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zoom RSS 同志社、あと1歩まで追い詰めるも 早稲田、1点差の辛勝 東海との決戦へ〜大学選手権2nd第2戦

<<   作成日時 : 2014/12/26 06:00   >>

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画像 大学選手権のセカンドステージ、プール戦は21日で第2戦の日程が終了した。プールAの帝京がセミファイナル進出を決めたが、残るB、C、Dは第3戦、流経vs慶應、明治vs筑波、早稲田vs東海がそれぞれベスト4を賭けた決戦となる。27日の秩父宮、江戸川はおおいに盛り上がるに違いない。しかし、他会場においても4年生にとっては最後の公式戦、「大学ラグビーはテストマッチ」という野澤武史さんの至言を裏づけるような熱戦が繰り広げられるはずだ。

 今年の大会について、明治vs早稲田戦のTV観戦記の前文で、関西勢に昨年の立命ほどの手応えを感じるチームはないと書いた。でも、強い相手と戦ったときに今まで積み重ねてきたものがすべて表出した結果、僅差の試合となるケースはありえる。その候補に僕は関西優勝の関学、同志社といったあたりを予想していた。関学は第1戦で明治に健闘。ただ、相手防御を崩しかけるところにとどまり、完全に崩すシーンが少なかったのは、攻める方向を変えて防御ラインのセット遅れを衝く抜け目なさが不足していたことと、端までボールをつないだあと、折り返しのチャンネル1で下げられていたせいだろう。立命と早稲田が途中まで拮抗したのは、早稲田の「楽観」が原因。抜けるだろう、すぐには倒れないだろうと思って次のことを考えているプレーヤーが多いのか、倒されたボールキャリアへサポートに入るのが1人だけというシーンが散見された。こういうことをやっていると、ブレイクダウンの巧い立命につけ込まれてあたりまえ。互いに最高のモチベーションで臨む明治vs早稲田戦の1週間後ということもあり、翌日のサンケイスポーツを開くと、関学に手を焼いた明治に対して「燃え尽き症候群」という見出しがつけられていた。しかし、それはむしろ早稲田に顕著だったように思う。

 また、スコアこそ水を開けられたものの、帝京に対する天理の戦いぶりには目を瞠った。天理には、当サイトへときどきコメントを書いてくれる“よろいぐまさん”が大会前から注目されていた。関西リーグは優勝候補の一角と目されながら成績がふるわなかった天理のラグビースタイルが関東勢に通用することを見抜いたのは、まさに慧眼。目利きの人が予想をするとどこかで一発ホームランを打つものだ、とあらためて舌を巻いた。天理は第2戦で法政に完勝。「天理のフロントスリーにはラッシュ・ディフェンスをとことんやり抜かなあかん」「天理を相手に攻めるときは、ハーフがランを匂わせて、間合いを作ってからリードランナーに放す。そしたらタックルのタイミングがズレる分、チャンネル1で前進できるんやけど」といった感想を抱いたが、それは法政だけでなく、第1戦の帝京に対してもチラっと思った。この2点は昨年来、天理に勝つ関西のチームがほぼ例外なくやっていることである。また、天理にあってはFB東口剛士が絶好調。そういえば近年、大学選手権において、関西のチームからバックスリーにノリノリの絶好調男が出てくる傾向がある。一昨年は関学の中野涼、昨年は京産の山下楽平、立命の藏田知浩がそうだった。

