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zoom RSS 強い!巧い!速い! 帝京、早稲田に完勝〜関東大学対抗戦 第8節(2)

<<   作成日時 : 2014/11/04 21:30   >>

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画像 関東大学対抗戦のTV観戦記(2)は2日、秩父宮の早稲田vs帝京戦について。関西も含め、今季の大学シーンの注目選手は枚挙にいとまがないけれど、個人的にもっとも注目している選手がこの1戦に登場してきた。それは帝京の12番で先発した森谷圭介。SO、CTB、WTB、FBとBKはどこでもお任せのユーティリティープレーヤーで、しかもどのポジションをやらせても巧い。昨年のパフォーマンスを見て、今季、ゲーム理解に関し、大学生BKの中で屈指の存在になりうると考えていた。詳しくは後述するが、この試合でも森谷のプレーに心底唸るシーンが何度か。他の選手の出来も良好で、とにかく帝京のラグビーは美しいと形容するしかない内容だった。


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 【●早稲田大学11×55帝京大学○】

 前半1分、早稲田はSO小倉順平がハーフウェイ手前から55メートルのDGを決め、観客の度肝を抜いた。TLを含めても日本のラグビーでは最長距離のDG成功ではないだろうか。しかし帝京は、意外な幕開けに心乱されることなく4分にトライを返す。ハーフウェイを越えた位置のラインアウトからフラットなラインで左展開。ここでBKラインのオフサイドを得て、SH流大がタップキックで仕掛けた。タッチキックを蹴ると思っていた早稲田は完全に虚を衝かれる。流が左へ放したパスをもらった右CTB前原巧がスペースを駆け、左中間へトライ。ゴールも成功し、3×7とした帝京は、8分にもトライを追加した。早稲田は自陣22メートルと10メートルのあいだ左のスクラムから8−9−10と右へつなぎ、小倉が右裏へ低い弾道のキック。弾んだボールを処理するFB重一生が後逸。自陣奥で拾い直して縦を突いた。処理にモタついたのだから、とりあえずエリアキック……ふつうは欲をかかないケースではあるが、重がすぐに倒されず、ひと粘り、ふた粘りした分、アタックの陣形が整った。後ろを通した9−10の右、SO松田力也が2と3のあいだ、ミスマッチのギャップを抜け、ビッグゲインする。敵陣10メートルで左にシャトルランの左WTB磯田泰成にパスを放し、磯田がFB黒木健人の追尾を振り切って左コーナーへ。3×12となった(コンバージョンは不成功)。

 早稲田は今季初先発となる左FL布巻峻介が奮闘。15分、自陣22メートル内へ攻め込まれた局面で左チャンネル1、右PR東恩納寛太を引きずり倒して絡み、ノットリリースザボールに陥れると、17分、帝京がハーフウェイ左のスクラムから8−9−13の右、縦に走り込んできた前原を小倉とダブルタックルで止め、即座にジャッカルしてまたもノットリリースザボールのPK。敵陣22メートル過ぎへ進出する。ロングスローが合わなかったものの、マイボールとした帝京のスローフォワードに救われ、同右でスクラムを得た早稲田は6次攻撃でトライを挙げる。右ショートサイドに人を配し、数的優位を作って9−10−14−13。19分、右CTB勝浦秋が、バッキングアップに来た重のタックルを外し、右隅へ。帝京は磯田が右WTB荻野岳志にノミネート。ショートサイドに人数を置くアタックに対して、守る側は同じだけのディフェンダーを配置しづらいものである。コンバージョンは外れたものの、4点差に迫った早稲田は27分に追加点を挙げる。まず帝京は、小倉のキックをフェアキャッチした重がその場から仕掛けた。4分のトライのきっかけとなったときと同様、タックルを受けても倒れない腰の強さを見せたあと、9−10−6の右。ここで自身はデコイランナーのつもりだったらしい左FLマルジーン・イラウアがノックオン。敵陣10メートルでスクラムを得た早稲田はイリーガルホイールのPKをSH岡田一平が速攻。捕まった所でノットロールアウェイのPKをもらうと、ショットを選択した。小倉のPG成功により、11×12。

