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zoom RSS 布巻、土壇場で決勝トライ! 早稲田、筑波に劇的な逆転勝利〜関東大学対抗戦 第3節

<<   作成日時 : 2014/10/01 06:00   >>

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画像 個人的な印象として、このところ、大学のゲームが若干変わりつつあると感じる。変化がもっとも顕著な部分として挙げたいのはSHが攻撃のキーマン、突破役となって流れを作るシーンが増えたこと。かつて早稲田が隆盛を誇ったころ、現ヤマハの矢富勇毅がニュータイプのハーフとしてディフェンスを掻き回したが、他チームの追随、模倣はなく、しばらくはパスマシーン型の9番が大勢を占めていた。その流れが変わった理由の1つには、各チームの戦術が個性的で、異なるスタイルの激突に最大の妙味を感じる高校ラグビーに攻撃的なSHが増え、彼らが大学へ進学してきたことにあろう。また、ワラビーズのウィル・ゲニア、スプリングボクスにしてサントリーの主軸、フーリー・デュプレア(今季は故障欠場中)が活躍し、後者は日本でプレーぶりをまのあたりにできるとあって、さすがに保守的な大学チームも、才能溢れる逸材にパスマシーンであることを強要して個性を殺すような、愚かな真似はしなくなった(あえて名前は出さないが昨年、まだ1チームあったかな。当該選手が故障がちだったので、ハーフ近辺における時代遅れぶりがクローズアップされることはなかったけれども)。1つ、エポックメイキングとして記憶に残る試合がある。2季前の大学選手権、日大のSH小川高廣(現東芝)が自身の突破に留学生ペネトレーターを組み合わせて奔放にゲームを組み立てたら、リーグ戦で大敗した東海をあと1歩で撃破する凄まじい試合になったのだ。以来、どのチームもハーフがより大胆になった、と感じる。小川に喚起されたのではなく、流行的現象と同列のムーヴメントという形容が当てはまるのだろうけど。関東大学対抗戦、第3節のTV観戦記は攻撃的ハーフの代名詞、岡田一平を擁する早稲田と筑波の試合について記す。


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 【●筑波大学15×19早稲田大学○】

 最初にチャンスが訪れたのは筑波だった。左CTB松下真七郎が、処理する右WTB荻野岳志がセーフティーに真横へ蹴るしかない好タッチキックを蹴り、前半1分、敵陣22メートルを越えた位置でラインアウト。しかし右順目を攻めた3次、チャンネル1の左LO藤井俊希の前方に外側から左FL水上彰太が入ってしまい、オブストラクションで逸機。早稲田は5分、蹴り合いで荻野がショートパント。左WTB福岡堅樹がセービングミスした地面のボールを自ら拾い、敵陣でフェーズを重ねた。筑波は出足のいいタックルで応戦する。7次、9−10−14の右展開、荻野に右CTB鈴木啓太が内側からタックル。松下、右FL窪田寛、藤井がポイントを乗り越えた。ターンオーバーの危機に焦った早稲田は右LO桑野詠真がオーバーザトップを犯してしまう。このPKで敵陣10メートルと22メートルのあいだまで進出した筑波は、9−12の右、1次で松下が縦に突っ込む。SO小倉順平が止め、左LO大峯功三が乗り越えようとした早稲田ではあったが、最初にアシストタックラーで入ったとき、大峯がホールディングを犯していた。7分、筑波は松下がPGを決め、3点を先制した。

 9分、早稲田は相手ノックオンにより、敵陣22メートル右端でスクラムを得た。ボールを動かしつつの縦。左ショートサイドの左チャンネル1から9−8−10−12と右へ振り戻したあと、左CTB飯野恭史からガットでもらったSH岡田一平が、防御が未整備だった左の狭いほうへ仕掛けてディフェンダーを引きつけ、筑波の守りを完全破綻に陥れようとしたのは、強気な姿勢と判断の確かさが同居する彼らしいプレーだった。ところが6−4とつなごうとしたところで、大峯にパスが通らず、ボールはタッチ。チャンスの芽を潰してしまう。早稲田は13分にも敵陣10メートル左のスクラムを起点に攻めたが、右展開でピッチを幅一杯に使い切ったあとの折り返し、左チャンネル1で右FL加藤広人が水上のタックルを受け、落球した。マイボールとした筑波は15分、プレーオンザグラウンドのPKにより、敵陣22メートル内でラインアウトのチャンス。藤井をジャンパーとしたモールを押し込み、HO村川浩喜がトイメン2番、菅野卓磨、左WTB深津健吾、岡田に来られながらも右コーナーへ。本人によるものかどうかは定かでないが「置いた!」という声が集音マイクを通して聞こえるトライを追加し、8×0とした(コンバージョンは不成功)。