 天理は他チームに帝京攻略のヒントを与えたのではないか。対抗戦の帝京vs明治戦において、明治のフィジカルの強さがもたらしたと思われる帝京のミスがところどころに見られたが、天理は純粋なタックル、攻撃的なディフェンスという戦略によってミスを誘っていた。シーズン当初、僕は6連覇を狙う帝京と他チームの差はシーズンが深まるにつれて開いていくと予想したし、その思いは今でも変わらない。ただ、他チームも天理みたいに戦って、決め手のあるBKがババンとカウンターで仕留めるイメージを描けば勝機はある。ただ、仮に決め手のあるBKを持っていても、これまで観た限り、ディフェンスが整備されていないとか、いったん守勢に回ると脆い――といったチームが多いのがいささか残念だ(ここへきて筑波に不気味な気配が漂うが)。また、帝京はセットプレーが看板ほど盤石ではない。昔、北川勇次(パナソニック)と西直紀(ヤマハ。昨年限りで引退)の両LOを擁した関東学院がラインアウトを制圧、下馬評を覆して早稲田を破って優勝したことがあったが、現状は当時の関東学院のようにセットプレーの一極集中で勝負しそうなチームもない。たぶん、対抗戦に所属するチームは帝京戦のあと、あそこは通用した、ここはまだまだだといった具合に自チームを分析したことだろう。大学選手権では、通用した部分が勝利に直結するファクターになりうるかを精査のうえ、完全なるアドバンテージとして浮かび上がるようなゲームプランを練らなければならない。もちろん、それは秋に帝京と対戦していないリーグ戦のチームにもいえることだ。長所を対帝京の決定的アドバンテージに変えられるか。今大会、帝京以外のチームに課されたテーマはそこに尽きる。

 第2戦のTV観戦記は21日花園の第1試合、早稲田vs同志社戦について。


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 【プールD ○早稲田大学18×17同志社大学●】

 キックオフを蹴り返さずに攻めようとした同志社だったが、左展開でSO渡邉夏燦がノックオン。早稲田は敵陣22メートル内やや右でスクラム、いきなりチャンスの局面を迎えた。ここで同志社がアーリープッシュ。FKを速攻したbW佐藤穣司がクラッシュした早稲田は9−10−15と左へ展開し、FB藤田慶和がパスを開いてキャッチした。しかしマークが厳しく、左CTB木村洋紀、右WTB松井千士らに残り5メートルの位置でタッチへ押し出されてしまう。同志社はラインアウトモールから9−12の左、木村がポイントを前へ出しそうとする。ここに来た同志社のサポートが右CTB石田幹太1枚だけだったので、早稲田がカウンターラックを狙ったのは自然な行動。同志社のタッチキック後、敵陣のマイボールラインアウトでまだ好機が続くことなど、このラックを見た瞬間、すべて脳裏から吹き飛んだはずだ。ただ、この場合、反則だけはやっちゃいけない。HO清水新也か右PR佐藤勇人のどちらかがオフザゲートをとられてしまった。ただ、同志社が次のラインアウトでノックオン、敵陣10メートルと22メートルの左でスクラムを得て結局は帳消し。前半5分、早稲田はこのセットピースをトライへつなげる。5次、9−10の右でSO横山陽介が詰めてきた渡邉の裏へ極短のチップキック。横山自身が拾ったラックから左チャンネル1、左LO大峯功三が中央へ飛び込んでいった。横山のコンバージョンも決まり、早稲田が7点を先制。

 早稲田はこのリスタートをノックバックし、ボールを確保した左WTB深津健吾が敵陣10メートルまでゲインした。3フェーズ後の左展開、横山のパスが松井にインターセプトされそうになったが、ノックオンに救われ、ハーフウェイを越えた位置左のスクラムで仕切り直しの早稲田は、近場のFWでゴリゴリと攻める。ところが8分、右サイドを突いたSH岡田一平の前にいた清水が相手タックルを妨害。直後、同志社のラインアウトをスチールし、再び攻めた局面は思うようにゲインラインを越えられない中、10分、あいだに2人のデコイランナーを使って9−10−14と右へ振り、右WTB荻野岳志がハンドオフで右FL田淵慎理を外し、SH大越元気もかわした。ようやくチャンスが訪れたかに思われたが、荻野は敵陣22メートル手前でFB崎口銀二朗にタッチへ出された。

