FWの圧力に苦戦もジャパン、手堅く6PG きっちり白星~テストマッチ 日本vsルーマニア

画像 ジャパンとルーマニアのテストマッチ終了後、現地の子供たちがグラウンドへ入ってきて、選手のそばへ寄ってサインをねだっていたのはいい光景だった。選手にぞろぞろとついていく子供たちがリストバンドやらバンテージまでほしがって、「これはダメだよ」などと言われている(あくまで想像だが)。子供って可愛い、とつくづく思う。でも、ここで悪しき妄想が芽生えるのが、僕の悪い癖。この中に通訳の松平貴子さんをナンパしようとする『クレヨンしんちゃん』みたいな奴がいたら、などと考えてしまった。「おでん食べませんか?」なんてね。最近僕は、松平さんはNHKの女子アナ顔だなァと思っている。でも以前、松平さんがサントリーの通訳をされていたころにフーリー・デュプレア、ダニー・ロッソウ、トゥシ・ピシ、前年に引退したジョージ・グレーガン(旧交を温めに来ていたらしい)といった面々とともにアップグラウンドへ向かう姿と遭遇したときは、秋物のスーツといういでたちも相俟って、学校の先生みたいに見えた。男子生徒だけでなく女子生徒、そして同僚教師みんなに好かれる学園のアイドル。で、1人、その人気を快く思わないお局様みたいなベテラン女教師がいる(山下容莉枝さんあたりがハマリ役)……。

 前文はこのくらいにして、ジャパンvsルーマニア戦のTV観戦記に入ろう。


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 【○日本代表18×13ルーマニア代表●】

 前半3分、ルーマニアは、ハーフウェイを越えた位置のラインアウトを起点にボールを動かして連続攻撃。様子を見ながらターンオーバーの機会をうかがったジャパンは7次、9-10-6の右展開、SOフロイン・ブライクのショートパスをもらった左FLオビディウ・トニツァを右PR畠山健介、左PR三上正貴が止めたポイントに人数をかけた。そして、こぼれ球を拾ったSHバレンティ・カラフェテアヌを左LO伊藤鐘史が倒し、№8アマナキ・レレイマフィが絡んでノットリリースザボールに陥れる。4分、ジャパンは敵陣10メートルと22メートルでラインアウトを得る。FW3人が並び、HO木津武士のスローは手前に走り込んだSH日和佐篤。日和佐が右PRイオン・パウリカに捕まったとき、3人のFWはオープン側に離れようとしていたので、本来は日和佐の左で木津がパスをもらうサインではなかったか。接点に入ったのが木津1人だったのを見て、慌てて3人が急行したが、伊藤が倒れ込みをとられて逸機。しかしジャパンは7分、自陣で相手ラインアウトを伊藤がタップでスチール。連続攻撃で敵陣へ進出した9分、9-10の右、SO小野晃征が右コーナーへグラバーキックを蹴った。チェイスの右WTBカーン・ヘスケスが地面のボールを拾えずにノックオンしたのは惜しかったが、ジャパンは14分、ラフプレーのPGにより、3点を先制した。

 ルーマニアは3点を失っただけでなく、狼藉をはたらいた左LOマリウス・シルベがシンビン(自陣モールで左FLツイ ヘンドリックの首を絞めた)。10分間、1人少ない状態を余儀なくされた。それでも15分、FB五郎丸歩のダイレクトキックによって敵陣10メートル過ぎでラインアウトを得たのち、17分にオフザゲートのPG。3点を返すと、21分、相手ノックオンによるハーフウェイ手前のスクラムを起点とする2次、9-10の右でSOフロリン・ブライクがキックを蹴った。ジャパンは左WTB山田章仁が処理して右へ放したが、五郎丸が落球。ルーマニアはFBカタリン・フェルクがルーズボールを足にかけ、ドリブルで右中間ゴールライン手前までボールを運んだ。五郎丸が戻って確保、インゴールへ持ち込んでキャリーバックにして即トライを免れたジャパンだったが、そこから約5分、ルーマニアの“欧州スクラム・レッスン”が待っていた。6月、イタリアに組み勝ち、前2戦、マオリ・オールブラックスを圧倒したジャパンだったが、左PRアンドレイ・ウルサケとHOアンドレイ・ラドイが強かった。2度のペナルティでスクラムを選択したルーマニアは3度目、イリーガルホイールのPKで27分、ペナルティトライを勝ち取った。三上が「えっ、それはちゃうやろ!?」といった顔をしていたが、レフリーは1番側が引いたという判断を下したのではないだろうか。コンバージョンも決まり、3×10、ルーマニアがリードを奪った。

