ワンダーランド・なぎさ亭

アクセスカウンタ

zoom RSS トータルな強さを誇示 帝京、前人未到の5連覇達成!〜大学選手権ファイナルステージ決勝

<<   作成日時 : 2014/01/15 06:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 11 / トラックバック 0 / コメント 2

画像 1月12日、国立競技場で大学選手権決勝がおこなわれた。帝京vs早稲田。シーズンを通じた戦いぶりをふりかえると、この舞台に立つにふさわしい両者が順調に勝ち上がってきたといえよう。帝京は5連覇がかかっていた。ここ数年で印象深い決勝戦といえば、筆者が関西人ということもあるのだろうけど、一昨年の帝京vs天理戦だ。終盤、天理が同点に追いついたあとは、高校ラグビーの女子マネージャーみたいに涙を流しながら、祈る思いでTVを観ていた。彼女たちとは違い、決して絵にならない、いい歳をした大人の涙。「5連覇でも6連覇でも、好きなだけ優勝させたるから今回だけは同点の両校優勝で勘弁してくれ」……珍しく取り乱したTV観戦になったのだった。そして今年。早稲田が帝京に挑むという構図の1戦も、2年前の決勝に負けない熱戦となった。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【○帝京大学41×34早稲田大学●】

 試合はいきなりトライで幕を開けた。キックオフを左へ蹴る帝京。早稲田はbW佐藤穣司が縦に前進したあと、左へ展開した。9−10−7、前が空いていた右FL布巻峻介が突破する。1度倒されたものの立ち上がり、敵陣10メートルまで達したところで左についた右WTB荻野岳志へパス。荻野が追ってきた左WTB磯田泰成を振り切って左中間へ駆け込んだ。SO小倉順平のコンバージョンも決まり、早稲田が7点を先制。帝京はラインアウトのキャッチミス、ハンドリングエラーがあり、しばらく停滞していたが、12分に1本を返した。早稲田のスクラムコラプシングによるPKで残り8メートルのラインアウトモールから、最後はチャンネル0の力勝負。左PR森川由起乙が右サイドを突いたあと、左LO小瀧尚弘が左サイドへ。左中間へトライ。

 5×7となった直後のリスタートキックで早稲田は10メートルに達しないミス。帝京のセンタースクラムで再開となった。ここで森川にコラプシングの笛。早稲田は小倉にロングPGを狙わせる。右へ逸れてドロップアウトとなったが、帝京がここで左へキックパスの形で蹴って小瀧に取らせ、マイボールを確保したのは心憎い。早稲田としては仮にPGが不成功に終わっても、キックキャッチから攻め直せると思っていたはずだ。地域獲得を兼ねていたわけで、だったらリスタートキックを深めに蹴ればよいではないかという意見もあるだろうが、いずれにせよ帝京の応手を見た早稲田は嫌な気分がしたと思う。5フェーズ目、左ショートサイドの9−15、走り込んだFB竹田宜純が倒されたポイントで布巻にノットロールアウェイ。17分、帝京は敵陣22メートル手前まで進出する。早稲田のしつこいディフェンスに手を焼いて仕留め切れない時間が続いたが、22分、ホールディングのPKにより残り5メートルのラインアウトを得た。HO坂手淳史のスローが若干、早稲田側に流れ、ディフェンスがジャンパーを着地と同時に倒すサックプレーがしやすい状態。小瀧が倒されてモールを組めず、ラックとなったが、このエリアのFW勝負は帝京の十八番。チャンネル0を攻め続けた4フェーズ目、右PR深村亮太が、左FL金正奎に足元へ入られながらも真上からダイブするように左中間のゴールラインへボールを置いた。コンバージョンも決まり、12×7。