 12分、早稲田がキック処理からツーパス、右ショートサイドをスワーブランで勝負してきた藤田に、同志社はbW秦啓祐が絡む。ノットリリースザボールに陥れて敵陣10メートルでラインアウト、右へ展開したが、渡邉のカットパスをもらった木村が横山にボールへコンタクトされ、ターンオーバーされてしまう。早稲田は左サイドへ仕掛けた岡田がタッチキックを蹴って同志社を自陣22メートルまで後退させると、大越のパントをハーフウェイ付近で深津が手中に収めて攻撃を開始。ノットロールアウェイのPKを得た15分、敵陣22メートル過ぎでラインアウトのチャンスを迎えた。しかし近場を攻めた5フェーズ目、右チャンネル1で左FL吉田有輝が秦らのダブルタックルを食らってハンドリングエラー。マイボールとした同志社は17分、ホールディングのPKを得て、敵陣10メートルと22メートルの中間点でラインアウトの好機。HO東大樹のスローが曲がって相手スクラムとなったが、ここでFWが頑張りを見せる。2週間前に肘を脱臼したにもかかわらず志願の先発出場、右PR才田修二が左PR高橋俊太郎に組み勝って右側をグイッと押し込んだ。18分、外へこぼれ出たボールを拾った大越が左中間へ駆け込んでいくトライ。渡邉のコンバージョンも成功し、7×7、同志社が同点に追いついた。

 早稲田は24分、ノットロールアウェイのPG。3点リードとしたが、リスタートキャッチのラックを乗り越えられた。ターンオーバーした同志社は、左ショートサイドへ木村が潜り込んでいくようにして前進。ところがポップパスが岡田に入ってしまう。フィフティー・フィフティーのプレーだったか。しかし27分、スクラムコラプシングのPKを得た同志社は、敵陣22メートルでラインアウトの絶好機をつかむ。モールから田淵が右サイドを突き、9−10−13の右展開で渡邉に石田がスイッチ。外側には左WTB宮島裕之がリンク、開きながら移動するフェイクを交えたにもかかわらず、石田が左CTB鶴川達彦に絡まれてしまう。ノットリリースザボールのPKを得た早稲田は自陣10メートルまでエリアを戻したが、秦にラインアウトスチールされた。再攻撃した同志社の3次、渡邉が蹴った左裏へのキックは、深津を背走させたので質そのものは悪くなかったが、チェイスに反応してほしかったか、もしくはバウンドしてタッチ、相手を自陣奥へ追いやるのが本命の狙いだったと思う。深津が蹴り返して事なきを得る早稲田。しかし同志社は34分、相手ラインアウトミスによる敵陣10メートル手前右のスクラムを起点にフェーズを重ね、7次、9−10−14−13の右展開で石田がゲインする。後ろを通してのフラットパス。リズムが変わる分、意外に抜けるパターンである。左内へ切れ込んでいく石田。早稲田は岡田が石田を止め、大峯がジャッカルしてターンオーバー。9−10と左へつないで横山がステップを切って前へ出たあと、パスを放したが、同志社に手をかけられる。イーブンボールをキープしたあと、ラックアンプレイヤブルにより、自陣10メートル左のスクラムで仕切り直し。この場面、横山は左に待っていた藤田へいいタイミングで渡したかった。ターンオーバー後の切り返しで同志社のディフェンスが整っていなかった分、藤田のビッグゲインが叶った可能性がある。このスクラムでコラプシングのPKを得た早稲田は敵陣10メートルでラインアウト。2次、9−10の右で横山がショートパントを蹴って自ら追ったが、すぐ隣からチェイスした藤田が前方に入っていてアクシデンタルオフサイド。39分にターンオーバーを起点に攻めた好機も9−10−14の右展開で荻野が内側からタックルした石田に捕まり、宮島と木村に絡まれてノットリリースザボール。結局、早稲田は前半最後の攻勢を得点につなげることができなかった。

 10×7、3点リードで折り返した早稲田は後半6分、藤田が左裏、敵陣22メートル内へ好タッチキックを蹴った。しかし、同志社のラインアウトが終了する前に、ラインアウトに参加しているプレーヤーがモールのオフサイドライン以上に下がってしまうオフサイド。これについては競技規則19.14の(g)(h)(i)を参照のこと。ちなみに中村敏雄さんの名著「オフサイドはなぜ反則か」には、争奪戦に参加せずにボールが出てくるのを待つ行為が卑怯とされたのがオフサイドの原義、と記されている。後退しているにもかかわらずオフサイドをとられてしまう今回のケースは、ルールで定められた仮想の線より前に出てはいけないのがオフサイドであるという理解では、到底納得できないと思う。だが、その発祥を知ると、味わい深いルールに感じられる。

 閑話休題。同志社はこのPKで自陣10メートルまで地域を戻したが、2次、ループを使った9−7−9−8−14の右展開、松井が止められたラックで、早稲田にファイトされた。ラッキング、密集内でボールを足にかけた早稲田は右FL加藤広人がセービング。マイボールとして右へ振る。藤田が内から追ってきた石田に捕まりながら右手バックハンド、荻野にパスをつないだが、宮島に捕まってタッチ。自陣22メートルと10メートルの中間でラインアウトを得た同志社はラックアンプレイヤブル後、同位置左のスクラムを起点に攻めた。テンポのいいアタックで次々と前へ出て、倒れ込みのPKを大越が速攻した右チャンネル1、秦が敵陣22メートル内へ入る。そしてオーバーラップの右へ振って仕留めた。9−12−14。10分、木村のカットパスをフリーでもらった松井が右コーナーへ飛び込んでいく。

 コンバージョンは不成功に終わったものの、10×12と同志社が逆転。関西のスター、松井のトライに花園が沸いた。16分、同志社は左チャンネル1、途中出場の左FL布巻峻介の懐に田淵が突き刺さってノックオンさせ、敵陣10メートル手前やや左でスクラム。8−9ダミーから左へ展開、カットパスを入れた8−10−11ののち、折り返して右順目を2フェーズ。早稲田は9−10−14−7と展開された所に布巻がタックル。すぐにジャッカルし、さっきのお返しとばかりに田淵からボールを奪ったが、そこで放せずにノットリリースザボールをとられた。同志社の選手が布巻の上に倒れ込むように乗っかかっていたから、早稲田にノットロールアウェイのPKを与えるというジャッジも考えられなくはない。ただ、ボールが完全に見えていて球出しは可能、という判断からノットリリースザボールを優先したのだろう。同志社はこのPKをタッチ、敵陣22メートルのラインアウトモールをドライブしたあと、9−10−14と右ショートサイド。手渡しでボールをもらった松井がモールの残骸たる密集左サイドへ舵を切っていく。早稲田は松井を止めたラックを乗り越えてターンオーバー、インゴール内で右へ振り、荻野がグラバーキックを蹴る。敵陣22メートルで木村がボールを確保した同志社はチャンネル0の近場攻撃を3フェーズ。しかしモールアンプレイヤブルで早稲田ボールのスクラムとなった。横山が右裏を蹴ったキックをキャッチしたのはFBへ入っていた小林健太郎。カウンターランで勝負したが、右LO桑野詠真に止められた。早稲田はここで大越の球出しに佐藤穣がプレッシャーをかける。こぼれ球を桑野が拾い、右ショートサイドへ放すと、そこには荻野がいた。20分、荻野がハーフウェイ付近からタッチ際をゲインし、右中間へ走り切るトライ。15×12、早稲田が再びリードを奪った(コンバージョンは不成功)。

 しかし同志社は、リスタートを確保した清水に東がジャッカル。23分、ノットリリースザボールのPKを得て絶好機到来。残り5メートルでラインアウトモールを組んだ。早稲田は佐藤勇が中を割る好守備。ボールを抱えていた田淵を潰してラックにしたばかりか、ハンドの反則を誘った。自陣22メートルまで地域を戻した早稲田はラインアウトモールをドライブしたあと、SHへ入っていた平野航輝がパントを上げる。同志社は敵陣10メートルの位置で松井が好捕。2フェーズ後、大越が右裏、22メートルへ上げたパントも松井が手中に収めた。主導権を握った同志社はさらに2フェーズ後、9−10の右で渡邉が右裏へキック。またも松井がチェイスした。早稲田は深津がボールを手に収め、布巻のタッチキックで急場をしのぐ。同志社は敵陣22メートルを越えた位置でラインアウトとなおチャンス。26分、早稲田はパスアウトの大越にプレッシャーをかけてターンオーバーしたものの接点でノックオン、同志社は敵陣22メートル中央のスクラムで仕切り直しとなった。8−9−23−9の右ループにスイッチで松井。スライドする防御の逆を衝くいいアタックだったが、早稲田は佐藤穣が反応、松井をきっちり止めると、4次、9−10の左から右リターンパス、途中出場の左FL末永健雄を佐藤勇が捕まえた。後ろへ下げて倒れ込みのPKを誘うと、平野がクイックタップして藤田が左裏へ好タッチキック。同志社を自陣22メートルまで後退させた。速攻せずにふつうにタッチキック、早稲田ボールのラインアウトで再開されたほうが同志社はいやだったはずだが、このマイボールラインアウトの獲得に失敗したから、結局は同じことになってしまった。チャンスを迎えた早稲田は30分、ノットロールアウェイのPG。18×12とした。

