攻撃的ラグビーへ転換、スコットランド健闘も及ばず~テストマッチ スコットランドvsオールブラックス

画像 オールブラックスの欧州ツアー、第2戦はエディンバラのマレーフィールドにおけるスコットランド戦。過去に1度も負けたことがないオールブラックスの楽勝だろうと踏んでいたら、メンバーを13人入れ替えた影響もあってリズムが悪く、思わぬ苦戦となった。オールブラックスのメンバー構成からいって番狂わせには当たらないかもしれないが、それでもスコットランドが勝てば一応は事件だ。陣内智則さんが藤原紀香さんと結婚したときくらいのインパクトはある。ちなみに来年のW杯イングランド大会で、スコットランドはジャパンと同組。スコットランドを偵察する気分でTV観戦されたかたも多かったのではないだろうか。


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 【●スコットランド16×24ニュージーランド(オールブラックス)○】

画像 スコットランドは前半0分、自陣10メートル左のスクラムでフッキングせず、前進して自動的に№8のもとへボールを運ぼうとした。このプレーはレフリーに優位性をアピールする効果があるが、その甲斐あって(?)スコットランドはコラプシングのPKを得た。しかし4分、敵陣22メートル過ぎやや左のスクラムで、今度は自分たちがコラプシングをとられてしまう。ハーフウェイまで地域を戻したオールブラックスは7次に及ぶ連続攻撃。スコットランドは9-10-2の右展開、HOジェームズ・パーソンズにSOフィン・ラッセルと左FLロバート・ハーリーがダブルタックルを決め、こぼれ球を左LOリッチー・グレイが獲得したが、SHのTJ・ペレナラに倒され、SOダン・カーターに絡まれるノットリリースザボール。7分、オールブラックスはショットを選択する。カーターのPGは右へ逸れて不成功に終わったものの、ドロップアウトのキックをキャッチしたオールブラックスは、ハーフウェイ手前に始まる再攻撃をフィニッシュにつなげた。最後は敵陣10メートルと22メートルのあいだの左展開。9-1-13-4-8とつなぎ、スペースがある中、№8ヴィクター・ヴィトがパスダミーで抜ける。9分、SHグレイグ・レイドロウら2人に来られながらも左隅へトライ。オールブラックスが5点を先制した(コンバージョンは不成功)。

 だが、スコットランドはすぐに取り返してきた。リスタートを蹴り返さずに攻めるオールブラックスは4次、ハーフウェイ付近で9-10-15-13-6と右へ振った。ここで左FLリッチー・マコウのパスを、左WTBトミー・シーモアが狙い打ちのインターセプト。11分、中央まで走り切った。ゴールも決まり、7×5。オールブラックスは14分、敵陣10メートルと22メートルの中間右端のスクラムから9-10の左。ラッセルのタックルを受けたカーターが、そばへ寄った左CTBライアン・クロッティにオフロードパスを通していればチャンス拡大は必至だったが、ファンブルしてノックオン。17分にも敵陣22メートル手前右のスクラムで得たFKをタップで仕掛ける好機において、右サイドの突破をうかがわせて放したペレナラの順目パスがタックルによって乱れ、ヴィトに通らず、相手に渡った。さらに22分、敵陣10メートルと22メートルのあいだのラインアウトをR・グレイにスチールされる。ミスが出て足踏みが続くオールブラックス。しかし24分、直前に自陣から攻めるスコットランドの右チャンネル1、№8アダム・アッシュを右FLサム・ケインが前へ出て止める好守備が効き、ラッセルのキックを左LOドミジェレミー・トラッシュがチャージダウン。ボールを拾ったトラッシュが残り8メートルまでゲインし、パーソンズがパスアウトして2-9-10-7-13-15-11と左へ振った。隅で2対1を作ったが、スコットランドは右WTBショーン・マイトランドがタイミングよく標的をシフト、左WTBチャールズ・ピウタウを止めた。が、ゴール前の猛攻は続き、4フェーズ後、ペレナラが左サイドで1対1を制しに行く。このグラウディングは認められなかったものの、オールブラックスにはPKのアドバンテージがあり、26分、手堅くPG。27分、オールブラックスはカーターがペレナラのパスを後逸し、拾い直して蹴ったキックがダイレクトとなってピンチを招いたが、ラインアウトモールのこぼれ球を獲得して事なきを得ると、30分、オフサイドのPGを追加。7×11とした。