 筑波は20分、ハイパントキャッチを起点に敵陣へ攻め入った。5次でSH木村貴大が右サイドへ仕掛けてチャンネル1、さらに9−12−10−14の右展開からbW横山大輔が左サイドを突いて村川へつないだ一連のアタックは、早稲田がラックサイドへ立ち切れず、筑波のチャンスが拡大しそうな匂いが漂った。しかし直後の左チャンネル2、早稲田は加藤が右LO中村大志を倒し、菅野が絡んでノットリリースザボールのPK。ピンチを脱出する。ハーフウェイまで戻したラインアウトでノットストレートがあったものの、ほどなく木村のさばきミスによるノックオンに救われた23分、早稲田はハーフウェイ手前左端のスクラムを起点に連続攻撃。5次で左リターンパスと見せかけて外へ放し、6次でも9−4−10−7の左展開で防御を引きつけてショートパスと、小倉がパスワークの巧さで筑波の防御を崩しにかかる。そして9−10−14の左展開、荻野がいい姿勢で小倉のパスをもらい、ラインブレイク。残り5メートルまでゲインした。ボールを奪おうとした鈴木にオフサイド。25分、早稲田は岡田が速攻し、そのまま左コーナーへ潜り込んでいくトライ。ようやく5点を返した(コンバージョンは失敗)。

 しかし筑波は32分、倒れ込みのPKで残り5メートルのラインアウトと絶好機を迎える。モールからFWの近場勝負へ移行したが、早稲田は右PR薄井諒介を阻んだラックでファイト。直前に押していた早稲田ボールのスクラムで再開となった。右8単を止めたポイントでハンドを犯し、チャンスが完全に潰えたかと思われた筑波だったが、早稲田が自陣10メートルのラインアウトから2−8−9−10の右、岡田が仕掛けを入れ、HB団で攪乱しようとしてきたところで、松下が小倉にタックル。ハンドリングエラーを誘ってマイボールとし、左へ展開した。福岡がショートパント。自ら追って確保すると、途中出場のHO清水新也をハンドオフで外し、中央まで50メートル強を走り切るトライ。日本代表のスピードに秩父宮が沸いた。ゴールも成功し、15×5。早稲田は前半終了間際に攻め込んだものの、オフサイドのアドバンテージがある中狙った小倉のDGが失敗。あらためてショットを選択した39分のPGも右へ逸れ、不成功に終わった。ドロップアウトのキックカウンターの2次は、左の狭いほうに人数を配した9−10−12−15。防御を吸引する小倉の間合いが素晴らしく、クルセイダーズがしばしば見せるような、スペースのない数的優位を完全に制する効果的なアタックだった。FB黒木健人が残り7メートルまでゲイン。ところが、2フェーズ後の右展開でハンドリングエラー。結局、取り切れずに終わった。

 後半1分、筑波は松下が右裏へキック。処理する右CTB勝浦秋を右WTB高屋直生がタッチへ出し、敵陣22メートル内でラインアウトモールを組んだ。しかし、ズラした際に割れ気味、相手を引っぱり込み切れずにアクシデンタルオフサイド。それでも5分、ハンドのPKを得て、再び残り10メートルのラインアウトの好機を迎えたが、FWの近場で勝負した3次、左チャンネル1、横山がクラッシュしたポイントへ窪田が倒れ込んでしまう。が、早稲田も攻め切れず、自陣へ釘づけ。筑波は8分、蹴り勝って敵陣22メートル手前でラインアウト。レフリーにボールが当たった10分、22メートル内中央のスクラムで仕切り直しとなった。8−9−15の右展開。早稲田は黒木と途中出場の左FL布巻峻介がダブルタックル。FB本村直樹を押し下げた。そしてガットで手渡した木村を、すぐに立ち上がった布巻が捕まえ、ハンドを誘う好守備で事なきを得る。