 33分、同志社はハーフウェイ過ぎからフラットなラインで左へ大きく振ったのち、右の折り返しでもフラットなラインで勝負した。ところがファーストレシーバーの田淵のパスに対する受け手が不在。桑野がインターセプトに失敗してノックオンしたが、もし捕球していれば早稲田にビッグチャンスが生まれていたはず。ハーフウェイを越えた位置中央でスクラムを得た同志社は途中、ノットロールアウェイの速攻を挟み、連続攻撃で敵陣22メートルへ。35分、9−22の左、SOへ入っていた垣内悠輔が平野に足元へ入られ、ダブルモーションのノットリリースザボール。早稲田にハーフウェイまで地域を戻されたが、ラインアウトでレシーバーの平野がノックオンしたことにより、同志社はピッチ左でスクラム。そしてホールディングのPKを得た38分、残り5メートルでラインアウトの絶好機を迎えた。左へズラすドライビングモールで勝負し、田淵が右中間へトライ。18×17、1点差に迫った。コンバージョンが決まれば逆転である。蹴るのは宮島。左足キッカーにとっては狙いやすい角度ではあったが、力が入ったのか、引っかけて右へ外してしまう。リスタートをキャッチして攻める同志社はなんとかして敵陣へ行きたい。PGの3点でもいいのだ。しかし自陣を脱することができず、9−22−20−14の右展開で末永がスワーブラン、松井にショートパスをつないだラックのボールが、早稲田側にこぼれ出てしまう。ターンオーバーした早稲田は途中出場の右PR千葉太一が左ショートサイドを突進。残り5メートルで末永らに捕まり、タッチへ出たところで試合終了の笛が鳴る。早稲田が冷や汗をかきながらも同志社を下し、通算成績を2勝0敗とした。


    

 同志社は今まで蓄積したものをすべて出し切ったような健闘。惜しい敗戦である。今年の5月に関西ラグビーまつりのメインで早稲田と対戦、敗れはしたものの、前半、積極的なディフェンスでタックルをガンガン決めて差のないスコアの試合をしていたから、早稲田に対していいイメージを抱いていたかもしれない。それに先週の東海戦でトドの群れみたいな巨体と相まみえた分、早稲田のフィジカルをさほど強く感じなかったことも考えられる。「おい、先週の青いのにくらべたら小っちゃいやんけ」と。相手FWの前進を最小限に食い止めたのが善戦できた因。拘ってきたスクラムも優勢に組んだ。スクラム・ターンオーバーを起点とする大越のトライに、FWの面々は高揚する思いを押さえ切れなかったことだろう。BKも巧いアタックをしていて、チャンネル2、3でアングルチェンジのデコイランナーを入れたりループを使うなど、相手防御のスライドの足を止める工夫がふんだんに見られた。ディフェンスも向上した。接点の見切りがよく、防御ラインへ勤勉に並んだ。この点では今季一番ともいえる出来。防御ラインが揃ったときのみ、外側が前へ詰めてきた。関西リーグでは内側を押さえるディフェンダーがいないのに外を押し上げるシーンが多々あり、そのギャップを衝かれて痛い目に遭っていたけれども、今回は外の詰めとスライドを使い分ける状況判断に進化がうかがえた。同志社側で個人的MOMを選ぶなら、前半のみの出場だったとはいえ、肘のケガをおして先発出場した才田。また、秦のブレイクダウンワークも目立った。BKでは大越=渡邉のHB団がこの1戦をきっかけに飛躍しそうな予感がするし、松井の活躍も目立ったが、石田をピックアッププレーヤーとしたい。アウトサイドCTBらしい守備範囲の広さが備わり、タックルの正確性が向上した。

