒「落花流水」(これはおもしろかった。いつになるかはわからないけどいずれ書評を書きたいと思う)、梅原猛「黄泉の王――私見・高松塚」、松浦理英子「葬儀の日」、日高敏隆「人間はどこまで動物か」……。 ...続きを見る

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2010/01/28 00:29
アドレナリンなんて見たことない、に始まって
アドレナリンなんて見たことない、に始まって  テンションが高まった時の比喩として、アドレナリンが出た、と表現されることがある。そこで素朴な疑問を感じてしまった。 ...続きを見る

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2009/10/20 00:35
もう、ひねくれすぎ!
もう、ひねくれすぎ!  中島義道の『私の嫌いな10の言葉』(新潮文庫)をパラパラと読み返した。この中に僕の好きな話がある。某有名作家のエッセイに対する中島の毒づき。 ...続きを見る

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2009/08/26 23:42
夏休みの読書に……永遠のテーマ、家族〜『卵の緒』(瀬尾まいこ著・新潮文庫)
夏休みの読書に……永遠のテーマ、家族〜『卵の緒』(瀬尾まいこ著・新潮文庫)  読後やさしい気持ちになれることで評判の高い、瀬尾まいこのデビュー作である。表題作『卵の緒』の導入部が、巧い。 ...続きを見る

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2009/08/14 22:16
ここに描かれた組織が完全に過去のものとならんことを願う〜『沈まぬ太陽』(山崎豊子著・新潮文庫)
ここに描かれた組織が完全に過去のものとならんことを願う〜『沈まぬ太陽』(山崎豊子著・新潮文庫)  元ライブドア社長の堀江貴文氏が拘置所に収監されているあいだにこの小説を読み、いたく感銘を受けたという。特殊な環境に置かれた中で読む傑作に日常で読む場合よりも心を揺さぶられることは、往々にしてある。小説でなくても、人生の節目や忘れがたい経験をした時に聴いた曲が思い出の1曲になったりするから、堀江氏の心境を理解する人は結構多いのではないだろうか。 ...続きを見る

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2009/08/09 00:03
国家とは、報道とは、そして“沖縄とは”〜『運命の人』(山崎豊子著・文藝春秋) 
国家とは、報道とは、そして“沖縄とは”〜『運命の人』(山崎豊子著・文藝春秋)   沖縄がアメリカから返還されたのは1972年のこと。その前年に起こったのが、この小説のモデルとなった外務省機密文書漏洩事件である。その機密文書とは、本来アメリカ側が出すべき、民間人から取り上げた土地の復元補償費を、実際は日本側が肩代わりして出すことを示した極秘電信文だった。 ...続きを見る

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2009/07/31 00:01
読書の効用、愉しみ
読書の効用、愉しみ  村上春樹の最新長編小説「1Q84」が初版だけで100万部を突破、空前の勢いで売れているらしい。久々の新作ということで、新作を読む機会が限られている分、ファンが一斉に飛びつくのはよくわかるけれども、村上春樹の読者がこんなにいるのか、とあらためて驚倒する思いがした。かくいう僕も春樹ワールドの住人で、若い頃から折に触れ、村上春樹の小説を読んでいる。読むたびに新しい読み方を発見できるのが、氏の小説の魅力のひとつであろう。 ...続きを見る

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2009/06/17 01:00
知の泉を満たす『博士の愛した数式』の副読本〜『心は孤独な数学者』(藤原正彦著・文春文庫)
 最初手に取ったのは『天才の栄光と挫折 数学者列伝』(文春文庫)だった。その本には9人の数学者の生涯が綴られている。著者の藤原正彦氏自身数学者であるから、彼らの数学における偉大な業績を記すことなどは門前の小僧。しかしそれだけにとどまらない奥行きがあった。現地へ旅して彼らの足跡を追い、天才たちの人間性に触れて、彼らがふつうの人々以上に人間臭く、波乱万丈の人生を生きた人物であることを、精緻に書き尽くす。8人の数学者の劇的な人生のあとに最終章へ登場するのは、存命のアンドリュー・ワイルズ。20世紀最大の... ...続きを見る

