負けてたまるか! コーラ、後半に意地の猛追・TL第12節 コカコーラウエストvsトヨタ自動車~花園

画像 1月28日、TL第12節。花園の第1試合は、コカコーラウエストレッドスパークスvsトヨタ自動車ヴェルブリッツの1戦。試合前の段階において、13位と10位の対戦である。コーラは下位2チームが憂き目に遭う自動降格圏脱出を賭け、トヨタは日本選手権のワイルドカードトーナメント出場資格を得られる8位浮上へ向け、お互いに絶対負けられない試合だった。なお、コーラはHOで有田隆平、左FLで有田将太が先発し、トヨタの左WTBには有田啓介。3兄弟が敵味方に分かれて戦うのは、TL史上初のことだった。

 コーラのキックオフで試合開始。前半1分、コーラが幸先良く先制する。接点の攻防でトヨタにノックオンがあり、敵陣10メートルと22メートルのあいだでスクラム。8-9プレーで、SH香月武は右へ回り込んだ。№8ジョニー・ファアマトゥアイヌが防御を引きつけながら、右手1本のバックパス。香月はギャップをきれいに抜け、右WTB遠藤幸佑をステップで外すトライ。コンバージョンも決まり、7×0とした。

 入りにいいパンチをもらったトヨタだったが、次第に本来のリズムを取り戻していく。6分、コーラのオフサイドで得た敵陣深くのラインアウトこそ、モールを形成しようとして手渡しにミス、ノックオンしてしまったものの、7分、敵陣22メートル地点のラインアウトはきっちり。ズラしながら前進したあと、左FLヘイデン・ホップグッドが縦を突いた。この動きにコーラの防御は完全に内へ寄せられ、トヨタは右方向のツーパスでディフェンダーを切る。SH麻田一平-SOスティーブン・ブレット-左CTB山内貴之による、テンポのいいパス回し。山内が中央へフィニッシュ、ゴールも成功したあと、12分、攻め込んだ局面でコーラの連続ペナルティにつけ込み、残り5メートル地点でラインアウトモール。左へドライブすると、右ショートサイドのディフェンスがガラ空きになった。№8菊谷崇がその隙を突き、右隅へトライ。7×12。

画像 直後の16分、相手キックをブレットが処理したあと左へ展開。左LO杉本晃一、菊谷がランで仕掛けながらつなぎ、菊谷が対峙するFB松岡元気を吸引する「間」を伴って、隅につく有田へパスした。このタイミングはベスト。菊谷のセンスが光るプレーだった。目前に道が開けた有田はインゴールまで快走したが、ボールを放したあと、菊谷が松岡を突き飛ばしてしまい、このトライは無効となった。しかし、勢いを感じるのは明らかにトヨタ。19分、コーラのペナルティでスクラムを選択すると、またもや敵陣を席巻した。21分、ディフェンスラインを鋭く押し上げ、左LO川下修平がブレットを止めたポイントでターンオーバーに成功するなど、コーラも抵抗は見せたが、蹴り返したボールは遠藤の守備範囲。カウンターランを起点にしたチャンスを与えてしまった。22分、菊谷がパスアウト、ブレットと左PR中村嘉樹の連係でループを使った左展開で、山内が右PR阿比留健二郎を外してゲイン、右FL草下怜につないで、インゴールへにじり寄った。右PR伊東秀剛のチャンネル1のあと、ボールを持ち出した菊谷がギャップをすり抜けるように斜め走り、巧みなコースどりで裏へ出て、左中間へ飛び込んだ。

