ベイツ、ハットトリック! 東芝、後半に突き放す完勝 織機は3連敗~TL.1st第5節(5)

画像 近年、TLには海外からビッグネームが続々と来日している。外国人選手はチームへ完全にフィットする2年目が最大の脅威だ、というのが個人的意見。しかし、相次ぐビッグネームの新加入に目移りし、2年目になると、「この選手はとんでもなく凄い!」と大騒ぎしたくなる激情が薄れていたりする。誰もが羨ましがる美人の嫁さんがいながらキャバクラ通いに精を出す男の心理は、たぶんこんな感じなのだろう。今回は第5節の(5)として、20日瑞穂の第1試合、織機vs東芝戦について。東芝はシャークスから今季新加入の目玉、南アフリカ代表の53キャップのビッグネーム、フランソワ・ステインがSOで初先発した。


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 【プールA ●豊田自動織機シャトルズ10×35東芝ブレイブルーパス○】

 前半1分、東芝は敵陣10メートルのラインアウトからフラットなラインで左へ展開。SH小川高廣のパスをもらったSOフランソワ・ステインが縦に突っ込んだ。しかし、ノットリリースザボールの笛。ラインアウトの1次、浅い位置から強さを兼備するBKプレーヤーの縦でなんで絡まれるねん、と一瞬思ってしまうシーンではあるが、体を張ってその場に留め置いたSO大西将太郎のタックル、そしてラインアウトから素早くBKラインとのあいだを埋めに行った流れでジャッカルしたHO吉田伸介、前近鉄2人のファインプレーというべきだろう。織機は敵陣22メートル手前へ進出。ところが、ラインアウトから右へ展開、大西にスイッチで入った左CTBシオネ・テアウパがクラッシュしたポイントでターンオーバーされてしまう。東芝は4分、スクラムコラプシングのPKを得て、敵陣22メートルの位置で得意のラインアウトモールを組んだ。織機は左FLクリス・ラウリーが中を割り、モールアンプレイヤブルにする好守備で抵抗。その後、どちらも決定機を見い出せないまま推移した9分、東芝が先制する。ハーフウェイ地点でノットリリースザボールのPKを得てショットを選択。ステインが余裕たっぷりにロングPGを決めた。

 10分、織機はハーフウェイ過ぎのラインアウトから右へ振り、右WTB坂井克行がステップを切って裏へ抜けた。ゴールライン付近へキックを蹴ろうとしたタイミングで左WTB大島脩平の追尾タックルを受け、ノックオン。ビッグチャンス到来はならなかったものの、ハイタックル、ラインアウト時のBKラインのオフサイドと連続PKを得た織機は15分、後者のPKでショットを選択する。大西のPGは右へ逸れたが、東芝も20分、小川に狙わせたハンドのPGが外れてお付き合い。しばらく膠着状態が続く。東芝はステインのロングキックでエリアを稼いで流れを整えようとしていたが、22分、織機は右CTBヴァカ ジェセフウィルソンがカウンターラン。右WTB廣瀬俊朗に止められたあと、9-10の左、大西がスペースを埋めに走った大島の頭上を越える好タッチキックを蹴った。本来、その場所を守る廣瀬がヴァカのカウンターを止めた直後だから不在……あたりまえの判断だけれども、バックスリーをカウンターへ巻き込んだときに意識しておくべき事柄である。しかし東芝は23分、中央線付近でブレイクダウンのこぼれ球を獲得した2フェーズ目、9-10-11の左展開、ステインの鋭いフラットパスをもらった大島がゲイン。敵陣22メートルに達したところでゴールライン前へ転がるキックを蹴った。織機はFB飯田貴也が懸命に戻る。東芝は右CTB松延泰樹もチェイスした。暴れるボールを第3波、FB夏井大輔が拾って左中間へトライと思われたが、TMOに諮られた結果、大島がセービングしながら浮かせたボールを松延がノックオンしていた。しかし、大島のゲインによって地域を進めた東芝は26分、ラインアウトのエアチャージのPKにより、残り5メートルの位置でラインアウト。№8望月雄太がキャッチしてモール。時計回りにズラした左側から孵化するみたいに出てきたのは、左FLスティーブン・ベイツだった。左コーナーへ飛び込んでいってトライ。