 だが帝京はリスタート後、蹴り返しのタッチキックによって得た敵陣10メートルと22メートルのあいだのラインアウトをフィニッシュにつなげてきた。近場中心に攻めた6フェーズ目、右展開で仕留める。HB団のあいだに、ここまで縦クラッシュで使ってきた前原をデコイに入れ、後ろを通して松田。松田がスペースを右斜めランで仕掛けて左内へ返して、重。そして右についた右WTB尾崎晟也が1対1、黒木をインステップで外し、右コーナーへトライ(ゴールは不成功)。早稲田は前原に幻惑され、両CTBが重なってしまって松田にスペースを与えたのが仇。帝京は32分、カウンターランの黒木を右LO小瀧尚弘が止め、後続が素早く寄ってターンオーバー。カウンターしたのがFBゆえ裏に誰もいないことを見越し、流が右裏のスペースへ迷わずキックを蹴る。これが好タッチとなって地域で優勢に立った帝京は35分、ラインオフサイドのPG。11×20、帝京が9点をリードして前半を折り返した。

 後半1分、帝京はいきなりチャンスを迎える。帝京のキックオフをキャッチした早稲田は3次、キックを蹴ろうとした小倉がプレッシャーを感じてランに切り換えたが、左へ放したオフロードパスが帝京のプレーヤーに入ってしまう。マイボールとした帝京は9−10−13−15と右へ展開。重を止めた左WTB本田宗詩にノットロールアウェイがあり、残り10メートルでラインアウトを得た。小瀧にスローを合わせたモールを左へズラしていく。ここで右ショートサイドにスペースがあるのを見た流が最後尾でボールを持つHO坂手淳史からボールをもらい、右サイドへ。早稲田は荻野が尾崎をマークし、サポートに来た重も視野に入って動けない。オープン側に立っていた岡田がFWに指示、誰も行けないと見るや自分で流を止めに行ったが、手遅れだった。流が右中間へトライ。

 ゴールも成功し、11×27とされた早稲田は、リスタートを確保した帝京の右チャンネル1、イラウアに外側の死角からタックルに入り、同時にボールをもぎとるターンオーバー。敵陣奥で攻撃権を得て、絶好のチャンスを迎える。2フェーズ後、9−6−10−7と右へ振った際、小倉のロングパスが低く、加藤が膝を落として捕球。スローダウンしたのが惜しまれる。しかし、その後、帝京がブレイクダウンで反則を繰り返し、トライを狙ってPKをタッチへ蹴る早稲田が敵陣奥へ居座った。ところが8分、残り5メートルのラインアウトモールから右ショートサイドを突いた布巻のポップパスがサポートの岡田へ通らず、坂手にセービングされた。松田のキックをハーフウェイ手前右で黒木がキャッチし、左展開を皮切りに連続攻撃で攻め直す早稲田だったが、大きくゲインできない中、10分、左チャンネル1で布巻がイラウアに阻まれ、ダウンボールを奪われてしまう。3分のターンオーバーのお返しである。帝京はすぐに9−10の左、松田が裏へキックを蹴った。処理する黒木に磯田が迫り、プレッシャーを感じた黒木のキックはエリアを戻せず。帝京は敵陣22メートル手前でラインアウトの好機を迎えた。磯田が攻守の切り替えで即座に反応、黒木にきっちり圧力をかけているところが帝京の抜け目なさ。このケース、チェイスがいなくてただの蹴り合いへ移行するのが、大学レベルではふつうである。