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2009/06/03 00:57
巧くて可笑しくて、かわいい〜『制服概論』(酒井順子著・文春文庫)
 テレビなんかで発言するのを聞いて、なんかこの人虫が好かない、と感じてしまうと、その人が書いた本を手にする意欲がまったく失せてしまう、私。音楽であれば、発言と楽曲は別、という割り切りがしやすく、トークは嫌いだけど歌は好きという心理に比較的かんたんになれるのでしょうけれど、作家、それもエッセイや評論分野の人だと、それはその人の作風をうかがわせる発言であるので、ついついそういう偏狭な気持ちになってしまうのです。かくして、読書というものは、無理から意識しない限り、栄養学的知識に無知無学のヤンママが子供... ...続きを見る

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2009/05/20 00:36
近現代史の読み方を啓蒙する〜『あの戦争は何だったのか 大人たちの歴史教科書』(保坂正康著・新潮選書)
 本書は2008年暮れ、東条英機役にビートたけしを配してテレビ化された本である。ドラマもおもしろかったけど、原作となった本も負けず劣らずおもしろい。ドラマを観た人も、原作を読んでもう1度太平洋戦争について考察してみてはどうだろう。 ...続きを見る

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2009/04/15 23:58
問題作だと思う〜『避暑地の猫<新装版>』(宮本輝著・講談社文庫)
 宮本輝がデビュー作『泥の河』の創作秘話(?)を綴ったエッセイを読んだことがある。氏が幼年の頃、両親に買ってもらった刀を差して土佐堀川のほとりを歩いていると、通りすがりの男が、 ...続きを見る

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2009/04/09 00:41
日本のメディアにおける構造的欠陥を確認する〜『ジャーナリズム崩壊』(上杉隆著・幻冬舎新書)
 『官邸崩壊』(新潮社)が各方面から反響を読んだ新進気鋭のジャーナリストによるメディアレポートである。日本のメディアを告発する書、といっても差し支えないだろう。 ...続きを見る

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2009/04/05 21:23
正面から批判するためにはまずそのシステムを深く知ろう〜「大相撲の経済学」(中島隆信著・ちくま文庫)
 大相撲の世界において前々から疑問に思っていたことがある。それは相撲部屋の運営に関してである。その中でもとりわけ、お金の流れに興味を抱いていた。 ...続きを見る

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2009/03/05 00:41
書き手のスタンス……愛と人生を描くために〜『誰の中にでもいる彼』(蓮見圭一著・角川文庫)
 絶品の一皿だ。口に運ぶやいなや思わず唸ってしまう。それが合計7枚運ばれてきた。蓮見圭一の短編集『誰の中にでもいる彼』の読後感を率直に言い表せば、そんな感じになるだろう。それも鼻っ柱の強い料理人が作るような、身じろぎしてしまう味ではない。肩の力を抜いてフランクに楽しめる品々である。 ...続きを見る

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2009/02/11 00:50
大人のファンタジーを堪能する〜「ラストドリーム」(志水辰夫著・新潮文庫)
 志水辰夫著「ラストドリーム」について書こうと思い立った時、脳裏に託宣を下されたように降ってきた言葉は“大人のファンタジー”だった。 ...続きを見る

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2009/01/31 00:21
環境問題の思考トレーニング小説として、一読いかがでしょう〜「相剋の森」(熊谷達也著・集英社文庫)
 以前テレビで、岡山県の蒜山高原にある観光牧場が紹介されていた。放牧されている牛と触れ合うことができ、彼女たちから搾った牛乳で作られた乳製品を味わえ、アイスクリームの製造体験をすることもできるという。1度行ってみたい気分にさせられたのだが、番組の構成は、最後に蒜山牛のステーキを食べましょう、となっていた。いや、それはちょっと……。レポーターの女の子はおいしそうに肉を頬張っていたけれど、僕の心の中には釈然としないものがあった。ほのぼのした番組だったのに、結局はその牛たちを食べてしまうのか。 ...続きを見る

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2009/01/11 02:42
“教養書”まさにそのとおり〜「ウェブ炎上――ネット群集の暴走と可能性」(荻上チキ著・ちくま新書)
 荻上チキ著「ウェブ炎上――ネット群集の暴走と可能性」(ちくま新書)を読んだ。 ...続きを見る