 しかし、早稲田は集中力の高い守りを見せる。リスタートキックをキャッチして攻める帝京の3フェーズ目、SH流大が呼び込むような間を拵えて右、アングルチェンジの坂手にパスを放したのはいいプレーだったが、早稲田は左PR大瀧祐司が好タックル。ハンドリングエラーを誘った。28分、帝京の連続攻撃で9−1−13−11と左ショートサイドへつないできた場面も、荻野が磯田をタッチへ出す好守備でしのいだ。31分、帝京はPGを外したが、FB藤田慶和のキックを処理して縦を突いた竹田が、味方が戻ってくるまでのあいだ倒されずに辛抱、あるいは33分、SO松田力也のハイパントを、対抗戦の筑波戦でハイボールの鬼ぶりをアピールした右CTB牧田旦が好捕するなどして、ポゼッション(ボール保持率)を上げていった。35分、帝京は自陣10メートル手前のラインアウトから連続攻撃。3次の左展開で左FLマルジーン・イラウアをデコイに使い、9−10−12−13、牧田がラインブレイクして敵陣奥へ入った。右CTB飯野恭史の追尾タックルに捕まるとボールを浮かし、左CTB中村亮土−磯田。だが、早稲田はここに藤田と荻野が駆けつけ、タッチへ出した。早稲田にラインアウトでノットストレートがあったが、ラインアウトを選択した帝京もノックオン、直後のスクラムでイリーガルホイールの反則と拙いプレーが続く。PKで自陣10メートルまで地域を戻した早稲田は7フェーズ目、小倉がショートパント。キャッチした流を自ら倒すと、金がいい仕事をした。接点を乗り越えてターンオーバー。9−14と右へつなぎ、ポップパスで飯野。ここで帝京に倒れ込みがあり、佐藤がクイックタップで仕掛けていった。ピッチ右、残り4メートルまで肉薄し、2フェーズ後、9−10−13−15の左展開で藤田が前へ出て、国立が沸きに沸く。残り3メートル。直後の左展開で小倉のパスが中村にインターセプトされたが、藤田に対し、右WTB森谷圭介がハイタックルを犯していた。アドバンテージが採用された42分、早稲田は小倉がPGを決め、12×10。2点差に詰めて前半を折り返した。

 前半のポゼッションは、NHKの中継によれば帝京が70%、早稲田が30%。早稲田としては、この数字で2点ビハインドならオンの字かもしれない。帝京はFWが前へ出ることができているのに2点しかリードしていない……相手のディフェンスを褒めるべきとはいえ、BK展開で防御網に引っかかっていたのは布石を打ち足りていないのかもしれないし、もっと縦に拘ったほうがいいという考え方もできた。

 後半0分、蹴り合いを経て、早稲田は小倉がハーフウェイ手前からラインブレイクした。目前のギャップを迷わず突いた好判断。敵陣10メートル過ぎまで前進したあと、右チャンネル1で右LO芦谷勇帆。ところが右FL杉永亮太に阻まれたブレイクダウンで、1度は杉永に絡まれたもののラック成立でボールを放すようにレフリーから指示があり、奪われたというよりは帝京側へボールが転がったような感じでターンオーバーされた。帝京はイラウアが左へさばいて小瀧。空いていた前を迷わず走る。194センチ、105キロの巨体が疾駆。加速するとこんなに足が速かったのか、という驚愕のランで敵陣奥へビッグゲインした。藤田に止められはしたものの、直後、途中出場のbW大和田立がピック&ゴー。早稲田は寸前で藤田と飯野が阻んだが、そこまでだった。オーバーラップができていた左展開には無抵抗。1分、帝京は磯田が左中間へトライ。ゴールも成功し、19×10とした。

 5分、帝京は自陣10メートル付近のターンオーバーから9−15と左へつなぎ、竹田が右へリターンパス。大和田が力強く裏へ抜けた。敵陣22メートルまでゲイン。しかし、そこから坂手のピック&ゴーで残り10メートルまで迫られた直後、早稲田のディフェンスラインの構築の速さには、先に磯田にやられたパターンと同じ轍は踏まないという思いがみてとれた。2フェーズ後、9−10−12−13の右展開を布巻が止め、右PR垣永真之介が接点で好ブロー。ボールを奪い、左WTB深津健吾のタッチキックで窮地を脱した。7分、帝京はキックリターンで攻める早稲田の左展開、芦谷をイラウアが阻んでノットリリースザボールに陥れ、ショットを選択する。ところが、中村のキックは左のポストに当たり、フィールドオブプレーに撥ね返ってきた。しかし早稲田は、落下点で佐藤がノックオン。8分、帝京は残り8メートル中央でスクラムのチャンスを迎えた。プレッシャーをかける早稲田だったが、右側の垣永が突き上げるような組み方。ヘッドアップをとられ、帝京はPG。リードを12点に広げた。