 帝京はここでモール。左へズラしていったが、先週の筑波戦を解説した野澤武史さんが指摘していたように組み込み不足の感が否めないモールで隙間があり、早稲田の途中出場、HO清水新也に中を割られてしまった。ズラす際、相手を引っぱり込んで逆に壁として使う老獪さがまだないみたいだ。清水の好守備に遭ってノックオン。小倉のキックをキャッチして攻めた2フェーズ目、左ショートサイドに狭い間隔で人数を置き、9−12−11−6、短いパスをつないだ場面は、イラウアのパスが坂手に通らずタッチ。磯田もイラウアも少し内へ体を入れながら隅に待つ坂手の道を作るアタックで非常に効果的、組織防御が難しいという利点もあるが、試合になると、最後を託されたプレーヤーがついつい浅い位置に身を乗り出してミスするケースがちょくちょくある。直近では昨年、TLのドコモvsトヨタ戦のゲーム前のアップでトヨタがこのプレーを入念に練習していたのに試合で使うとミスした――という例を見た。直後、早稲田は小倉がテイクンバックのダイレクトキックを蹴り、16分、帝京は敵陣22メートル過ぎでラインアウトと好機が継続。しかしスローが合わず、相手ボールに。早稲田は右へ展開。荻野がステップを駆使して突破し、敵陣10メートルへ達した。このラックからSHへ入っていた平野航輝が右裏へキック。重に戻って処理されたけれども、オープン側へ振っていればどうだったのかという判断云々より、チェイスの反応が鈍かったのが引っかかった。

 それでも敵陣へ進出したのは良し、早稲田は蹴り返しのキックカウンターで攻める。チャンスが来るかと思われたが、6フェーズ目、左チャンネル1で途中出場の右PR千葉巧也が左PR森川由起乙に足元、bWへ入っていた飯野晃司に上半身へぶちかまされるダブルタックルを食らい、ハンドリングエラー。帝京ボールとなった。9−10−11の左展開、磯田を好カバーでタッチへ出す黒木の好守備があったが、19分、早稲田はこのハーフウェイ過ぎのラインアウトでノットストレート。帝京がピッチ左でスクラムを得た。早稲田は2フェーズ目、左の狭いほうへ折り返したチャンネル2、森川を小倉が布巻とともにダブルタックルで倒したが、両足を抱えて持ち上げてしまい、危険なプレーを咎められてシンビン処分。司令塔を10分間、欠くことになった。帝京は22分、このPKによる敵陣22メートル過ぎのラインアウトモールをドライブ。坂手が左中間でボールを押さえ、コンバージョンも成功。11×34とした。

 小倉不在の早稲田はパスムーヴにリズムが出ない。26分、敵陣10メートル手前右で相手ノックオンによるスクラムを得た帝京は3次、9−12の右で左CTBからFBへ回った森谷圭介が縦を突いて前進。そこから流が左へさばき、2人のデコイランナーの後ろを通して松田がボールをもらう。27分、スペースがあって、自身のマークもなかった松田がステップを切って裏へ抜け、左にサポートしたイラウアが中央へトライ。ゴールも決まり、11×41となって勝負の行方はほぼ決した。しかし帝京は、油断することなく厳粛なプレーを遂行。ターンオーバー後、SOへ入っていた朴成基(ぱく・そんぎ)が右裏へキック、ブレイクダウンのファイトでノックオンにはなったものの、処理する途中出場の左WTB深津健吾を尾崎と前原が囲むなど(35分)、苛烈なまでに早稲田に圧力をかける。38分、帝京はホールディングのPKを得て、残り10メートルでラインアウト。帝京がキャッチミスしてマイボールの早稲田は、平野が蹴ったグラバーのチップキックを小倉がチェイスして確保したものの、直後の右チャンネル1、左斜めのランで突破しようとした左CTB飯野恭史が、途中出場の右FL姫野和樹のタックルに阻まれ、イラウアのジャッカルでボールを奪われてしまう。ターンオーバーした帝京は9−22−13−12−23−11の左展開で仕留めた。前原がノールックパス、後方からライン参加した森谷へつないだのが大ファインプレー。これでディフェンスの足が内側に止まってオーバーラップが確定した。ターンオーバー直後の1フェーズ目でこのライン参加は、森谷がいかにチャンスを見抜く目に長けているかの証し。39分、磯田が左中間へトライ。さらに44分、ゲームを切れば終わりの局面にもかかわらず、帝京はハーフウェイ付近で流がノットリリースザボールのPKを速攻。9−20−12と左へつなぎ、森谷がブレイク。敵陣22メートル内へ入った右に尾崎がサポートランし、右隅から中央へ回り込むトライ。コンバージョンも連続成功し、11×55、帝京が早稲田を突き放して大勝した。




 早稲田はピッチ中ほどのFWフェーズで前へ出られず、全体に苦しいアタックになった。FWで内へ防御を集めて外のBKで仕留めるというオーソドックスな組み立てができない状態。ハーフにスピードのあるBKがじかにもらいに来てミスマッチを狙うシーンが何度かあり、前半19分に勝浦が右隅へトライを挙げたときのようなショートサイドに人数を置くアタックにもいえることだが、ちょっと極端なことをやらないと帝京の防御を崩すことが難しかった。力負けの感。ディフェンスでは、帝京が浅い位置に配するリードランナーのFWに目が向きすぎ、後方に控えるBKのケアが薄いのが気になった。その形で松田に何度もゲインを許している。それがなければ、11×27分で迎えた後半4分から8分にかけてのチャンスで1本返していたら、いくらか流れが変わったのではないか――くらいのことを書いてあげてもいいのだけれど。ピックアッププレーヤーは布巻。後半21分でベンチへ下がったのは、今季初先発ゆえ、当初から予定されていたことだろう。6節に帝京と途中まで接戦を演じた筑波のFL水上彰太と同様、1人ブレイクダウンで気を吐いた。フィジカルとスキルで帝京と互角以上に張り合えるプレーヤーである。ただ、布巻に続く存在が現われないことには、帝京との差は埋まらない。大学選手権の山場まであとひと月余り。チームの完成とともに頭角を現わす、あるいは炙り出されてくるような選手が出てくるかどうか。左LO大峯功三、bW佐藤穣司、岡田と小倉のHB団、飯野恭、荻野、深津あたりは経験豊富な“ビッグネーム”。セットピースとフィールドプレー、両面でFWのクオリティを挙げてベースアップすれば、彼らのうちの誰かがもっと潜在能力を発揮する可能性があるとは思う。もちろん、日本代表のFB藤田憲和の復帰も待たれるところである。

 TVで紹介された帝京、岩出雅之監督のハーフタイムのコメントは「ボチボチ」。儲かりまっか、ボチボチでんなァ……の「ボチボチ」であるが、決して悪くはなく爆発の予感もあって、手応えを感じるというニュアンスか。前FW、後ろBKという重層的な陣形で早稲田の防御の目がFWに向いていたのは前述したとおり。松田のボールをもらう位置がサントリーのSOトゥシ・ピシやパナソニックのSOベリック・バーンズと同様で、彼にノミネートが薄かった分、個人技で抜くも良し、引きつけて周囲のプレーヤーを生かすも良しで、この試合に関しては永久的な必殺パターンを持っていた。他チームがこのアタックを警戒してきっちりディフェンスするようになったとき、FWフェーズをどう生かすか、あるいは裏のパターンをどう使うかを見てみたい。まあ、瞬時に局面を読んで適切なプレーをするし、その際のリアクションの速さも群を抜いているから、どこからでもトライを取れるチームではあるが。セットピースで未成の感があるのと反則が多いのは修正点。ディフェンスは筑波戦よりは内側からのプッシュアウトが良化していた。坂手、森谷が先発に加わったのが大きかったか。とにかく奥のあるチームで、今季に関しては、シーズンが深まるにつれて帝京と他校との差が開いていくと個人的に予想している。対早稲田戦の大勝は選手権のころに可能性があるかなと思っていたが、早くもここで見られた。個人的MOMは突破の目立った松田、そして判断が早く正確な流の2人。あと、イラウアが昨年あたりから接点で仕事をするようになり、所作にFLらしさが出て進化し続けているのと、前文で書いた森谷のゲーム理解力も指摘しておきたい。昨年も現トヨタのFB竹田宜純のライン参加のタイミングに唸ったものだが、この点に関しては遜色ない力量を披露。また、重の体の強さも光った。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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