 ピンチを脱出した早稲田に転機が訪れるのは14分。敵陣10メートル過ぎのラインアウトを起点とする筑波の2次(1次でジャンパーの窪田を着地と同時に倒し、モールを組ませなかった桑野も好プレー)、右サイドを突く水上を止めたブレイクダウンでファイトし、ターンオーバー。2フェーズ後、9−10−9、小倉の右リターンパスをもらった岡田が捕まった際、ハイタックルのPKを得た。筑波としては鈴木が岡田をリフトアップしてモールアンプレイヤブルを狙えただけに、加勢した横山が柔道でいう裸締め、プロレス技名スリーパーホールドで岡田の首を絞めながら倒してしまったのが痛い。敵陣へ進出したあと、ノットストレートが2度とラインアウトが安定しなかった早稲田ではあったが、その代わり、スクラムで圧倒する。18分、ヘッドアップのPKを得たところで、タッチキックではなく、残り5メートル左の位置でスクラムを選択。20分、8人が一体となって押し込み、bW佐藤穣司が左中間でグラウディングするプッシュオーバートライ。小倉のコンバージョンも成功し、15×12となった。

 その後、ハーフウェイを挟んだ一進一退の攻防がしばらく続いた。29分、早稲田は相手ノックオンにより敵陣10メートルやや左でスクラムを得たものの、8−9−12−10の右展開でハンドリングエラー。横山がボールを獲得した筑波は2フェーズ後、9−22の右で途中出場の左CTB亀山雄大が敵陣22メートルへ。3フェーズ後、左チャンネル1で左PR橋本大吾が縦を突く。前進を許しながらも布巻と加藤が2人がかりで止めた早稲田は、布巻がすぐに立ち上がってカウンターラック。ターンオーバーし、岡田が右裏へ好タッチキックを蹴って、筑波を自陣10メートル手前まで後退させた。しかし筑波は、このラインアウトを起点に攻めた3次、9−10−11の左展開で福岡がギャップを裏へ抜ける。内へ切れ込みながら、敵陣22メートルの中へ。岡田の追尾タックルに捕まりながらポップパス、サポートした村川が右中間残り5メートルまでゲインした。早稲田は加藤と清水が村川を阻む。倒れざま放したパスを高屋が落球。ここで村川が寝たままルーズボールを扱ってしまい、早稲田のボール獲得とあとに続くアタックを妨げてしまった(立って確保するのはOK。アドバンテージが採用され、早稲田ボールのスクラムで再開されるだろう)。意地悪でやったのではなく、つい手が出たのだと思うが、現象的には悪質である。32分、村川がシンビン処分。残り時間、キーマンを1人欠く筑波に暗雲が垂れ込めた。

 だが、早稲田もハンドリングエラーによる頓挫があり、数的優位を生かしたビッグチャンスがしばらく訪れないまま、時間だけが過ぎていった。41分、早稲田はハーフウェイ左のスクラムから8−9の左ショートサイド。岡田が高屋をハンドオフで外して前進しようとした。ここで筑波は木村がハイタックル。42分、敵陣22メートルのラインアウトを起点に、早稲田の猛攻が始まった。15次、9−10−19と左展開した早稲田に対し、筑波は高屋が外側から布巻を仕留める好タックル。直後、早稲田は岡田が空いた右サイドを衝く。岡田の判断はよかったが、サポートの反応が遅れて孤立。筑波にとってはターンオーバーのチャンスだったが、ポイントに入ったプレーヤーが倒れてしまった。アタックを継続した早稲田は布巻がパスアウトした右チャンネル1、右PRへ入っていた千葉太一がスピンで前へ出てアタックを立て直し、桑野が左サイド。さらに9−14の右で荻野が縦を突き、ゴールラインへ肉薄する。そして岡田が右サイドへ行くと見せかけて真後ろへショートパス。45分、捕球した布巻が、密集サイドをこじ開けるようにして右中間へ飛び込んでいった。土壇場で逆転のトライ。筑波のディフェンダー2人が、サイド突破が得意な岡田に注意が向いてしまい、布巻をフリーにしてしまった。ゴールラインを背にした局面では責められないか。HOのシンビンはフェーズを重ねられた近場の防御で響いてくるものである。小倉がコンバージョンを決め、15×19となったところで試合終了。SO浅見晋吾(今回リザーブ入りしていたものの出場はなし)がサヨナラPGを決めた昨年の対戦同様、今年も早稲田の劇的勝利で幕が下ろされた。