 一応、総当たりリーグ戦とはいえ、プール戦は全3試合の短期決戦。内容よりもまず勝つことが大事だ。そういう意味では早稲田にとって大きな勝利といえる。しかし試合後、誰1人笑顔がなかったことがすべてを象徴していると思う。薄氷を踏むとはまさにこのこと。端的に評すると、早稲田には芸がなかった。ディフェンスは、前述したように同志社が巧いアタックをしたとはいえ、プッシュアウトからのスライドなのかまっすぐ前へ詰めるのか、中途半端な形になった。接点の絡みにさすがと思わせる部分はあったものの、ブレイクダウンの迫力も今ひとつ物足りない。そして、アタックに目を向けると、同志社に認められたバックスリーにスペースでボールを持たせる工夫が足りないと感じた。このチームは原則、ピッチにFWとBKが広がって立ち、おおよそ3ブロックに分けたポッドという形で攻めることが多い。その中でFWも両側に選択肢を持ち、両WTBも機を見て内側へボールをもらいに来る。今季、FWのパススキルや走力が関係し、昨年ほどこの形のアタックに切れがないことは過去にも指摘した。明治戦のようにFWがボールを手にした際、決死の覚悟でガツーンと当たっていけばそれなりに好結果を得られると思うが、そこまで徹底できなかった。内側で崩して外で仕留めるというイメージはあったようだが、パフォーマンスを観る限り、漠然としたイメージで終わった感がある。この苦戦を糧に東海との決戦に臨んでほしいところだ。横山にとっては、小倉順平が欠場し、ゲームメイカーの重責をすべて背負う中でいい試練になったと思う。いいプレーもたくさんあったが、ボールを持ってから視野を広げるのではなく、あらかじめ視野を広げて情報を集めておくことの大切さを学んだゲームではなかったか。そうすればもっと周囲を生かせるようになる。ピックアッププレーヤーはスクラムの強さがもともと評価されている選手で、フィールドプレーの質が向上、成長を感じさせた佐藤勇としておきたい。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
お褒めにあずかりなんともこそばゆいばかりです。天理の戦術が帝京に通用するという確たる見通しがあったわけでは全くありません。それよりも1節前の(勝っても帝京、負けても選手権出場可というメンタル的に難しい)体大戦のスコアを見て迷いの無さ、帝京に対する思いの強さを感じ、期待したという方が大きいです。

アタック面ばかり注目される天理ですが、最大の長所はトップスピードでコンタクトできる事だと思います。一般にアタックはコンタクトの次を考え、余力を残さなければならないけど、ディフェンスは違う。モールも同じ。高校時代も運動エネルギーは「1/2mv2乗」と先輩から言われましたが、重さに対して当たる瞬間のスピードで対抗できる事を見事に示してくれました。

同志社についても同感で、立命戦さらには来シーズンの飛躍が楽しみなチームになってきました。

ただひとつ不思議な試合が、慶応対京産でした。スクラムで圧倒したチームが大敗する。慶応の試合巧者…京産が平常心を失った…確かにそういう場面もありましたがそれだけなのでしょうか?(知恵袋の方には結果だけ見て「元々弱小のチームの精神的疲労」とか分かった風な事を書いてますが、試合を観て印象がガラッと変わりました。むしろ素の力では京産も負けていない)

この試合だけ分からんなあ〜と心に引っ掛かっています。
よろいぐま
2014/12/26 19:23
 コメントありがとうございます。

 読みながら、なるほどと唸りました。拙文を補完する鋭いコメントを頂けたことに心から感謝します。

 慶応vs京産戦については、やはりメンタルが作用したような。また、守りから切り返す慶応という流れになってしまったこともあると思います。防御ラインに遺漏なく並びつつ、要所を見極めて一気に詰めのタックルを突き刺し、奪えると判断したら接点にも人数をかけてくる慶応に対し、攻めていながら不安な状況。我慢比べでふつうならやらないようなミスをしてつけ込まれてしまいました。また、この試合は流経戦を反省してパントを少なくしたように映りました。ただ、京産の場合、キックでプレッシャーをかけて、相手のミスを誘ってこその平常心という部分もあるのではないかな、と。負け方としては関西リーグで立命に敗れた試合に近い、というのが私見です。
なぎさ
2014/12/29 23:14

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