トヨタ、NECを下して地獄の入口から3連勝! グループA入り決定~TL.1st第7節(後編)

画像 TLファーストステージの第7節、TV観戦記の後編は10月26日、柏の葉公園総合競技場でおこなわれたプールA、NECvsトヨタ戦である。前節終了時点でトヨタは、勝ち点で並ぶ3位と4位、神戸とNTTコムを追う5位につけていた。神戸とNTTコムの直接対決が翌日に控えていることから、トヨタがこの1戦に勝てば4位以内、グループA入りが確定。1ポイントも奪えずに敗れると5位が決定するという大一番だった。ふりかえればトヨタは、崖っぷちだった5節の神戸戦で突如、眠りから覚めて大勝。4位争いへ参戦してきたのだった。本来の力からするとなんら不思議はないとはいえ、それまでの精彩を欠く内容にやきもきしていたファンは、なぜこの力が最初から出ないのか、と訝しく思っていることだろう。波に乗れば東芝さえも粉砕し、サントリーやパナソニックにも勝つ力があるのに、脆さが同居する。人間臭くて親しみの持てる、面白いチーム。そういう理由でトヨタに好感を抱いているのは、決して僕だけではないだろう。2010年度、近鉄とNTTコムに敗れながら3強を含む残りチームに全勝する奇怪な星取表を作成し、一連の内容を観て4強時代が来るかもと思ったら、期待を裏切られたし、今季だって、シーズン前に6節のドコモ戦は番狂わせの黒星を喫する可能性があるとプレビューに書いたけれど(理由はドコモの外国人補強に魅力を感じていたから)、神戸戦の勝ち内容を観て、そんな思いはすっかり吹き飛んだ。つかみどころのないトヨタがすでに2位以上が確定しているNECを相手にどんな戦いを見せるのか、興味は尽きなかった。このカードは個人的にとても好きな組み合わせ。脂っこいラグビーが80分間、ぶっ通しで展開されるからである。台風の影響による雨もまた一興、と思われた。


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 【プールA ●NECグリーンロケッツ3×23トヨタ自動車ヴェルブリッツ○】

 前半0分、NECはトヨタのSH滑川剛人が上げたパントを6番ニリ・ラトゥがキャッチ。9-10-12と左へ振り、左CTB田村優がリターンパスを放した。しかし、ボールはトヨタの右WTB彦坂匡克へ渡す形。彦坂匡が足にかけたボールをFB大東功一が戻ってセービングしたNECだったが、SOウェブ将武のキックが、左FLジェローム・カイノにチャージダウンされてしまう。HO上野隆平がイーブンボールを確保し、右FL吉田光治郎へポップパス、その左にはカイノも来ていて、トヨタは絶好のトライチャンスだった。ところが、吉田光がノックオン。しかし、この自陣奥左のスクラムでNECはSH櫻井朋広に左WTBネマニ・ナドロをじか付けしたものの、ナドロがノックオンし、2分、トヨタは残り5メートル右でスクラムと、チャンスが継続する。3次で左チャンネル1、4番トーマス優デーリックデニイがHO臼井陽亮、右FL浅野良太の出足のいいディフェンスに下げられ、5次の左展開でパスミスが起きるなど、後退したアタックになっていたが、アドバンテージが出た4分、滑川の気楽な冒険がトライへつながる。右裏へキック、彦坂匡がチェイスした。ボールは戻って確保しようとするナドロを拒絶するかのように変則的に撥ね、右中間インゴールへ。最後は彦坂匡とナドロの争いになったが、わずかに早く、彦坂匡がボールを押さえていた。SOキャメロン・マッキンタイアーのコンバージョンも成功。トヨタが7点を先制した。