 しかしジャパンは、レレイマフィのキックキャッチを皮切りに敵陣へ攻め入った32分、オフサイドのPGで3点を返す。ところが直後、リスタートのコンテストをめぐってジャパンにオブストラクションがあり、ルーマニアは33分、残り7メートルでラインアウトの絶好機を迎えた。右LOバレンティン・ポパルランがスローをキャッチしてモールを組んだが、右へズラす際、ウェッジのプレーヤーが前方にせり出してオブストラクション。ジャパンとしては助かった。ルーマニアは35分、蹴り合いでフェルクがハイパントを蹴り、左WTBイオヌーツ・ボテザトゥが敵陣10メートル付近で好捕。トニツァが左の狭いほうへさばいたが、ファーストレシーバー、フェルクのパスが右CTBチャバ・ガルに通らず、タッチへ。ジャパンはラインアウトから連続攻撃を繰り出した4次、9-10-7の右展開で、右FLリーチ マイケルがシルベをかわして裏へ抜けた。ルーマニアは外側の防御が飛び出してくるアンブレラ・ディフェンスを多用していたが、このへんになると、ジャパンは適度なラインの深さを保って、対処できるようになっていた。6フェーズ後、左ショートサイドのチャンネル1、ラックの背後から移動してきた畠山がノックオンしたものの、スクラムを経て、カラフェテアヌのパントを敵陣22メートル手前でレレイマフィが手中に収めたジャパンに、再びチャンス到来。9-22-7-22の右ループから9-6-14と右展開へ展開する。ヘスケスが前進。あとわずかという所で捕まり、モール状態になったが、ジャパンにPKのアドバンテージがあった。42分、ジャパンは手堅くPGを決め、9×10と1点差に迫って前半を折り返した。

 後半1分から3分にかけて、ジャパンはターンオーバーを起点に連続攻撃し、敵陣22メートル近くへ。オフサイドのアドバンテージがある中、小野が右へ蹴ったキックパスはヘスケスに通らなかったものの、5分、PG成功により、12×10と逆転する。さらに10分、ジャパンは自陣22メートルと10メートルのあいだでクイックスローインして左へ展開、五郎丸の好タッチキックによって敵陣へ進出すると、ルーマニアのラインアウトモールにおけるキープミスもあって、主導権を握った。15分、ノットロールアウェイのPGを追加し、リードは5点に広がったが、ルーマニアは18分、ハンドのPKにより、敵陣22メートル内でラインアウトのチャンスをつかむ。シルベがキャッチしたモールをドライブしたあと、9-10-15の左展開でフェルクが1人を外して右へリターンパス、14番ドリン・マノレが残り10メートルへ肉薄した。そこからワンパス、ツーパスのクラッシュで男臭く穿っていくルーマニア。しかし10次、左の狭いほうのチャンネル1で、右LOへ入っていたアリン・コステが、三上と途中出場の右FLヘイデン・ホップグッドの低いタックルを受けてノックオンした。FWにオフロードパスのスキルがなさそうだったので、足を止めるロータックルは効果的である。21分、自陣5メートル過ぎでスクラムを得たジャパンは、押し込もうとするルーマニアとすれ違いでレレイマフィが右ショートサイドをゲイン。左にサポートしたツイへつなぐ。このラックのボールをさばく日和佐を潰した途中出場の№8ステリアン・ブルチェアがオフサイド。22分、ジャパンは敵陣10メートルと22メートルのあいだでラインアウトの好機をつかんだ。ところが、右LOへ入っていた大野均がキャッチミス。相手ボールになってしまった。

