ワールド、花園に散る・トップウエスト順位決定戦、豊田自動織機vsワールド~花園

画像 12月14日、花園ではTL第9節、トヨタvsサニックスの試合がおこなわれたが(観戦記はhttp://nagisatei.at.webry.info/200812/article_9.html参照)、その前、第1試合に組まれていたのはトップウエスト(以下TW)の順位決定戦だった。リーグ戦上位3チームが総当たりで戦い、最終順位が決まる。

 ここでTL昇格チームの決定方法について記しておこう。トップイースト(以下TE)、TW、トップキュウシュウ(以下TK)の1位チームが集った<トップチャレンジ1>という総当たりリーグ戦の1位、2位チームは自動的にTLへと昇格する。<トップチャレンジ1>の3位は総合3位としてTL12位のチームと入れ換え戦をおこなう。

 そして、TE、TW、TKの2位チーム同士による総当たりリーグ戦は<トップチャレンジ2>。このリーグ戦で1位となったチームは総合4位という格付けでTL11位チームと入れ換え戦に臨むのである。

画像 下部リーグからTLへ昇格したければ、所属するリーグにおいて1位になり<トップチャレンジ1>に進むことが近道である。だから、TWの順位決定戦はどのチームも血眼だ。この日は2位通過の豊田自動織機(以下織機)と3位通過のワールドファイティングブルの試合。とくに6日に1位通過のホンダヒートに敗れているワールドは背水の陣である。

 バックスタンドからもっとも遠い正面タッチ際の密集プレーにおいて、背中のナンバーが見えなくともそれが誰であるかすぐに判別できる選手がいた。織機の№8斉藤裕也である。明治から神戸製鋼へ進み、ジャパンに選ばれたこともあるという華々しい経歴を持つ。もう1度TLで、と思うファンは多いはずだ。ワールドのSOには現在のジャパンのSOショーン・ウェブがいる。元神戸が2人……と思ったら織機のFBには大門隼人。神戸にいた選手は両チームの先発メンバーに3人含まれていた。

画像 織機のキックオフで試合開始。2分、織機のスクラムコラプシングからのPKでワールドが敵陣へ進み、チャンスを迎えた。SHイ・ミョングン、ウェブのHB団を軸にFWもライン参加してさかんにボールを動かす。ウェブに対するレイトチャージで得たペナルティでスクラムを選択すると、イからウェブ、右CTB織田己知範、ループで再びウェブ、左CTB中矢健とボールがつながってトライを先制した。

 しかし10分に織機はSOマレー・ウィリアムスのPGで3×5とすると反撃開始。しばしばターンオーバーを許すものの、3列の強さとウィリアムス、左CTBニック・コリンズを中心としたBK展開を合体させ、ピッチを幅広く使う。ワールドディフェンスの近場に対する意識が薄い中、23分、密集から右FL高田裕雅が抜け出してインゴールへ。8×5とした。28分には斉藤が起点、コリンズ、小山智成の両CTBが機能して右WTB赤石斉之を完全に余らせ、トライを導いた。

画像 このあたりのワールドのディフェンスには問題があり、各選手の戻りの遅さが散見された。また狭い地域しかカバーできず、それでいて近場を抜かれるシーンも多々あった。そんな状況のもと、№8ジョージ・スタワーズのトライとコンバージョン成功で13×12の1点差に詰め寄って前半を終えることができたのは幸いだった。

 織機はスクラムこそ劣勢だったものの、やりたいプレーはできていたのではないかと思わせる出来。ボールキャリアーに対するコンタクト姿勢が低く、足元へよく絡んでいた点に好感が持てた。