 小川のコンバージョンは不成功に終わり、0×8。東芝は31分にも見せ場を作った。相手タッチキックを自陣10メートルでクイックスローインし、右へツーパス。7番リーチ マイケルが右斜めのラン、敵陣10メートルと22メートルのあいだまでゲインした。アジア大会のセブンズ代表に選ばれている以上、スペースを走る練習をしておかなければならない。ところが、ブレイクダウンでノックオン。織機はこのスクラムから9-10、大西がショートパントを蹴った。戻って捕球した左CTB仙波智裕をテアウパが倒してターンオーバー。2次、9-10-13の左展開でベイツの止められたヴァカが仙波に絡まれたが、仙波の膝が地面に着いていてプレーオンザグラウンド。35分、織機はショットを選択した。しかし、大西のキックは右へ逸れてしまう。逆に東芝は38分、小川がオフサイドのPGを決めた。0×11となったところで前半が終わる。

 後半のキックオフは東芝。左奥へ蹴り、キャッチしたSH梅田紘一に望月が突き刺さった。ノックオンを誘って敵陣22メートル内でスクラム。ここでコラプシングのPKを得た東芝は残り5メートルの位置でラインアウトモール。亀甲縛りのような固いバインドで中を割らせずドライブし、ベイツが左中間へトライ。コンバージョンも成功して差を広げた東芝は、4分にPGを追加した。この局面は、防御ラインにたっぷり人数を揃えて余裕をもって守る東芝が、織機の後方を通した左展開、左WTB大居広樹に対し、まず外側から廣瀬が詰めていった。それを見て躊躇した大居を右LO大野均、HO湯原祐希、ベイツが捕まえて一気に押し返し、ノットリリースザボールのPKを得たのだった。

 6分、東芝はオフザゲートのPKで敵陣10メートルと22メートルへ進出。ラインアウトから9-12-10-14の右展開、12と10のあいだにデコイを入れて松延にスペースを作ったが、廣瀬のパスが松延へ通らずタッチ。8分にはレイトタックルのPKを得て敵陣22メートル内でラインアウトの好機を迎えたものの、スローをクリーンキャッチできず、右チャンネル1、ステインのポイントでベイツがオフザゲート。取り切れない場面が続いたが、12分、織機にハンドのPKでノータッチを蹴るミスがあり、蹴り合いへ移行したのち、キックキャッチに始まる3次で小川が左サイドを抜ける。密集脇の1人目(ピラー)の飛び出しが早く、そのスペースへ突っ込んだのだった。左LOへ入っていた中田英里へつないで敵陣22メートルへ。その後、オフザゲートのPKを得た14分、残り5メートルのラインアウトモールでフィニッシュする。大野がスローをキャッチして左へズラし、ベイツがハットトリックとなる右中間へのトライ。このモールでは左から絶対に中へ割らせないという望月の働きが光った。ゴールも成功、0×28となった。

 3週続けての完敗ムードが漂う織機。しかし19分、9-10-13の左展開でヴァカが縦を突き、湯原をカットイン、右PR浅原拓真をハンドオフで外して敵陣奥へゲインする。右についたテアウパへのオフロードがつながったピッチ左のラックから、右チャンネル1で右FL韋馬克(マーク・ライト)。ところが、韋馬克がノックオンしてしまう。本当は彼がデコイランナーで、梅田は大西にパスを投じたかったか。それでも直後のスクラムで東芝がコラプシング。織機は残り7メートルでラインアウトモールを組んだ。東芝はドライブを許さず、織機は№8バツベイ シオネが右サイドを突いたあと、BK中心の攻めへ移行する。最初のモールにFWが集まった流れのまま、BKフェーズが繰り返されることになったが、東芝のディフェンスはそれに合わせ、接点に人数を置かずにライン全体で守る。人数に余裕があるときは外側が包み込むアンブレラ・ディフェンスを交えていたので、21分、織機が9-15の左で飯田が上がった外側の背後へキックを蹴ったのはいい狙いだったといえよう。チェイスが追いつかず、タッチとなったが、エリアの優位性を保った織機は23分、ようやく1本を返す。松延のキックをテアウパがキャッチして右へワンパス、飯田が裏へ抜けた。バツベイがスイッチで入って残り6メートルへ迫ったラックから、9-12、9-4と右を攻める。左LOフィフィタ・シオサイアが途中出場の左CTBリチャード・カフイのタックルを受けながらも右中間へトライ。

 ゴールは不成功に終わったものの、意気上がる織機はその後も活気あるアタックで東芝陣を賑わす。26分、敵陣10メートルのラインアウトに始まる連続攻撃の6次、9-20-14の右展開で、№8へ入っていたライアン・カンコウスキーがそばへ走り込んできた坂井へオフロードパスを通したのは見事。32分にはオフサイドのPKにより、残り5メートルでラインアウトの絶好機を迎える。モールからチャンネル0の近場で勝負する中、東芝は浅原がオフサイドを犯してシンビン。PRの退場を受けて、織機はピッチ右でスクラムを選択する。20-21の左、左サイドのチャンネル0で東芝のディフェンスを寄せたあと、坂井がパスアウト、22-13-15-12と左へ振って、テアウパが左隅へトライ。東芝は小川が飯田を、カフイがテアウパを捕まえようとしたが、完全に後追いになっていた。