 27分、ジャパンは相手キックをレレイマフィがキャッチしてハーフウェイ近くまで前進した3フェーズ後、9-22の左、左CTBへ入っていた立川理道がカットインで裏に抜けた。敵陣10メートルと22メートルのあいだまでゲインし、9-10の右。小野が空いていた右裏へグラバーキックを蹴る。小野はヘスケスに反応してほしかったのではないだろうか。だが、チェイスは深い位置にいたツイ。ルーマニアはマノレが22メートル内へ戻ってボールを確保した。ツイとホップグッドに捕まったものの、ジャパンに倒れ込みの笛。ハーフウェイまで地域を戻したルーマニアは、ラインアウトを起点に5フェーズ。ゲインラインを越えられず、9-10-15の左展開、フェルクが立川に止められたポイントのサポートが薄く、ジャパンにカウンターラックでターンオーバーされてしまった。しかしジャパンは直後の左チャンネル2、木津が前へ出られず、ブレイクダウンでオーバーコミット気味。結果、次の左チャンネル1、18と16のダブルタックルを食らった大野が孤立し、途中出場のHOオタール・トゥラシュビリに絡まれてノットリリースザボールをとられた。ハーフウェイを越えた位置でルーマニアは、ショットを選択する。ここは敵陣奥でラインアウトモールのほうがよかっただろう。ブライクのPGが不成功に終わった結果論でない。どちらがジャパンにとって嫌かという問題である。仮に3点を取られたとしても、それは間男に最愛の妻を奪われるのではなく、情婦を1人失う程度のダメージしかなかったと思う。

 ジャパンは33分、自陣10メートル手前のラインアウトから2-6-9-10-22-10-13と右オープンへ振った。外側がカブッてくるルーマニアの防御にループは合ってしまいがちだが、セットピースでお互いに10メートル下がった位置で始まるのなら十分に使える。左WTBへ回っていた松島幸太朗はノミネートの曖昧なブラインドWTB、敵陣10メートルと22メートルのあいだまで突破した。3フェーズ後、9-10の左、小野がショートステップを切って22メートルへゲイン。そして13次、右展開で立川理が裏へグラバーキック。戻って確保したフェルクのキャリーバックにより、36分、ジャパンは残り5メートル中央でスクラムの絶好機を迎えた。強さでウルサケに劣らないどころか前回W杯の出来を見る限りはそれ以上のはず、途中出場の左PRミハイツァ・ラザルをコラプシングに陥れる。40分、ジャパンは手堅くPGを追加し、18×10とした。しかし、このリスタートでジャパンはノックオン。敵陣10メートルと22メートルのあいだ左でスクラムを得たルーマニアは、ジャパンFWをめくりあげて先ほどのお返し。43分、ヘッドアップのPG。18×13、5点差に迫った。残り時間はあとわずか。リスタートをキャッチしたルーマニアが2次、ブライクがキックを蹴ったのが解せない。捕球後の3次、タイムアップをレフリーに確認した小野がタッチキックで試合を終わらせた。フィジカルの強いルーマニアに苦戦したジャパンではあったが、欧州ツアー第1戦を見事、白星で飾った。