画像 33分、オールブラックスは自陣22メートル付近でクイックスローイン後、ペレナラがキックを蹴った。ここにR・グレイがチャージしてマイボールとしたスコットランドに好機が訪れる。しかし3フェーズ目、右へ仕掛けたレイドロウにスイッチで入った左PRアラスデア・ディッキンソンがバードに倒され、マコウに絡まれてしまう。ノットリリースザボールで一頓挫したスコットランドだったが、直後、オールブラックスのラインアウトミスによってボールを再獲得し、9-7の右、右FLブレア・カーワンがクラッシュ。このポイントでバードが横入りを犯していて、アドバンテージ採用後の35分、レイドロウがPGを決めて1点差に迫った。ところがリスタートをキャッチしたあと、レイドロウが蹴ったハイパントを、前方にいた途中出場の右PRジェフ・クロスが追ってしまうキックオフサイド。37分、オールブラックスは残り8メートルでラインアウトのチャンスを迎える。モールを組んだあと、左チャンネル1のバードがユニットで当たっていったが、ノックオン。しかし、このスクラムでスコットランドがコラプシングを犯し、40分、オールブラックスがPG。10×14、オールブラックスが4点リードとしたところで前半が終わった。

 後半1分、オールブラックスはラインオフサイドのPKにより、敵陣22メートル内でラインアウトの好機を迎えた。モールを皮切りに9-10-13と左順目へ展開した3次、外側の防御が上がってきたのを見てパスをやめ、縦を突いた右CTBマラカイ・フェキトアのポイントがスローダウン。それもあって、9-12の右でクロッティが右裏へグラバーキックを蹴る。トライになればオンの字、ドロップアウトのキックキャッチに始まる再攻撃に賭けたオールブラックスだったが、4フェーズ目、9-15-14-12と右へ振ったところで、クロッティが途中出場の№8リーアム・メッサムへ投じたパスをシーモアにインターセプトされてしまう。スコットランドは右へ振ったあと、レイドロウが左へロングパス。ピッチ中央でFBスチュアート・ホッグが4と2のあいだ、ミスマッチのギャップを抜け、23-11とつなぐ。さらに4フェーズ後、9-10の左からラッセルが右リターンパス、空いた前をマイトランドがゲインし、敵陣22メートルへゲインした。その後、トライには至らなかったものの、オールブラックスにラインオフサイドがあり、5分にスコットランドがPG。再び1点差に迫った。

 スコットランドは7分、攻め込まれて左へ展開された局面で、パスダミーのマコウに内側からR・グレイがタックル。ノックオンさせて自陣22メートル右端でスクラムを得たが、レイドロウがノットストレートをとられた。マコウがFKを速攻し、クラッシュしたのを皮切りに右チャンネル1を4フェーズに渡って穿ったオールブラックスは9分、ペレナラがラックのボールをさばき損ねてノックオンしたものの、地域の優勢を保つ。12分にはスコットランドがモールを組む際、後ろへ送れずにボールを持っていたジャンパーのR・グレイにトラッシュが絡み、モールアンプレイヤブルに陥れて、敵陣22メートル手前左端でスクラムのチャンス。9-10-11の右、あいだにクロッティをデコイでいれ、後ろでもらったピウタウが残り10メートルへ肉薄し、9-10-15-7と右順目へ展開した。詰められたにもかかわらず、クイックハンズでつないだFBベン・スミスのパスはファインプレー。ところが、9-10-19とフラットに折り返した左展開で、右LOへ入っていたルーク・ロマノのパスが途中出場の左PRワイアット・クロケットに通らなかった。

 マイボールとして窮地を逃れたスコットランド。その後、蹴り合いへ移行し、15分、ホッグが右裏へハイパント。敵陣10メートル付近の落下点へ自ら走った。ノックオンし、オールブラックスボールのスクラムとなったが、1次、9-14-22-23の右展開で、スコットランドは左CTBアレックス・ダンバーが途中出場の左WTBジュリアン・サヴェアに好タックル。すぐに立ち上がってジャッカルし、ボールを奪ったが、3フェーズ後、ラッセルが右へ好タッチキックを蹴ったものの、右WTBからSOへ回っていたコリン・スレードのタッチキックにより、ハーフウェイまで戻された。ラインアウトを起点とする3次、ラッセルのキックがチャージを狙って前へ出てきたトラッシュに当たる。自陣22メートルへ転がるボールをキープしたスコットランドだったが、以降のアタックは面全体で押し上げるオールブラックスの守りに手を焼き、まったくゲインできなかった。レイドロウが仕方なくタッチキックを選んだ19分、オールブラックスのラインアウトは敵陣22メートル手前。オールブラックスは5次で右の狭いほうに人数を配する得意の形を作り、9-22-15とパスをつなぐ。ところが、B・スミスの手からボールがこぼれてしまった。マイボールとしたスコットランドはすぐに右へ振った。スペースがあってラン勝負はホッグ。形勢を逆転する絶好の機会だったが、ミスマッチにもかかわらず、オールブラックスは途中出場の右PRベン・フランクスがよく止めた。そしてレイドロウのショートパントをクロッティが確保した2次、9-15の右で、B・スミスがパスダミー、左についたトラッシュへオフロードを通し、敵陣22メートル近くへゲインする。直後、9-12-7の左展開でケインが蹴ったチップキックが相手に入ったが、この局面でもオールブラックスはスコットランドの攻めを完璧に封じ込めた。23分、アクシデンタルオフサイドによる22メートル内右のスクラムでコラプシングを得ると、ショットを選択。24分、スレードがPGを決め、13×17とした。