 東芝はここまで3トライ。4トライ目を挙げてボーナスポイントをゲットしたいところである。37分、SHへ入っていた山口修平が敵陣22メートル付近まで地域を進める好タッチキック。織機のラインアウトミスによりマイボールとした東芝は直後の右チャンネル1でモールを組んでドライブ。残り6メートルまで迫った。ここで織機にモールコラプシングがあり、38分、残り5メートルでラインアウト。ラウリーに割って入られ、ラックになったあと、右チャンネル1で途中出場の右PRエストレラ大輔。織機はバツベイがラックで相手の足を持ち上げるラフプレー。39分、東芝は再度PKをタッチへ蹴り出し、モールから近場を穿っていく。そして40分、山口が左サイドへ自ら勝負。左PRへ入っていた五十嵐健二の標的にされてどうかと思われたが、タックルの圧力を巧みなボディコントロールで逃がし、左中間へトライ。ゴールも成功、東芝が10×35として有終の美を飾った。




 織機は先々週のNTTコム戦、先週、僕が現場で観たパナソニック戦と見せ場に乏しいゲームが続いた。しかし、この試合はブレイクダウンのサポートに改善の兆しが見えた印象。停滞するシーンも目立ったが、とくに後半、生きたボールが出るシーンが増えた分、BKのランで何度かチャンスを作ることができた。後半の入り、梅田が望月のタックルによってノックオンさせられ、直後のスクラムでコラプシングのPKを献上、ラインアウトモールでトライを奪われる場面がなかったとしたら、接戦が続いた可能性もある。ただ、後半の入りが何より大切という東芝の認識が望月の猛タックルに表われていて、両者の違いは勝負所で好プレーをするか否かの厳粛さにあった、ともいえよう。織機側のピックアッププレーヤーはFWからラウリー。ラインアウトモールで2度、好守備があり、対東芝用のフィジカル要員として十分に機能した。BKでは陣形を踏まえた判断に長足の進歩を遂げている最中の坂井、カウンターランで見せ場を作った飯田の2人が目立った。個々の能力は優れているので、ブレイクダウンとセットを整備し、個の力が結束した昨年のファーストステージのような状態まで早く調子を上げたい。

 東芝は4トライ目が後半40分。意外にモタついた。試合を観ながら「ステインのおるチームはトライが少なくなるんや」(今季のシャークスもトライが少なかった)などと思っていたが、キックが多くなったことと、東芝の反則数が11と多めで相手に攻撃権を与えたことが、スコアが途中まで伸びなかった原因として考えられる(前者は問題にすべき事柄ではないだろう)。しかしディフェンスを見る限り、FWフェーズには一極集中で体を張り、BKフェーズには面で守るスタイルを使いわけていて、かなり余裕のある内容だった。挙げたトライは得意とするラインアウトモールが3つ、ラインアウト起点が1つと偏っていたけれども、道中の攻め方はなかなか面白かった。初先発であることを考慮してか、ステインに全権委任するという感じではなかった。FWの縦を交えながら余裕のある局面でステインに判断してもらう、といった具合に共同作業でゲームを作るような感じ。ファーストレシーバーを主に大島が務めた前半28分の連続攻撃は象徴的なシーンであろう。その大島をピックアッププレーヤーとしたい。FLの経験があって関東学院時代は大型SHとして脚光を浴び、現在は主にWTBで起用されているが、こういう経歴の人は間違いなく天性のフットボーラ―である。隅っこでボールが来るのを待っているだけという戦術は向かない。ボールを動かす中、中央へボールをもらいに来てプレーしているうちに頭も体も冴えてくるのだ。彼のバイオリズムを考えると、内のFWで防御を集めて外のスペースで勝負というオーソドックスな戦法はあまり適していない気がする。個人的見解ではあるが、大島だけでなく松延や途中出場の増田、ハーフの小川に関しても奔放なラグビーで真価を発揮するタイプではないだろうか(HOの湯原も実は走り回ってパスするのが性に合っているかもしれない)。東芝がボールを動かす傾向にあるのは、3、4年前ならともかく今のBKメンバーであれば適切な試みであろう。今後、もともと指向していて現在も脈絡と受け継がれている硬派のラグビーとの融合で東芝がどこまで完成度の高いチームになるか――に注目したい。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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