 ルーマニアが外からカブせてくるディフェンスを多用することは先に触れた。それは特徴みたいなものだからいいとして、ラックサイドの1人目(ピラー)の外側に2人目(ポスト)が立っていなくて、BKラインとのあいだにスペースを空けてしまうケースが目についた。前半9分、ジャパンの連続攻撃の際。その傾向が早々に見られている。そこで外がカブせるディフェンスだから、チャンネル1~3あたりがかなりガタついていた。このエリアの防御を整備すれば、定置網へ追い込むかのごとく内側へ誘導して接点でファイトする守りがもっと機能、南アフリカみたいなディフェンスになると思う。また、アタックのオプションは現状、あまり豊富でないようだ。自陣から仕留め切る力はなく、得点の多寡は敵陣でのセット数にかかっている。今季、イングランドのサラセンズと契約したフェルクは力強さを兼備する優れたランナーなので、彼にスペースでボールを持たせる、もしくは彼がマークを集めたところで裏のプレーを使うといったアタックを研究すると、ラインブレイクが増えそうな気がするし、FWの縦もより生きるだろう。ただ、ラインアウトモールは強烈だった。解説の野澤武史さんが仰っていたように、ズラすのはあまり巧くないけれど、力でまっすぐ押してくる。スクラムも同様にパワフル。左PRウルサケ、HOラドイをピックアッププレーヤーに挙げたい。BKではフェルクは半ば別格として、左CTBロベルト・ダスカルはいい選手だと思った。運動量の大きくない選手が多い中、守備範囲が広く、戻りも早かった。

 ジャパンに関しては苦戦したにもかかわらず、ナイーブな面を見せなかった点をまず評価したい。前半21分、山田のキックキャッチからワンパス、五郎丸が落球してフェルクにルーズボールを蹴られたのと、18×10とした直後にリスタートでノックオンしたのは、大事故につながるミスとして記憶にとどめるべきではあるが(前者は実際、ペナルティトライを奪われるきっかけとなった)。ノートライに終わったことについては、相手防御を崩壊させる1歩手前には到達しており、勝ちを最優先したゲームメイクだったから致し方なしとしたい。途中から、外のディフェンダーが飛び出してくる位置のポジショニングを深めに構えていたし、立ち遅れやミスマッチを巧みに衝いていた。今回、フィジカルを前面に押し出してくるルーマニアと戦ったことによって、次戦、同タイプのグルジア戦は圧力に対する慣れがうかがえるのではないだろうか。前2戦のマオリ・オールブラックスは防御ライン重視で接点に人数をかけないチーム。孤立さえしなければフェーズはいくらでも重ねられたが、ルーマニアは2人目の到着こそ早くないとはいえ、ブレイクダウンを力で制しに来る。その分、球出しに人数がかかり、9番近辺の囮として配置すべき「シェイプ要員」を食われたケースが散見された。グルジア戦は、慣れと修正によって、この点をどうクリアーするかに注目したい。あと、スクラムは久々に梃子摺った。日本協会のマッチレポートには「“やられた感”はない」というコメントがあり、相手のペナルティも誘っていたけれど、冷静に考えればルーマニアに軍配が上がる。グルジアはルーマニア以上に欧州クラブのフロントロー産出国として知られており、次にジャパンがどんなスクラムワークを見せるかも焦点だ。この試合のピックアッププレーヤーは、FWからはレレイマフイ。突破力は相変わらずだった。BKでは小野、サウ、立川。この3人の共通点は、ショートステップの機転が利き、フルコンタクトを避けることができるうえ、ボディコントロールにも優れる点にある。体の強さも世界と伍す一定レベルには達していて、個々の守備範囲が狭い巨漢のフィジカル型チームにとりわけ相性がいい。でも、どの相手に対しても、トータルの力量からいって現状、フロントスリーはこの3人が本線ではないだろうか。そして、ファンタジスタを必要とするとき、アウトサイドCTBに松島、あるいは田村をどこかに入れるのがいい、というのが私見。あとは、ディフェンスが代表クラスにあると思われる村田大志が、TLの試合でレレイマフイみたいに無視できない凄烈な姿を披露したとき、再びメンバーに加えるかどうか――であろう。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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