 スコットランドはこのリスタートを右タッチ際へ蹴った。サヴェアがキャッチして9-7と左へつないだところへ、好タックル。クロスが絡み、26分、スコットランドはノットリリースザボールのPGで食い下がった。16×17。そして27分、倒れ込みのPKによる敵陣10メートルと22メートルのあいだのラインアウトから左オープンへ振ると見せかけて、SOへ入っていたダンカン・ウィアーが左へサイドチェンジ。パスをもらった途中出場の右CTBショーン・ラモントが左ショートサイドの突破を図った。ラインアウトに並んでいたFWはミスマッチ。防御側がオープン側と決めつけてかかり、ブラインドWTB(この場合は11)の動向に引きつけられると大幅ゲインがありうる場面だったが、オールブラックスは右WTBへ回っていたピウタウが反応する。それでも前進が叶ったスコットランドは、オフサイドのアドバンテージが採用された29分、ショットを選択する。逆転なるか。しかし固唾を飲んで見つめる観客の祈りは通じず、レイドロウのキックは右へ逸れた。

 31分、スコットランドはハーフウェイ手前の右展開で、ホッグの低いパスをマイトランドが捕球できず、足に当ててしまう。マイボールとしたオールブラックスはサヴェアがチップキックを蹴ってチェイス。スコットランドはなんとかキープしたが、レイドロウのタッチキックによるオールブラックスのラインアウトは敵陣22メートル手前。この起点を、オールブラックスは得点へつなげた。モールからマコウが右サイドを突いたあと、9-14の右、スレードがキックパス。ピウタウがタップバックしたボールをB・スミスが確保し、クラッシュしたラックから、メッサムが右ショートサイドのチャンネル0を前進。残り5メートルまで肉薄した。6フェーズ後、9-17の左でクロケットが寸前まで迫り、ケインが左へパスアウト。33分、キャッチしたトラッシュが右中間へ飛び込んだ。ペレナラがすぐ後ろにいて、ハーフのパスと思った分、防御が前へ出るタイミングが若干、遅れたか。コンバージョンも成功し、16×24としたオールブラックスが、辛くも白星を得た。




 スコットランドはメンバーを落としたオールブラックスのミスに助けられた面も多分にあったが、健闘した事実は称えられるべきだろう。ブレイクダウンでプレッシャーをかけたのがよかった。オープン側の防御で人員に余裕があるとき、外側のパスコースにプレッシャーをかけていたけれど、その局面がもっとあって、オールブラックスを内側に誘い込むシーンが増えればさらにもつれていたかもしれない。あと、1点差に迫った残り10分、かつてのようなキック主体のエリアラグビーに徹しても面白いと思った。結局、攻撃的な姿勢を貫いていたが、それも間違いでない。かつての保守ラグビーから転換を図っていて、自陣から外のスペースへ展開して勝負したり、内側でホッグがミスマッチを狙うなど、ムービングラグビーの定石的アタックをずいぶんと取り入れていた点に好感。また、内側のFWフェーズでショートパスをつなぐあたりは、オールブラックスを初めとする世界の流行を取り入れているフシもある。来年のW杯でジャパンと同プールになるスコットランドがショートパスでズラし、1対1で当たり勝って防御を集め、外のスペースで勝負してくるようなアタックをパターン化してくると脅威だ。ピックアッププレーヤーはラインアウトでいいプレッシャーをかけ、フィールドプレーでも運動量が目立ったR・グレイ。カーワンと6番のロブ・ハーリー、両FLも好調だった。BKでは若いラッセルが及第点の出来を示したし、ダンバーと途中出場のラモントはディフェンスでの貢献が光った。この両CTBは相手アタックに対する読みが優れていて、詰めどころを心得ている。

 オールブラックスは前文で触れたとおり、前回のイングランド戦とメンバーを13人、入れ替えてきた。復帰戦のカーターが完調時にくらべると4割引きくらいの出来だったし、連動するようにペレナラも今ひとつ。テンポアップすべき場面で若干、滞りがあったり、キックをチャージされたりもした。全体に連係がよくなく、ハンドリングエラーが多発。また、ラインアウトでも、マコウ以外は非レギュラーでスロワーのパーソンズが初キャップという慣れない組み合わせが響いてミスが続出した。途中から勝負弱いことで有名な(?)スレードがSOへ回り、番狂わせの“お膳立て”は整っていたけれども、きっちり取り切って勝つあたりは貫録か。後半、自陣から攻めるスコットランドにゲインを許さなかったのは勝因。後半の入り、ラッセルの右リターンパスをもらったマイトランドの前を空けていたというような、オールブラックスらしからぬ隙はあったが、これも慣れぬメンバー構成のせいだろう。公式MOMはトラッシュが受賞。勝負を決めるトライを挙げたうえ、チャージダウンの好プレーもあったから当然か。抜擢されたメンバーの中で、彼とケインは運動量が豊富でパフォーマンス的にも納得できる内容だった。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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