 雨が終始降り続くコンディションの関係から、必然的にキックの多いゲームとなった。その中にいくつものヘビー級バトルのマッチアップが存在するフィジカル戦に、見応え。14分、トヨタは敵陣10メートル過ぎのラインアウトを起点とする連続攻撃を仕掛けたが、9-10-14の左展開で彦坂匡が右CTB釜池真道の低いタックルに仕留められ、ニリに絡まれてノットリリースザボール。NECはこのハーフウェイ過ぎのラインアウトをスチールされ、浅野のノットロールアウェイでいったん攻撃権を譲ったものの、マッキンタイアーのキックを追うプレーヤーのオフサイドによるPKを得た。17分、中央線を越えた位置で狙ったPGは外れたが、19分、蹴り合いを経たニリのカウンターランが滑川とFB城戸雄生に止められてノックオンしたトヨタボールスクラムを、ホイール。敵陣10メートル右のスクラムから攻めた2フェーズ目、逆目へ折り返した櫻井のパスを、ギャップを狙ってポジショニングしていた右LO村田毅がもらい、裏へ抜けた。20分、アドバンテージが出たところでウェブが左へキックパス。追うのはナドロだ。城戸との競り合いでボールを取れず、ノックオンとなったが、アドバンテージ適用。21分、NECは残り7メートル地点でラインアウトの絶好機を得た。ところがスローをキャッチした村田が着地と同時にトーマスに倒され、菊谷のジャッカルに遭ってノットリリースザボール。チャンスが潰れてしまう。以降、敵陣10メートル手前左のスクラムから8-9-14と右へ振ったアタックで、右WTB窪田幸一郎が左WTB水野弘貴のタックルを受けてノックオン(24分)、滑川のキックをナドロがノックオン(27分)、敵陣22メートル手前のラインアウトを右LO北川俊澄にスチールされる(37分)など、NECは決定機をつかめない時間帯が続いた。対するトヨタもハンドリングに苦しみ、スコアはしばらく動かないまま。しかし40分、ホールディングのPKを得たNECは敵陣10メートル左から、ウェブが距離のあるPGを決める。3×7となったところで前半が終わった。

 後半0分、NECはナドロのカウンターランをきっかけに敵陣へ攻め込んだ。右チャンネル1、ニリのクラッシュを挟んで左へ展開。9-10-13-11、ナドロが右CTB山内貴之のタックルを粉砕し、タッチ際をゲインする。吉田光に来られたところで、内側へサポートランする釜池へアウトサイドのキックパスを通したが、すでにナドロはタッチを踏んでしまっていた。2分には、ハーフウェイ左のスクラムから攻めた4フェーズ目、櫻井が左裏へナドロを追わせるキックを蹴る。ボールは競り合った彦坂匡の落球により、NECへ。ここでウェブが右裏へクロスキック。窪田がチェイスした。トヨタは水野がカバーに急行し、落下点に入ったが、ノックバックする形でインゴールを持ち込んだ。4分、NECは残り5メートル右でスクラムの大チャンス。しかし、トヨタにFKを与えてしまう。このタッチキックをクイックスローインして左へ振ったNECだったが、釜池がパスダミーで前進を図ったポイントでボールが横へこぼれ、櫻井がセービングしたものの、ナドロにプレーオンザグラウンド。PKをタッチへ蹴り出したトヨタが残り5メートルでラインアウトと、形勢は一転した。トヨタは菊谷にスローを合わせたモールのあと、カイノが縦を突く。そこへ、これが街なかの喧嘩だったら誰も止められないであろう、ニリの絡み。が、ホールディングの笛。8分、トヨタはPG成功により、リードを7点に広げた。

 さらに11分、トヨタは大きな追加点を挙げる。NECはキックキャッチから右へパス、ニリが彦坂匡を吹っ飛ばしてハーフウェイ手前まで前進したが、ラックのボールが後方へこぼれた。ナドロが戻ってセービングしようとするNEC。しかし、彦坂匡がプレッシャーをかけ、トヨタがマイボールとした。左チャンネル1で体を当てたあと、マッキンタイアーが左オープンでキックパスを蹴る。ワンバウンドしたボールを水野がキャッチ。ノーバウンドのキャッチを目指して前へ出ていた窪田とすれ違う形で、タッチ際をゲインした。内側には、トーマスがついている。ラストパスが通り、トーマスが左中間へトライ。コンバージョンの2点を併せ、3×17となった。

 NECは20分、ハイタックルのPKにより、敵陣22メートルへ進んだが、右展開でニリがノックオン。トヨタは21分、相手キックを上野がチャージし、軌道が変わったボールを確保して、投入されたばかりのSH麻田一平がタッチキック。NECボールながら、敵陣22メートルへ進出した。1次の左展開でニリがハンドリングエラー、トヨタは麻田がボールを取り、13-14と右へ振る。タッチ際のスペースを埋められたところで継続重視、彦坂匡が無理をせずにポイントを作ったのは、隠れた好プレーだろう。このポイントでNECに、ノットロールアウェイ。22分、トヨタは残り6メートルのラインアウトでとどめを刺しにいく。NECはジャンパーの北川に空中でチャージ。トヨタは、このチームらしからぬ(?)クールさをもって、ショットを選択した。24分、マッキンタイアーがPGを決め、3×20。勝利へ着々と近づく。

 25分、NECはノットロールアウェイによるPKにより、敵陣22メートル地点でラインアウトを得た。久々のチャンスである。2フェーズ目、20-12-2の左展開で臼井が突破、残り6メートルまで肉薄した。しかし、ゴールラインを背にしたディフェンスはトヨタも強い。連続攻撃で打ち破れなかった23分、PKのアドバンテージが適用されると、NECは残り10メートル左の位置でスクラムを選択した。ところが3フェーズ目、20-12-11と左へつないでナドロへ託した局面で、ナドロが上野のコンタクトを受けてノックオン。取り切れないシーンが続く。NECは、30分にも敵陣22メートル手前のラインアウトを起点にゴールラインをうかがった。トヨタのタックルを食らう直前にパスを放すスリリングなハンドリング、20-12-13-21-11と左へ展開した4次攻撃で、ナドロが城戸に止められたあと、20-12-1と右へ折り返す。が、左PR瀧澤直が菊谷と吉田光に捕まってハンドリングエラー。チャンスを逃してしまった。以後、右FL荒木達也、FBスティーブン・イェーツ、左LO杉本晃一といったリザーブ出場組の奮闘が目立ったトヨタがゲームを支配。36分に、プレーオンザグラウンドによるPGを追加した。3×23、NECをノートライに押さえる勝利を挙げたトヨタは翌日、神戸vsNTTコムで白黒がついたことにより、プールAの4位通過、セカンドステージのグループB入りが決まった。



 この1戦に賭けるモチベーションの差を云々するのはあまり好きではないので、その点はオブラートに包んでおく。NECはハンドリングエラーが多かった。雨だからある程度は仕方がないとはいえ、その数18は、トヨタが6だったのと比較すると、いかにも多い。単純なクラッシュではなく、前半20分の村田、後半25分の臼井の突破のような、パスの数が少なくてギャップへ走る形をもっと出せれば、いくらかチャンスが増えたのではないだろうか。また、ボールへ向かってタックルし、ハンドリングエラーを誘ってくるトヨタに対して、コンタクトの姿勢がちょっと無防備に映るケースも目についた。ニリやナドロはそれが許されるのかもしれないが、ナドロに関しては正直、不振に分類される出来で、ふだんは器用なキックキャッチに難を示したし、ボールキープ力自体、心もとなかった。カイノにマークされたという情状酌量の余地はあるが、ナドロは雨天のゲームが得意でない、競馬でいえば良馬場専門のタイプなのかもしれない。

 トヨタもこのコンディションのもと、思うようにアタックが継続しないケースがあったが、NECよりもボールをキープできた。縦に行く際、ボールをしっかり抱えて低く前傾、ハンドリングエラーをしにくい姿勢で当たっていて、ユニットで押し込むサポートプレーをふんだんに交えたのもよかった。そして、このところ、スペースへ蹴るクロスキックを、トライを取る武器に使っているが、この試合もその戦術がうまくハマッた。マッキンタイアーのMOMは、その点を評価されたのだろう。密集戦が激しく、トヨタらしいゲーム。一連の好調を維持し、完璧といえないまでも実力を発揮した。カイノ、吉田光、菊谷の3列は再三書いているように、優勝を狙うチームのバックロー。左CTBタウモエピアウ・シリベヌシィの縦と堅牢なディフェンスが効いたし、ルーキーの彦坂匡は、スピードだけでない、ねちっこさを1戦ごとにより見せつけるようになっている。筑波時代、とくに4年時の彦坂匡はそうしたプレーでチームに流れを呼び込んでいたが、TL1年目でここへきてフィジカルの強さをアピールするあたり、只者ではない。11月の日本代表のメンバーからは外れたが、来年の今ごろは、桜のジャージを着ている公算が大だろう。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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