 後半にペースを掴んだのは織機。相手反則からクイックリスタートを仕掛けた斉藤がパスダミーからあっさり抜け出してトライ。神戸の伊藤剛臣もこんなんさしたら巧いよなァ、というプレーである。コンバージョンに成功して20×12とすると、6分、相手ボールラインアウトをスチールしたのを皮切りにチャンスを作る。ラックからSH吉田正明、大門と展開すると、左WTB南岳人(これは間違っているかもしれない。だとしたらごめんなさい)はまったくのフリーだった。このトライで25×12、リードを広げた。

画像 負けられないワールドは相手キックを左WTB沼田邦光がキャッチしたのを起点に連続攻撃。FW1列もライン参加したアタックで左PR前川賢司がトライを挙げ、コンバージョン成功で25×19に迫ると、俄然一体感が出てきた。17分以降のピンチを執念と集中力で守り抜く。織機は攻め続けたにもかかわらず、ワールドのプレッシャーに耐えかねてミスを連発。静止状態でパスを受けるシーンが増え、それまでの躍動感が萎んでしまっていた。

 このいい流れをワールドは絶対に渡すわけにはいかない。ウェブに替わって途中出場のジョセフ・ヴァカが巨体に似合わぬ軽快な身のこなしで正面タッチ際を大きくゲインすると、スタンドにはウォーッというどよめきが谺した。38分からは敵陣へ。最後の力をふり絞ってひたすらに攻める。FBで先発、ウェブがピッチを去ったあとはSOの位置に入った由良康美がゴールラインに迫るも織機のディフェンダーに捕まる。惜しい、と思った瞬間、疾風のごとくサポートに現われたのは中矢だった。このパスがつながってポスト下へトライ。コンバージョン成功で25×26、大逆転である。冷静に観ていた僕も思わず声が出た。

画像 しかし、である。4分間のロスタイムに運命は暗転してしまう。ジリジリと時間が経過する中、ワールドは自陣でペナルティを犯してしまった。ここで織機はショット選択をレフリーに告げた。

 キッカーはウィリアムス。この日のゴール成功は2/5、ヒットしていない印象があった。距離も角度もあるショットだったので外れる確率の方が高いと思いながら観ていたが、ウィリアムスの右足から蹴り出されたボールはポスト間へと吸い込まれていった。アシスタントレフリーの旗が上がった瞬間、織機の選手はピッチ上で跳ね躍って喜びを爆発させた。同時にそれは、ワールドのTL再昇格の望みが絶たれた瞬間でもあった。

画像 ワールドは来季から社員選手のみによるメンバー構成としてラグビー部を縮小させることをすでに発表し、TLを中心とするラグビーシーンから事実上撤退することが決定している。そのあたりは「ワールドファイティングブル“縮小”に思う」(http://nagisatei.at.webry.info/200809/article_6.html参照)にも記したが、全力でプレーする選手には失礼ながら、観ている側としては、TL昇格を左右するこの試合でワールドを応援する気がどこか萎えた。しかし中矢、沼田、由良、途中出場のSH長田剛といった面々を観ているうち、彼らのプレーを上のレベルで観たいという欲求が生じてきた。さらに外国人選手、ウェブにヴァカといったあたりはどこのチームも触手を伸ばしたくなる存在である。ワールドの選手は何人かが他チームへ移籍すると思われる。

 全体としては、両チームとも80分間の中における浮き沈みが目立つかな、と感じた。織機も後半になってディフェンスに穴が開く時間帯が続き、TLを目指すチームとして修正すべきはその点である。記事中で触れたように織機が仕掛けるFW3列の攻撃は脅威。ここまで名前を出さなかった左FLフォラス愛世の破壊力も魅力。この選手はスピンを巧みに使う器用さがある。そしてウィリアムス、コリンズのセンターラインは常に事を起こす。ボールキャリアーが立ってプレーすることを心がけ、同時にサポートプレーヤーの寄りを確実にしてオフロードがつながれば、と思った。そんな中、SH吉田正明の名を記憶にとどめておきたい。長いパスを安定して投げる。ちょっと気になる関東学院大出身のハーフだ。

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