 12分、早稲田は倒れ込みのPKで敵陣10メートル過ぎのラインアウトを得たが、SH岡田一平のフラットパスをもらって布巻がクラッシュした1次でターンオーバーされてしまう。帝京はすかさず流が左裏へグラバーキック。荻野が処理するところへ磯田、大和田、森川が襲いかかった。大学ラグビーのSHは、パントはよく使うけれどもグラバーはあまり蹴らない。流がいろんな種類のキックを蹴り、チェイスが反応するシチュエーションを織り込んでいるあたり、ささやかなこととはいえ、帝京が先んじているという印象を抱いた。荻野からボールを奪った帝京は、9−12−10−13−15−10の右展開。竹田が抜け出した外へ、松田がもう1度回り込んだのが決定打になった。ラストパスをもらって右隅へトライ。コンバージョンも成功し、29×10。さらにリスタートキックをキャッチした杉永が強さを見せ、ハーフウェイ過ぎまで前進した15分、左チャンネル1、松田があっさり突破して右隅まで走り切った。

 松田が2つ目のトライを挙げた際、早稲田は外側の防御が外のパスコースへ飛び出していた。いわゆるアンブレラ・ディフェンスである。ところが内側の押さえがなくて、ディフェンダーの存在を認めてパスするのをやめた松田に、簡単にブレイクされてしまった。個人的嗜好ではあるが、観ていてあまりいい気がしない抜かれ方で、松田にパスさせたほうがよかったのではないかという考え方が成り立つ。早稲田に集中力の衰え、あるいは一体感が損なわれつつあることを感じ、34×10というスコアに最後通牒を突きつけられた気分になったが、早稲田はこのリスタートキックを左へ短めに蹴り、左LO黒木東星がマイボールとして連続攻撃を仕掛けた。テンポよくボールをつないで、攻撃的に前へ出る帝京のディフェンスを凌駕する。最後は9−14−11と左へ細かいパスをつなぎ、深津からもう1度手渡しでもらった荻野が左中間へトライ。ゴールも決まり、34×17としたのち、19分にもトライを挙げる。芦谷のキックキャッチからワンパス、荻野へつないで手渡しの岡田から左展開。9−10−7−13−12−15、藤田が森谷と中村に来られながらタッチ際ギリギリで内へ放した。このパスをキャッチした左CTB坪郷勇輝が左隅へトライ。34×22となった。

 このリスタートキックで帝京がダイレクト。早稲田のセンタースクラムで再開された。12点リード。どんと来いやと早稲田のアタックを包み込むような、大らかな気持ちで臨むことがまだ許される局面だったと思うが、帝京もプレッシャーを感じていたのだろう。おまけにスクラムでイリーガルホイールのPKを献上してしまった。佐藤が速攻して8−9−10−11と左へ展開して敵陣22メートルへ入ったあと、1度は倒れ込みのペナルティで攻撃権を失った早稲田だったが、24分、オフザゲートのPKで再びマイボール。小倉のキックがノータッチとなり、松田にタッチキックを蹴り返されたが、ラインアウトは敵陣22メートル手前。チャンスがめぐってきた。ロングスローを垣永に合わせたのを皮切りに連続攻撃。このアタックで奮闘したのは岡田だった。7次で左サイドを突き、残り6メートルへ。さらに8次、荻野がさばいたパスをもらったときもしぶとく前へ出た。27分、オフザゲートのアドバンテージが採用されたところで荻野がクイックタップ、パスダミーを入れて左中間へ飛び込んだ。コンバージョンも成功し、34×29。早稲田が5点差まで詰めた。

 早稲田の3連続トライで勝敗の行方はまったくわからなくなってきた。帝京のリスタートキックをキャッチし、21−10−12と左へ振る早稲田。ところが、坪郷が落球してしまう。ボールを獲得した牧田が縦に前進したあと、帝京は15フェーズに渡ってFWのサイド攻撃でゴールラインを目指した。30分、最後は坂手が右サイドを突き、複数のコンタクトをかいくぐるように体を操作。左中間へグラウディングを果たした。コンバージョンも成功し、41×29。帝京が差を広げた。早稲田は34分、スクラムコラプシングのPKを得て敵陣22メートル内へ進み、主導権を握ったが、インゴールへ到達するまでに時間がかかってしまう。1度、帝京ボールとなったあと、39分にPKを速攻。40分にもノットロールアウェイのPKをクイックで仕掛け、右チャンネル1で小倉がゴールラインに肉薄した直後、坪郷が右サイドを突いて右中間へトライ。41×34。だが、ドロップキックのコンバージョンが不成功に終わったところで、無情にも試合終了の笛が鳴った。