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2008/11/21 23:57
中身の濃い短編の連続、後半2作品が沁みる〜『かなしぃ。』(蓮見圭一著・新潮文庫)を読む
 軽快なテンポのスキップを踏むような文体。読み易さの“易さ”はそのままやさしさにつながっている気がして、とりあえず読者を不機嫌にはさせない。ライター風情のサービス精神がふとした拍子に顔をのぞかせる現代の人気作家はおしなべて巧いと思う反面、どこか食い足りないと感じることもある。あくまで個人的な感想ではあるが。 ...続きを見る

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2008/11/19 00:04
“怪人”伊良部一郎と遊ぼう〜『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』(奥田英朗著・文春文庫)を読む
 自信を持ってお勧めする文庫2冊である。直木賞作家、奥田英朗がブレイクする原動力となった精神科医伊良部一郎シリーズだ。 ...続きを見る

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2008/11/13 00:27
一筋縄でいかない恋愛小説〜「太郎が恋をする頃までには…」(栗原美和子著・幻冬舎)を読んで
 栗原美和子さん。この人、小説も書くのか。へえー、と思った。彼女のことは詳しくは知らない。フジテレビのプロデューサーであることだけは知っていた。「ピュア」や「不信のとき」といったドラマのクレジットで名前を見た記憶があったからだ。プロデューサーの名前を無意識のうちに記憶にとどめているのだから、この2作品はドラマ衰退が囁かれるここ15年にあってハートに訴えかける何がしかの要素があったともいえる。 ...続きを見る

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2008/11/04 23:58
最近読んだ2冊の小説「坊っちゃん」「海と毒薬」
 夏目漱石の「坊っちゃん」を読んだ。 ...続きを見る

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2008/10/01 21:31
電車の中で読んじゃいけない作家、山田風太郎
 夜更けのハンバーガーショップで小腹を満たしていると、どこかからクツクツと笑い声が聞こえてきた。忍び笑いとも、ふつうの笑い声ともつかない中途半端な笑い声。周囲はひとり客ばかりである。いったい何を笑っているのだろう、と思って笑い主の男を見ると、彼は小型の液晶テレビを見て笑っているのだった。 ...続きを見る

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2008/08/19 23:22
神への違和感
 梅原猛の「神々の流竄」を読んだ。出雲神話の舞台は実は出雲ではなく大和であり、神話の語られる日本書紀や古事記は政治権力を磐石にするための作為が施された書物なのではないか、といった視点はなかなか興味深い。今となってはどんなに説得力を持ちえたとしても蓋然性の高い推論でしかないけれども、歴史書とされるこれらの書物が当時の政治状況と密接な関わりを持つことは間違いないだろう。 ...続きを見る

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2008/06/26 23:25
名作文学を味わう〜「博士の愛した数式」(小川洋子著・新潮文庫)
 家政婦である“私”が派遣されたのは80分しか記憶がもたない元数学博士の住むはなれ。彼の口から発せられることといえば常に数字がつきまとう。しかし、博士と私とその1人息子の3人のあいだには奇妙な親愛の情が芽生える。切ないけれど、その何倍も心がほかほかと温まる小説だ。 ...続きを見る

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2008/05/31 23:53
自由人の描く人間ドラマが物語の根幹をなす〜「半島を出よ」(村上龍著・幻冬舎文庫)
 北朝鮮の反乱軍を名乗る9人の武装兵士が観客を人質に福岡ドームを占拠する。その頃後続部隊は博多の雁の巣飛行場の跡地を目指して北朝鮮を飛び立っていた。あわせて500人の北朝鮮兵によって占領された福岡。そして12万人もの北朝鮮軍が日本海を渡って九州に上陸しようとしている――。 ...続きを見る

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2008/04/20 21:18
愛すべき人物、作家O・ヘンリー
 O・ヘンリーの短編集を読み返した。「最後の一葉」のように永久に読み継がれていくであろう名作もあるが、全体に冗漫で書き散らした印象の作品も多い。言葉遊びが多いようで、僕が読んだ日本語訳も訳者はずいぶん翻訳に苦労しただろうなと思わせるものだった。それにO・ヘンリーの作品を堪能するには当時のニューヨークを知っておく必要がある。ピンとこない作品も、実は結構多いのだ。 ...続きを見る

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2008/04/15 23:53
これはいい、何度も頷いてしまうラブストーリー〜「水曜の朝、午前三時」(蓮見圭一著・新潮文庫)
 夢中になって読み進めた。早く先が知りたい。もっと話を“聞かせて”。 ...続きを見る