 まだ自陣だから不正解ではないとはいえ、相手ボールを奪う好守備の直後にキックを蹴ってしまい、カウンターでトヨタに仕留められたケースが、コーラはここまでに2度あった。蹴り合ったときも、チャンスを切り拓くのは必ずトヨタ。キックの使い方に拙さを感じないでもなかった。25分も、松岡のショートパントをキャッチした山内を起点にトヨタは右へ展開する。FB松下馨-ブレット-ホップグッド-右CTBスティーブン・イェーツ。イェーツが正面タッチ際をゲインしたのち、内側へサポートしたブレットへオフロードパスが通ったが、香月と右CTB徳住茂久のタックルを受けて、寸前でノックオン。コーラはひとまず命拾いしたものの、なおも自陣へ釘づけ。28分、ブレットは右に待つ遠藤へキックパス。遠藤はワンバウンドでボールを掌中へ入れ、その内側へ絶妙のタイミング、コースで山内が走り込んだが、ノックオン。トヨタは、トライチャンスを2度続けて逸した。

画像 このコーラボールのスクラムでトヨタにペナルティがあり、コーラはファアマトゥアイヌがクイックタップで仕掛けた。30メートル超のビッグゲイン。久々に敵陣22メートルの中へ攻め入った。しかし4フェーズ目、香月から有田隆へのパスがスローフォワード。このプレーにより、流れは再びトヨタへ傾いた。34分、トヨタは敵陣22メートル地点のラインアウトから、ホップグッドにスローを合わせ、麻田、ブレッド、後ろを通して遠藤と、左へ大きくボールを動かした。あいだには、有田と山内がデコイランナー。遠藤が徳住を外して力強いゲイン、左WTB築城昌拓(14番をつけていたが常に左側にいた)のタックルに捕らえられたあと、麻田は左ショートサイドへパスアウト。コーラは松岡がインターセプトを狙って飛び出したが、ボールは手元からこぼれ落ちてしまった。35分、トヨタはピッチ左、残り5メートルライン手前でスクラム。麻田のパスを受けたブレットが、内から外へ流れる防御ラインの動きを正確に見据え、その逆を突くカットインで中央へトライを挙げた。ゴール成功を併せ、7×26に。

 有田兄弟のマッチアップは、このリスタートキック直後に見られた。キックキャッチは菊谷。パスを受けた兄・啓介の懐へ、弟・隆平が渾身のタックルを突き刺す。コーラはトヨタが蹴り返したボールをキャッチした右WTB豊田耕太郎から右LOアンガス・マクドナルド、もう1度豊田耕。しかし、前を詰めてきたHO上野隆太の姿が目に入ったのか、豊田耕はノックオンしてしまった。マイボールとしてアタックに転じたトヨタは右オープンへ展開、こちら側には3対1の完全なオーバーラップができあがっていた。イェーツがスペースを疾走して右隅へトライ。コンバージョンも決まり、7×33として、前半を終えた。

画像 トヨタはハンドリングエラーがところどころ目についたが、前へ出る力でコーラを圧倒した。シンプルに縦へ出ながらボールを動かす、昨年の姿に近い。NTTコム戦は凝りすぎて失敗したが、トヨタにはやはり、難しすぎないアタックに個々が旨味を加えるくらいがちょうどいい。先週のヤマハ戦で苦労したラインアウトについては、改善が見られていた。コーラのほうは、防御の出足が良好で、ときおり好守備にハッとさせられるものの、戻りながらのディフェンスに甘さを感じた。もちろんこれは、トヨタのボールキャリアーが強くて縦の攻撃にズルズルとつき合わざるを得ず、バッキングアップがどうしても遅れるからではあったが。

 後半、コーラは風上に回り、敵陣へ入るシーンが増えた。8分、トヨタの連続ペナルティで敵陣22メートルの中へ進んだラインアウトは、サイン違いか、有田隆の狙いがショートスローなのに味方は15メートルライン寄りへ下がってしまい、地面に向かって投擲された格好。リカバーでノックオンが発生し、相手のスクラムとなったが、菊谷にSOウェブ将武が絡んで、ノットリリースザボールに陥れる。途中出場の右LOエロネ・タキタキがクイックタップ。いったんは有田にインターセプトされたものの、タッチとなり、コーラは依然として敵陣でラインアウト。チャンスが続いた。1フェーズ目はモール、途中出場の右PR平原大敬がチャンネル1を突いたあと、ウェブと徳住のループで左へ振ってから、今度は右へ。SHに入っていた築城康拓がテンポよくさばき、有田隆-川下-途中出場の№8豊田将万のつなぎで、右隅へフィニッシュ。右側に4対2のオーバーラップを巧みに作り上げた、戦略的なトライでもあった。

画像 トヨタは10分にオレニ・アイイがピッチへ登場してSOに入り、ブレットが左CTBという強力なホットラインを形成していた。しかし、主導権を握っていたのは、終始コーラだった。14分、FBへ回っていたイェーツのキックに、途中出場の左WTBレレア・パエアが猛然とプレッシャーをかけて弾道を変えさせ、14分、コーラは敵陣22メートル地点でラインアウトを得た。右へ左へ、ボールを動かしたあとの3フェーズ目、ウェブのそばへ、左CTBティム・ベイトマンが寄って至近距離でパスをもらい、ステップを切って中央へ抜けた。ピッチを広く使いながら相手防御の隙を目ざとく狙ったトライ。コーラが目指すラグビーを見た気がした。コンバージョンも連続成功、21×33とした。

 コーラの特徴は、次のアタックにもよく表われていた。菊谷のノックオンで得た、敵陣10メートルを越えた地点のスクラム。位置はピッチやや右。BKの選手は全員、左側に立っていた。後半、BKの攻撃が冴えていたこともあり、左へ振ると思われたものの、豊田将は右8単、ショートサイドへ舵を切っていった。築城康が素早くさばいて、有田隆が再びブラインドサイドへ突っ込み、スピンを使ってゲインする。意表を突くと同時に、そちら側へ防御を集めて、左オープンに広大なスペースを生み出す意図を感じた。敵のFWをある程度巻き込めば、中の仕掛けで接点に苦労することもないだろう。コーラはこういう理詰めのアタックをよくやる。それなのに不振へ陥ったのは、酷な言い方だが、例年よりもボールキープ力が劣っているからにほかならない。このチャンスはタキタキが縦を突いたあと、左へ展開してフェーズを重ねたが、途中、パスが乱れてしまった。局面打開を狙ったウェブに対するLO北川俊澄のコンタクトがハイタックルとなり、PKをタッチへ。さらにトヨタのノットロールアウェイにより、残り5メートルのラインアウトというチャンスを迎えた。しかし3フェーズ目、平原が絡まれて、ノットリリースザボール。追撃のトライはならなかった。

画像 トヨタは22分、ラインアウトを右FL桑水流裕策にスチールされ、直後、ウェブのハイパントを途中出場のSH笠木陽介がノックオンするなど、どうにもピリッとしない。24分、イェーツが裏へ抜けてチャンス到来かと思われたものの、右展開で左FLに入っていた槇原航太がクラッシュしたポイントで、桑水流、ウェブ、川下らにドサッと来られボールを奪われてしまった。25分、アイイのノールックパスは呼吸が合わず、受け手がノックオン。負の作用ばかりがはたらく状態に陥っていた。この敵陣10メートルのスクラムを起点に、コーラは連続攻撃。ブレットにパスコースへ入られ、インターセプトされかけるシーンはあったが、ファンブルしたボールをパエアが確保。このとき、右にはスペースができていた。築城康-ウェブ-ベイトマン。ベイトマンはロングパスを右隅に待つ有田隆に投じたが、惜しくもノックオン。コーラ応援団の溜め息がスタジアムに充満した。

 32分、トヨタは自陣スクラムからミスなくつないで6フェーズを重ね、有田隆のノットロールアウェイにより、敵陣22メートル地点でマイボールラインアウトというチャンスを迎えたが、手前に立つ草下に合わせた上野のスローが、ノットストレート。蹴り合いののち、33分、コーラはハーフウェイ地点のラインアウト。3フェーズ目の左展開、パエアに対してクロスで入る有田隆のランは角度、スピードともに秀逸だった。さらにチャンネル1、パエアが突進し、ゴール前へ肉薄。そこから右へ振り、豊田将が捕まったあとの左オープンは、外側が完全にオーバーラップしていた。しかし、HB団の連係からベイトマンが投じたパスは、山内に手をかけられる。惜しい。

画像 34分、レフリーの原田隆司さんが試合を止めた。頭を強打した松岡が倒れていて、危険と判断したホイッスル。メディカルスタッフに支えられて立ち上がった松岡の足元がおぼつかない。プレー続行は不可能。すでにリザーブを全員使っており、コーラは14人での戦いを余儀なくされた。

 それでも敵陣に居座り続けるコーラ。38分、ベイトマンが裏のスペースを狙って、グラバーキック。処理したトヨタのキャリーバックとなり、5メートルスクラムのチャンス。ところが球出しが乱れ、ゴチャついた局面で遠藤にインターセプトを許してしまう。ブレットのキックをフェアキャッチした途中出場の右WTB江藤大和は、タップキックでその場から仕掛けた。ウェブが敵陣へ蹴り、パエアがチェイスしたが、ボールは22メートルライン手前でタッチへ。

 トヨタはこのラインアウトを確保してモール。そこでタイムアップを告げるホーンが鳴った。しかし、ブレットは左オープン側へキック。タッチを狙ったというよりは、味方に取らせるキックだった。後半の内容に不満があって、きっちり締めて終わりたいのか。はたまた勝ち点が並んだときの得失点差争いを気にかけているのか。とにかくトライを取りに行く構えである。だが、ここまで3トライを挙げるにとどまり、1トライを追加して4トライ以上と、7点差以内の負けに与えられる計2点の勝ち点を是が非でもほしいコーラは、ブレイクダウンに全身全霊を捧げた。カウンターラックでターンオーバーに成功すると、最後の死力を振り絞って、攻め続ける。41分、川下が槇原のハイタックルを受け、クイックタップから平原がクラッシュしたあと、築城康のパスを受けたウェブがギャップを抜けた。右には豊田将がいる。ラストパスが通り、豊田将が中央へ回り込んでトライ。コンバージョンも決まって、28×33。負けはしたものの、ボトム争いの渦中にあって、貴重な勝ち点2を得た。スタンドからは、最後まであきらめなかったコーラに対し、惜しみない拍手が送られた。

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画像 トヨタは後半、風下に立たされたとはいえ、前半とはまったく別のチームにすり代わったかのようだった。過去のシーズンの戦いをふりかえると、細かいことを考えずに開き直って攻められる分、むしろ風下のときに好内容を示すことが多いのだけれども。前半で26点の差をつけ、少し緩んでしまったのではないだろうか。相手ボールを奪ってやる、マイボールを絶対に渡さないという執着心が、後半は希薄になったように感じられた。頻発したミスの原因も、突きつめればそこにある。相手は4トライを取ることが可能なうちは、死に物狂いのラグビーをしてくる。僅差のスコアになったのは、そうしたメンタルの相関関係が変化したのが一番の理由だろう。でも、落差が大きすぎるだけに、後半について、反省はするけれど参考外というふうに、かえってポジティブにとらえることもできる。前半は文句なし。菊谷のMOM受賞は妥当なところだが、それ以外に杉本、有田、山内の溌剌したプレーに好感が持てたし、上野もバシバシとタックルを決めていた。また、ワイルドカードトーナメントへ出場できれば、この人がチームを檜舞台へ連れていく原動力になるのでは、というくらい、ブレットが好調である。

 コーラは勝ち点2を獲得。アディショナルタイムに豊田将がトライを挙げた瞬間、これは意義のあるゲームをした、と賞賛の思いでいっぱいだったが、同日、自動降格圏の12位を争うライバル、ホンダとドコモが大方の予想を覆す勝利を挙げて、コーラは最下位へ転落してしまった。しかし、経過を記す中で触れたように、好感を抱くシーンがたくさん。ようやくチームがまとまってきた印象だ。先発組では有田隆、川下が、途中出場組では築城康、豊田将が好プレーを連発。レギュラー組における実力者、外国人選手と合致し、チームに厚みを加える働きをした。この内容なら、TL残留を賭けた最終戦、第13節のNTTコム戦に期待が持てる。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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