 早稲田としては風上の前半、リードを奪って折り返したかったか。追い風はチャレンジャーにとって厄介なこともある。おそらくはキックを蹴るよりもパスをつなぐラグビーをしたいであろう早稲田にとって、追い風は余分に持たされた土産のようなものだったかもしれない。ただ、前述したようにポゼッションで圧倒的に不利だったにもかかわらず、2点ビハインドなら良しとすべきか。翌日の新聞に「40点も取られたら勝てない」という後藤禎和監督の談話が掲載されていたが、被ターンオーバーとミスによってボールを渡してしまったのがきっかけとなる失トライが計3つあった。ボールキープ力で帝京より劣った敗戦という見方ができそうだ。ただ、スクラムは健闘し、とくに後半途中から、FWに何か極意をつかんだという雰囲気があった。そして、昨年の準決勝で帝京に追加点を奪われた後半、動揺がありありとうかがえ、イージーミスを連発した内容を想起すれば、今回、34×10から3連続トライで巻き返したのは精神的に成長した証拠。素直に称えるべきだろう。試合終了直後、垣永キャプテンが悔しさよりも何かしら満ち足りた表情を浮かべていたのも、そのあたりにあったと推察する。個人的には後半28分、岡田がどこかを傷めてピッチを去ったのが残念だった。直前、荻野のトライを導いたのは彼といっても過言ではない。帝京のディフェンスはサイドに人が立っていたが、岡田に対する警戒心が薄かった。バックローの経験を持つ体の強さと気の強さでもって前進を繰り返した以上、帝京は岡田をマークしなければと思ったはず。それを受けて早稲田がどんなアタックを仕掛けるか――に興味津々だったのだが。あと、先制トライにおける布巻の突破が象徴的だったけれども、早稲田は布巻と金をピッチ中央に配しながら多彩な攻撃をする。その様子を見ながら、最後尾から藤田が自由に動くというのが、早稲田の売りのひとつだ。しかし、この試合は藤田以上に両WTB、荻野と深津が東奔西走とばかりにあちこちへ顔を出した。2人はディフェンス面でもワークレートが高かったし、坪郷と飯野の好タックルも特筆に値する。見方はいろいろあるだろうが、胸を張っていい敗戦だと思う。

 帝京は後半に投入された大和田がチームにカツを入れた。自分の役割を心得ているかのように縦のゲインで流れを引き寄せた。イラウア、杉永の両FLは接点で上々の働き。大舞台でランナーとしての魅力を最大限に見せつけた小瀧、ハイパントキャッチの名手ぶりを発揮した牧田に、もちろん流、松田、中村、竹田らも盤石の安定感。トータルに強いという内容だった。後半、ナイーブな一面をのぞかせたのが、日本選手権へ向けての課題になるだろうか。反則数が多く、セットとブレイクダウンの出来にひょっとしたら不満があるかもしれないが、筆者が帝京に抱く思いは、とにかくこのチームのラグビーは美しいということ。ボールキャリアーの姿勢、立ってプレーする頻度の高さ。この2点において、他チームとかなり差を感じる。前人未到の5連覇も当然であろう。SH猿渡知(現神戸製鋼)、bW堀江翔太(現パナソニック、メルボルン・レベルズ。TL入り後、HOへ転向))の2枚看板が活躍したあたりから順調に階段を上ってきた帝京は、大学選手権で優勝を重ねているあいだもプレーの幅がどんどん広がり、年々、完成度を増してきている。おそらくプレーヤーだけでなく首脳陣、そして組織としてのあり方も進化を続けているのだろう。今回のメンバーは3年生以下が多い。まだまだ伸びる余地のあるチーム。連覇記録をどこまで継続するか、末恐ろしくも楽しみでならない。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ラグビーへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 11
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
いつもポーカーフェイスの金選手が泣き崩れる姿を見るとは思いませんでした。
ここまで来るまでの思いを少し感じました。
oyaji
2014/01/16 13:56
 コメントありがとうございます。
 金正奎選手は大泣きでしたか。そういえば藤田選手の涙を見るのは初めてでした。代表戦を除けば、勝利チームにいるところしか見たことがありませんので。
なぎさ
2014/01/16 23:35

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
トータルな強さを誇示 帝京、前人未到の5連覇達成!〜大学選手権ファイナルステージ決勝 ワンダーランド・なぎさ亭/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる