天理、自慢のBKが後半爆発 関西リーグ3連覇!・関西Aリーグ第6節 大阪体育大学vs天理大学~鶴見

画像 第6節を迎えた関西大学Aリーグ。11月10日、鶴見緑地でおこなわれた第2試合は、大阪体育大学vs天理大学の1戦だった。大体は先週、同志社戦で後半、11点リードの時間帯があったものの、反撃を許して逆転負け。入替戦へ回ることもありうる瀬戸際に立たされた。天理は立命を相手に前半、3連続トライ。19×0として一方的な展開に持ち込むのかと思いきや、地力強化が目覚ましい立命に食い下がられ、いったん逆転を許した後半、自陣からの右展開で右WTB宮前勇規が走り切る逆転トライ。5連勝を飾り、この1戦に勝てば、勝敗が並んだ場合は当該チーム同士の対戦成績によって順位を決めるという内規により、最終戦を残して優勝、3連覇が決定するところまでこぎつけてきた。強力FWを擁する大体と、展開ラグビーを指向する天理。タイプをいえば、対極に位置する者同士の対戦だった。

 大体のキックオフで試合開始。天理は蹴り返さずに自陣から攻め、右展開の9-12-15-14。宮前が敵陣22メートルラインまでビッグゲインして、挨拶代わりの先制パンチ。しかし、FB奥聖貴に止められたあと、ラック左サイドを突いたSH山本昌太が防御に捕まって、ハンドリングミス。入りのチャンスを逃した。天理は大体のタッチキック後、自陣22メートルのラインアウトからも果敢に攻めたが、3フェーズ目、右へ振り、宮前が裏へショートパントを上げ、大体の右WTB左手雄磨がキャッチする足元へ山本が刺さったものの、ボールをキープされてしまう。大体のキックはインゴールまで達してドロップアウトとなったが、左CTBトニシオ・バイフのキックは当たりが悪く、グラバー。エリアを大きく戻せなかった。左LO山口浩平がキャッチしたのを起点に、大体のアタックが開始される。今季、関西リーグ随一の成長株といっていい右PR伊尾木洋斗のチャンネル1を、右PR金光大生、バイフがダブルで押し返すなど好守備を見せた天理は、5分、左CTB白石良輔の裏を狙ったグラバーキックを山本が俊敏な反応で確保した。左WTB沢良木僚平に捕まりながらも左へボールを放したところまではよかったが、スローフォワード。大体は残り5メートル地点でスクラムを得た。№8福本翔平の右8単を止められると、右LO西井利宏がラック左サイドを突いて、左中間へ。持ち味である武骨なトライにより、大体が先制した。コンバージョンも決まり、7×0。

画像 このリスタートキックを山口がキャッチしたあと、パスが乱れたことによる防御の凸凹を衝いて、大体は左LO奥中大輔が前進。さらに左へついた白石がオフロードパスをもらって、残り5メートルまでビッグゲインした。天理はFB塚本健太が外されかけながらも食い下がり、パスミスによるノックオンにして耐える。この自陣5メートルのスクラムを起点に天理は、大体のSO三瀬憲二朗が負傷した際に試合を止めてスクラム再開となるシーンを挟み、敵陣22メートル内までボールをキープして攻める。しかし14分、チャンネル1を攻めたあとの右展開が防御を置き去りにする切れ味に乏しく、宮前が沢良木の好タックルの餌食になったほか、バイフ、右CTBモセセ・トンガも厳しいマークに遭って、決定的なチャンスがつかめなかった。15分、ラック左サイドへ舵を切ったHO芳野寛が左へパスを投じた際、隅にいた塚本はパスコースより深い位置に立っていて、ボールはタッチ外へ転々。天理は攻め切ることができなかった。

 18分、蹴り合いののち、奥のタッチキックによる天理陣10メートル地点の相手ボールラインアウトを奥中がスチール。大体はHO王鏡聞(わん・きょんむん)が左ショートサイドをゲインし、22メートル内へ入った。19分、天理のホールディングがアドバンテージで適用され、残り5メートルのラインアウトを得る。奥中にスローを合わせ、左へズラしてモールを組んだあと、左サイドを突いたところで大体にペナルティ。この位置から積極的に山本がタップキックで仕掛けた天理のアタック、右展開に対し、大体は沢良木が塚本に鋭く前へ詰めてタックルを打ち込んだ。宮前へ放したパスの軌道が狂い、スローフォワード。21分、大体は敵陣10メートル手前のスクラムから仕切り直し。天理にコラプシングがあり、PKで22メートルへ進んだ。ラインアウトは後方で右FL竹内擁騎が確保する形。直後の左チャンネル1を伊尾木がクラッシュし、スネークで押し込んだ大体に近場へ拘る気配が漂う。ところが直後の右チャンネル1、SH内海貴将のパスをもらった竹内の前に、先に走り込んだ奥中が入ってしまった。オブストラクション。重なり方から見て奥中はデコイランナーではなく、本人がボールをもらって相手にぶち当たっていくつもりだったと思う。24分、天理はこのPKをタッチへ蹴り出した自陣10メートル手前のラインアウトを起点に、速達便のようなトライを決めてきた。左展開一発。山本-SO白井竜馬-モセセ-塚本-左WTB松井謙斗。松井が奥を外して、左中間まで走り去っていく。バイフのコンバージョンも成功。同点に追いついた。

画像 リスタートキックをキャッチしようとしてジャンプする天理の左FL唄圭太に、大体は空中でチャージ。天理は山本がクイックタップで仕掛け、2フェーズ目、山本のパスを受けた右FL梶間歩が裏へ抜けて、チャンスを拡大する。左の狭いほうのサイドにBKがズラリと並んでいたが、スペースに比して人がいすぎた感。モセセが左手のタックルを食らってノックオンしてしまった。しかし、大体はこの自陣22メートル地点のスクラムでペナルティ。残り6メートル地点でラインアウトを得た天理は右LO青野天悠にスローを合わせてモールを組んだあと、近場中心のアタック。29分、左サイドへ持ち出した山本が小さくグラバーキックを蹴り、ラインディフェンスをすり抜けて自ら確保するトライを狙ったのはおもしろいアイデアだった。大体は内海がセービングしに行ったものの、ノックオン。残り5メートル地点のスクラムで再開。天理のチャンスが続いたが、4フェーズ目、山本に角度を変えて内へ入った宮前がノックオン。アングルチェンジで接近したことにより、宮前にとって山本のパスが少し高いものになってしまった。32分、天理は大体のタッチキック後の、敵陣10メートルのラインアウトから、青野のパスを受けた山本がステップを駆使して前進。カバーが来たところで裏へショートパントを蹴り、落下点に入ったところまではよかったが、ノックオン。捕球していれば、そのままトライだったと思われる。惜しい。

画像 34分、大体は天理の倒れ込みによって敵陣へ進出したが、チャンネル2、伊尾木のハンドリングエラーによって、相手にボールを渡してしまう。天理は左展開で切り返す。モセセのパスをもらった松井に対し、大体は2人がカブってしまった。意図したダブルタックルでない分、甘いタックルとなり、松井は勢いを削がれることなく裏へ出ることができた。左に待つ塚本へラストパスが通る。35分、左中間へトライ。コンバージョンの2点を併せ、7×14とした天理だったが、リスタートキックを自陣から右展開してノックオン。大体にチャンスがめぐってきた。敵陣22メートル手前左でスクラムを得た大体は、福本が右8単で白井を引きずって前進。SOへ回っていた白石のグラバーキックが奥に入り、プレーを継続した大体は4フェーズ後、内海のパスアウトを受けた白石がステップを切って、山本に足元を刈られながらもしぶとく前へ出る。中央へトライ。沢良木のコンバージョンも決まって、14×14。天理はロスタイム、白石のキックをキャッチした松井を起点に攻めたが、出血交代でSHに入っていた佐川敦希のカットパスを宮前がハンドリングミス。開いて受ける形、トイメンを外してチャンス拡大が期待できただけに、惜しまれた。タイスコアで前半が終わる。

 後半最初のトライは、大体。天理は白石のキックをキャッチした松井のカウンターランで狼煙を上げ、連続攻撃を仕掛けたが、右展開で塚本から宮前のパスが通らない。大体は沢良木がボールを獲得。2分、天理のラインオフサイドでPKを得て、敵陣22メートル手前でラインアウト。右チャンネル1を竹内が突いたあと、さらに順目。内海のパスに伊尾木がアングルチェンジで入り、裏へ抜けた。後方からバイフに捕捉されたところで、右にパス。サポートランの王鏡がポスト右へトライ。スクラムの強さだけでなく、フィールドプレーでも軸になる前列の2人、いわば黄金コンビの連係だった。コンバージョンの2点を併せ、21×14。ただならぬ気配さえ漂う後半の入りだった。

画像 5分、大体は山口のスクイズボールで、天理に敵陣10メートル過ぎのラインアウトを与えたものの、191センチの長身、奥中のスチールによりマイボールとした。そこまではよかったが、左展開の9-8-2で王鏡がノックオン。敵陣10メートルと22メートルのあいだ、やや左でスクラムを得た天理は3フェーズで仕留めた。6分、左へ振って、9-10-15-11。松井が奥に捕まったものの、左隅ギリギリへ飛び込むトライ。角度のある難しいコンバージョンをバイフが決めて、再び同点に追いついた。手前の金光に合わせたスローがノットストレート(10分、敵陣10メートル手前)、またも奥中にスチールされる(13分、敵陣22メートル過ぎ)など、ラインアウトに苦しむ天理だったが、そのあいだ、梶間がチャンネル1の西井の足元に入って止め、直後の左展開のスイッチで左手を止めたポイントに援軍が素早く駆けつけ、ターンオーバーする好守備があり、天理らしいリアクションの速さがディフェンスにも表われていた。リズムそのものは上向き。16分、蹴り勝つ形で得た大体の敵陣22メートルのラインアウトに始まる連続攻撃が、福本の前方に入ってしまった西井のオブストラクションによって頓挫すると、山本がすかさずタップキックで仕掛ける。バイフへつないで前進し、左にシャトルランの松井へパス。松井がハットトリックとなるトライを左隅へ。プレースキックが絶好調のバイフが難しいコンバージョンを決め、21×28と逆転した。

画像 このリスタートキックをマイボールとした大体は、天理のノットロールアウェイにより、残り10メートルでラインアウトのチャンス。しかし20分、右ショートサイドのチャンネル1、竹内のリターンパスを山口がハンドリングミス。山本のタッチキックによるハーフウェイ地点のラインアウトで奥中がノックオンと、ミスが相次ぐ。21分、天理はこのスクラムを起点に決めてきた。右展開でモセセが抜け出し、22メートルまでゲイン。2フェーズ後、山本が左へパスアウトしたところへ佐々木が加速して走り込み、残り5メートルまで肉薄する。最後は左展開。白井のフラットパスをバイフが開いて受け、白石のタックルを外して裏へ出ると、モセセ、塚本とつないで左中間へトライ。さらに24分、相手キックを宮前がキャッチし、ワンパス。塚本が途中出場の左CTB王授榮(わん・すよん)を外して、快速を飛ばす。一気に敵陣へ侵入すると、右についた山本へパス。山本の中央へのトライとコンバージョン成功により、21×40。天理が安全圏へ抜けた。大体は26分、伊尾木が力強いタックルで芳野を押し下げる好守備を見せたあと、白井のパスコースを塞いでポイントを作らせた直後のチャンネル1、左PR高光晃大に絡んでノットリリースザボールに陥れ、敵陣へ進んだ。白石のキックにレイトチャージがあり、29分、残り5メートル地点のラインアウト。2度のモールコラプシングにより、チャンスが継続したが、35分、奥中に合わせてモールを狙った場面で、リフターが前に入ってオブストラクション。意地のトライはならなかった。天理は43分、伊尾木を2人がかりで止めてハンドリングエラーを誘い、金光がルーズボールに反応してマイボールとし、右へ振る。バイフが裏を通して塚本へパスをつなぎ、宮前が右隅へフィニッシュ。21×45。終わってみればBKの決定力を存分に見せつける格好で大体に快勝した天理が、関西Aリーグ3連覇を決めた。


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画像 後半2分に王鏡がトライを挙げ、大体がリード。天理の圧勝が予想された中、後半途中までは観る者にとって、最終的にはこちらへ靡く女の子との友達期間のような、快い緊張感と期待感が味わえるゲームだったのではないだろうか。天理は、自陣からでもBKで取り切れると自負している。この陣容を擁するのだからそれくらいに思っていただかないと困るが、前半に2トライを挙げたとはいえ、自陣からの仕掛けがうまくいかないことのほうが多くて、大体がエリアで優位に立つ形。セットとフィジカルで上回る大体がパワープレーで取るべきトライを取った分、途中まで接戦になった。大体は先週の同志社戦と比較すると、ディフェンス、エリア獲りに良化が顕著。途中まで天理にディフェンダーを切るようなパスが少なくて守りやすかった一面はあるけれども、評価を与えたい内容だ。三瀬の負傷でレフリーが試合を止めたスクラムを挟み、前半9分から15分にかけての天理の猛攻をしのいだのは、とくに称えたい。一連のディフェンスでは、伊尾木がいい反応を見せていた。フィールドプレーにも定評のある逸材だが、守備面でも好プレーを連発したのには好感。王鏡はもちろんのこと、奥中がラインアウトスチールで活躍し、BKでは沢良木が安定感抜群。天理のBK、一瞬の切り返しについていけなかったのが大きく応える敗戦となったが、中身の濃いゲームができたのではないかと思う。

画像 天理は前半、ややリズムの悪い面があり、大体のディフェンスを翻弄し切れなかった。ただ、最後には俊足ランナーが快走するトライを立て続けに記録して、計7トライの内訳はすべてBK。天理らしい試合だった。今季はFWを全面に出す時間帯を作るなど、いろいろ試みていたけれども、練習試合ながら5月にはボールを動かすことに徹して明治に逆転勝ちを収めており、このゲームのようなスタイルが天理の立ち帰るべき場所であることはメンバーの誰もが認識していると思う。大学選手権で強豪を相手にした際は、前半のようなモタつきが命取りになるので、精度をひたすら磨くことが仕上げの作業となろう。松井、塚本、バイフらが持ち味を十分に発揮したゲームだったが、ピックアッププレーヤーにはあえて、モセセを挙げたい。BKによるパスムーヴで相手を引きつけてからボールを放す点において、進化がうかがえた。天理仕様の選手になってきたなあ、と好感。また、山本が一瞬の状況判断に冴えを見せ、プレーにも切れ味。起点を作る彼は大黒柱の1人であり、期待どおりの動きを見せて上昇カーブを描いているのは、今後に向けて明るい材料といえよう。FWからは梶間を。BKにスペースを生むためにどこかで縦を入れる必要がある中、コンタクト姿勢のよさが目立つ。接点でも逞しさが出てきた。今後、チームは立ち帰るべき場所であるBK展開へ傾倒していくと思われるが、それを下支えするのはFW。昨年からのレギュラーですでに一定の評価を受けている芳野や唄、金光以外にいいプレーをする選手が出てきているのは好ましい。課題を挙げるとすれば、大学選手権で関東勢の強豪を相手に食い下がるために、2人目、3人目が素早く寄って相手ボールに絡むシーンを増やすこと。シビアに評価すると、接点のしつこさで相手のリズムを乱して反則やミスを誘い、一瞬の切り返しで取るトライを挙げなければ拮抗したスコアにならないチームが、いくつか存在する。最終の同志社戦は、接点に注目したい。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。


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