 筑波はよく前へ詰めて粘り強く守っていたが、最後にミスをしなかった早稲田に決勝トライを許した。アタックでは、早稲田の防御ラインがオープン側のパスコースにプレッシャーをかけてきたので、大きくボールを動かして崩すという形がなかなかできなかった。アンストラクチャーや、わずかな隙をついて福岡が走る形でチャンスを作ったのだが……。反則が14をかぞえたように規律面は修正すべき材料。スクラムの劣勢が顕著で、その方面では唇を噛む思いでいると想像するけれども、ピックアッププレーヤーには橋本を挙げたい。ボールを持てば必ず前へ出るボールキャリーに好感。端から折り返すクラッシュや、ピック&ゴーでもう1度ゲインラインを越えてアタックリズムを整える際に頼りになる存在。同じ1番でいえばワラビーズのジェームズ・スリッパー、キヤノンの菅原崇聖を彷彿とさせる推進力だった。シンビンはあったものの村川は攻守に要の働き、視野の広い木村、安定感ある松下、もはや別格の福岡と目につくプレーヤーは幾人もいた。ケガ人が多い中、レベルをさほど落とさずに戦えている点に好感を抱く。

 早稲田に関してはとくに前半、アタックのオプションが少ないと感じていた。解説の野澤武史さんが、すぐにBKへ展開してボールを下げることについて、相手防御のどこかにスペースができることを意識したパス回しなのかどうか、疑問を呈しておられた。「筑波にとってちょっと見えやすいアタック」とも。本来ならボールを動かす中、ピッチ中央付近でFWがパスをもらい、縦を警戒する相手に対して器用なハンドリングを駆使、テンポを落とさずに隅のスペースへボールを運ぶ(一瞬、縦を警戒した相手はスライドが遅れる)とか、相手の出方によってそのままランで勝負するといったプレーが含まれるはずなのだ。しかし、FWのメンバーが完全に揃わず、時期的なものも関係してか、パスムーヴになるとボールを手にするプレーヤーがだいたい決まっていた。それも、ボールを下げる形が多い。これなら、縦クラッシュで楔を打ち込み、防御を内へ集めてから外へ振る組み立てを入れたほうがいい、と感じた。ただ後半、布巻が登場すると、彼がファーストレシーバーになるオプションが混ざり、筑波のディフェンスを若干惑わせる効果をもたらした。だが、この試合で布巻の存在感が際立ったのはブレイクダウンだろう。タックルしたあと、すぐに立ち上がってボールへ絡むかオーバーする。大学レベルで、このプレーを試合できっちりやってのける選手は少ない。後半、早稲田の接点の厚みが前半とはまるで違った。決勝トライを挙げたこと以上にブレイクダウンを評価し、個人的MOMは布巻。あと、HB団も良好。岡田に何度か最適の判断があり、小倉はパスの間合いひとつで防御の足並みを乱すことができる。筑波のディフェンスに捕まることの多かった前半、1本返せたのはHB団の働きによるところが大きい。課題は7/13の獲得率だったラインアウトか。ほかにも未成部分は散見されたが、最後にミスなしで取り切る逆転勝利に、早稲田はおのれの力を再認識したと思う。「俺ら、イケるやん。あんだけ練習してんねんから当たり前か」といった自信を胸に、今後の試合を戦うことである。大学選手権決勝まで5か月間とシーズンが短い大学ラグビーでは、自信が芽生える試合、成長を促す試合を経験することが、何にも増して重要なのだ。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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