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2008/03/09 11:22
年末年始のテレビと読書
 レコード大賞をチラッとだけ観た。過去の受賞者特集で松田聖子が「風立ちぬ」を歌っていた。曲は大滝詠一。大滝ファンの僕にとって、松田聖子の数多のヒット曲の中でももっとも好きな曲だ。財津和夫が「夏の扉」と「白いパラソル」を書き、ユーミンが「赤いスイートピー」を提供したこの頃の松田聖子は輝いている。ブリッコの陰の演出者はこれらの作詞を担当した松本隆ではないだろうか。太田裕美の時もそうだったが、松田聖子以外の誰にこのフレーズを歌わせられようか、という完全に“物語している”世界がいい。こういうアイドル歌手... ...続きを見る

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2008/01/06 01:24
人の話を聞くこと、村上春樹の「回転木馬のデッドヒート」を読みながら
 村上春樹の「回転木馬のデッドヒート」を読み返した。この本は小説ではなく、村上春樹自身が知人や取材先で知り合った人たちから聞いた話をほとんどそのままスケッチのように書き著したものだ。村上春樹は冒頭で、人の話を聞くのが好きだ、と書いている。 ...続きを見る

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2007/12/27 00:48
真率な生の物語〜「ここに地終わり 海始まる」(宮本輝著・講談社文庫)
 宮本輝の「ここに地終わり 海始まる」を再読した。 ...続きを見る

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2007/12/04 22:43
「グリコ森永事件最終報告書 真犯人」(森下香枝著・朝日新聞社)
 ラグビー観戦の帰り、難波の旭屋に寄った。以前読書日記に書いた「パニック・裸の王様」を読み返して、前回以上に開高健に強く惹かれた僕は「輝ける闇」と「夏の闇」を買ったのだった。 ...続きを見る

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2007/10/30 22:51
おもしろいぞ!〜「狂い」のすすめ・(ひろさちや著・集英社新書)
 最高気温が連日のように35度を超えたお盆の頃、クーラーの効いた部屋でふとある考えが浮かんだ。 ...続きを見る

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2007/09/29 21:40
読み込むべし――「グレート・ギャツビー」(スコット・フィッツジェラルド著・村上春樹訳・中央公論新社)
 村上春樹翻訳ライブラリーのシリーズとして発刊されたのが本書である。村上春樹の一連の作品を流行小説と同じようなつきあい方をしている人にとってはピンと来ないかもしれないが、彼が「グレート・ギャツビー」の翻訳を出す、これは居住まいを正して迎えるべき出来事であったりするのだ。 ...続きを見る

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2007/01/20 13:39
楽しみが増えた――「スクラム 駆け引きと勝負の謎を解く・松瀬学著(光文社新書)」
 僕のような競技経験のないラグビーファンにとって、FWの仕事ぶりというのはなかなか見えてこないものである。FWが次々とポイントを作る時よりもBKの選手が一気に縦を突いたり、華麗に展開してゲインする時の方がテレビのアナウンサーの声のトーンが明らかに上昇するものだから、BKの選手の名前の方が記憶に残りやすかったりする。密集の攻防でうまくボールに絡む選手を見つけることができるようになったけれど、本書のテーマであるスクラムに関しては、押した押されたの区別はつけど、微妙な駆け引きまではわからない。 ...続きを見る

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2007/01/02 22:07
あらためてプロレスを知る〜「日本プロレス帝国崩壊」(タダシ☆タナカ著・講談社α文庫)
 フィットネスクラブへ行く途中に立ち寄った書店で購入した本がこれである。本当は別に目あての本があったのだが見当たらず、小説2冊とともに購入した。 ...続きを見る

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2006/12/22 02:37
シンクロニシティ〜「ねじまき鳥クロニクル」・村上春樹(新潮文庫)
 村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を読む。何度目の読み返し作業になるのだろう、とふと考える。 ...続きを見る

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2006/11/13 23:58
とても素敵なお話――「Water」吉田修一(「最後の息子」[文春文庫]所収)
 短編小説集を読むと表題作でない作品がいちばんお気に入りだ、というケースが僕にはよくある。吉田修一の「最後の息子」の中に収められている3つの作品では、断然「Water」が好きだ。 ...続きを見る

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2006/10/05 10:56
男前な女ほど女っぽい――「宴のあと」三島由紀夫(新潮文庫)
 三島由紀夫の「宴のあと」を読んだ。 ...続きを見る

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2006/09/30 01:33
読んでラリッて、町田ワールド〜町田康「夫婦茶碗」(新潮文庫)
 古い言葉でいうとデカダン文学ということになるのだろうか。堕落、下降生活をかくも明るく書かれると気持ちいい。ギャグ満載でケタケタ笑い出してしまうシーンも数々。同文庫所収の「人間の屑」もめちゃくちゃおもしろい。電車の中で決して読んではいけない作家の1人である。 ...続きを見る

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2006/08/26 16:29
開高健「パニック・裸の王様」(新潮文庫)
 この文庫に収録されている中で、秦の始皇帝の絶対的統治下で長城建設にあたり、奴隷に等しい生活を強いられるさまを描いた「流亡記」は趣を異にするが、「パニック」「巨人と玩具」「裸の王様」の3点はある共通のテーマがある。それは人間の考える俗なシステムが自然に対峙した場合は無力で脆弱だということである。 ...続きを見る

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2006/08/23 22:22
辻仁成「太陽待ち」
 完熟の域に達し、読み応え十分の1冊である。いくつものテーマが開かれているので、読者によって深く印象づけられる部分、新鮮に感じる思想、新たに身につける思考が相当違ってくるのではないだろうか。 ...続きを見る

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2006/08/14 09:41
辻仁成「海峡の光」から
 これで何度目か定かではないが、辻仁成の「海峡の光」を読んだ。この作品が芥川賞を受賞したのは辻文学にとってあとから見ると明確な線引きがされて幸いだったように思う。硬質な文体が第一段階の完成を遂げた作品のように思うからである。現在は優艶さを加味されて神々しさを放つまでになっているが、デビュー作の「ピアニシモ」からここまで格段な成長を見せ続ける姿には感服せざるを得ない。高邁な努力家なのだろう。 ...続きを見る

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2006/07/13 04:38
三島由紀夫「美徳のよろめき」
 不倫など取るに足らない現代においてこの作品を読んで衝撃を受ける人はいないだろう。たとえばミステリーではあるが桐野夏生が描く戦慄をもって迫ってくる女の性と比較すれば、確かに“よろめき”と題名にあるとおりの甘ちゃんぶりだ。この小説を読むにあたって、のたうつ女の性に搏たれたい、という扉を開けて待っていては、期待する客人は入って来てはくれまい。 ...続きを見る

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2006/07/12 17:52
三島由紀夫「青の時代」
 この小説は戦後まもなく社会を騒がせた金融会社、光クラブの若社長、山崎晃嗣に材を求めた小説である。 ...続きを見る

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2006/07/04 23:01
「書きたい! 書けない!――なぜだろう?――」マリサ・デュバリ著・別所里織訳(愛育社)
 この本は映画のシナリオライターを志す人向けに書かれたものである。しかし、シナリオに興味のない人にも一読をお勧めする。一般にありがちなシナリオの書き方といった指南書とは一線を画すテクニック本で、そのテクニックたるや、相当におもしろく革新的だ。愛育社の夢を語るシリーズの中の1冊だが、このシリーズの名前にふさわしい、わくわくする書物である。 ...続きを見る

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2006/06/29 14:56
昆虫学者はおもしろい〜「虫の味」(八坂書房)
 今回の読書日記は八坂書房の「虫の味」。篠永哲、林晃史という2人の昆虫学者の共著で、ゴキブリ酒やミノムシの天ぷらを始め、数々の昆虫の料理と食味レポートが掲載されている。 ...続きを見る

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2006/06/29 14:48
「世田谷一家殺人事件〜侵入者たちの告白」を読んで
 これからしばらく三島由紀夫と辻仁成を集中して読んでやろうと思っていたところへ目に飛び込んできた新聞の出版広告。それが草思社の「世田谷一家殺人事件〜侵入者たちの告白」だった。未解決事件の犯人を追うノンフィクションは好きな分野なのでさっそく書店へ走り、真夜中に3時間余りで一気に読み終えた。 ...続きを見る

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2006/06/29 01:50
「ティファニーで朝食を」を読む
 カポーティの「ティファニーで朝食を」を読んだ。 ...続きを見る

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2006/03/25 00:22

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