ハーフタイムのコーヒーブレイク(92)
〈妻に先立たれ、ひとり暮らしの井上浩一(麿赤兒)は、58才で今も現役のラガーマン。浩一は、ラグビーの普及促進のため東大阪市役所に設置された「ラグビーワールドカップ誘致室」とともにラグビーイベントの準備を進めていた。そこに現れたラグビーを全く知らない新人職員、病に倒れた親友、そして花園グラウンド使用不可という危機。果たして浩一は、ラガーマン達の想いが詰まったラグビーイベントを開催できることができるのか!?〉
新人職員、桜木優希役には岡本玲さん。そして、これはハマり役かも、と思ったのは、田中郁美役の川崎亜沙美さんである。登場人物紹介、田中郁美の欄を引用しよう。
〈東大阪市出身で、小さい頃からラグビーをしていたラガール! 今は市役所でアルバイトしながら、地元の女子チームでプレーし、小学生にラグビーを教えている。浩一は尊敬するラガーマン。ラグビーイベント「トライ大阪」を目前に、なぜかやる気のない友人・優希に活を入れるつもりで浩一を紹介する。〉
ドラマにはほかに川中美幸さん、大八木淳史さん、妹尾和夫さんらが出演する。
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10月28日の夜、BS朝日の「ラグビーウイークリー」を観ていたら、2019年W杯日本大会のアンバサダーを務めるゲストコメンテーターの大畑大介さんが、こんなことを言った。「僕の役割は、世間の人にラグビーを“軽く”観てもらえるようにすること。堅苦しいイメージがあるみたいで。あと、ラグビーファンの方々は結束が強すぎて、それはいいことなんですが、素晴らしいコミュニケーションをしすぎていて外から入っていけない部分がある。間口を広げることが僕の役目なんです」
おおいに共感する。当欄なんか、“軽い”どころか不謹慎の域に暴走することも日常茶飯事である(次回、№93にはとんでもないコラムを入れます)。また、外から入っていけない云々についても、№89で、以下のように記した。
〈メジャースポーツとなるにあたってもっとも大切な存在である「外から入ってきたファン」も内輪の強固さに気圧されるのか疎外感を覚えるのか、遠慮しつつも「サロン」の中心へ近づこうとし、やがて強固な内輪の一員になる傾向がある。ネット上の個人日記を見ていてそういう印象を受けるのだが、どうだろうか。2019年W杯日本大会が成功するには、メジャースポーツ化のための「脱サロン化」という視点が必要かもしれない。〉
大畑さんはタレント業も兼務されているから、ラグビーに関心が低い人と接する機会も多いのだろう。その分、よくわかっていらっしゃる、と思った。
まあ、僕が思想の根っこを同じくすることを書くより、大畑さんが発言したほうがずっと説得力がある。同じ脱原発でも、商店街の魚屋のオヤジが口にするよりは、小泉純一郎氏が突然言い出したほうが話題になるのと一緒で。
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福岡空港からバスに乗り、スタジアムに着くと、前座の福岡工業大学vs福岡大学戦が佳境を迎えていた。両校のメンバー外の部員、父兄の方々の声援の音量から、熱戦であることは、スコアボードを見なくてもすぐにわかった。前日から博多入りしておくべきだったか。ちょっぴり後悔した。東日本トップクラブリーグの決勝、北海道バーバリアンズvs神奈川タマリバ戦がそうだったように、レベルを問わず、宿命のライバル対決はおもしろいものである。
さて、今年からTLは試合前の握手会(シェイクハンズ・キャンペーン)を廃した代わりに、試合後に同様のイベント、グリーティングタイムを設けている。たぶん、昨年、トヨタが催していた、出場メンバーのうち一部の選手が出口でお見送り、というイベントに範をとったのだろう。トヨタだけがやっていた昨年はゲリラライブ的な雰囲気で、僕も近くにいたFL吉田光治郎選手やLO北川俊澄選手に声を掛けたりした。でも、TL挙げてのイベントになり、出口のところに握手会同様の行列ができあがっているのを見ると、子供たちと女性ファンを優先させとかなあかんな、と手前勝手に自粛する心理が働いてしまう。それに、僕は、ジャパンの欧州ツアーの最終戦、スペインとの試合のあと、どっとグラウンドへなだれ込んできた観客が、その後、規律ある行動で記念撮影やサインをお願いしていたような、“秩序ある無秩序状態”というやつをこよなく愛する。そういう意味でも、トヨタのイベントが好きだった(何年か前も花園のスコアボード下の垣根越しに北川選手と話したことがある。こういうときの北川選手に漂う、試合中の激しいプレーとはうって変わったやさしいオーラには、これこそLOの鑑、と思わずにいられない)。
レベスタの試合が終わって表へ出ると、コーラとクボタ、両チームの選手数人と、キックオフボールプレゼンターを務めたモノマネ芸人というか猪木芸人、アントキの猪木さんがファンの方々を歓待しておられた(古くはハンダースの鈴木末吉さん、春一番さん……猪木のモノマネをする芸人さんは30年以上も存在する。本物の年齢からいって、アントキの猪木さんが最後の人になるのではないかな?)。そこでは行列ができるのではなく、三々五々、群がるといった感じで、僕の好きな光景が広がっていた。クボタのHO立川直道選手、№8タキタキ エロネ選手、SH茂木隼人選手にお願いして写真を撮らせてもらった。
3人のうち、一方的ながらもっとも親しみを抱いているといえば、天理大学出身の立川直選手だ。3年目。体が大きくなった。天理の関西リーグ3連覇、最初の年のキャプテンで、さあ優勝だ、という機運が高まっていたころを思い出す。地元から花園へ応援に来る天理ファンは試合を温かく見守るかたばかりで、立川直選手が途中交代でベンチへ引き上げてくるときは決まって、
「ナオ、おつかれ~」
という声がスタンドから飛ぶのだった。
バスで空港へ戻り、喫茶に入って当日の観戦記を書き始めた。そばのテーブルに座っていた客室乗務員の女の子4人が男の話で盛り上がっていて、気が散って仕方がなかったけれども、ボチボチと書き進めていく。店外にあるトイレへ行く途中、地元の小学生たちが書いた空港の絵が一斉に掲示されている場所の前を通り、思わず見入る。みんな飛行機を描いているのかと思ったら、空港ロビーの中の雑踏を描いた絵もちらほら目についた。また、飛行機を描くにしても、窓の向こうの、空港建屋からは見えないはずの乗客の顔までも描いている絵が大半を占めていて、それらに登場する人間の顔が、どれも笑顔でやさしかった。そうした絵を見ているうち、子供たちの曇りのない目を濁らせちゃいかんな、としみじみ思った。それは大人の責任でもある。少々マセていたり、中学生になった男子が女の裸に興味を持つのはまあいいかな、と思うが。
そんなこんなで、気がつくと、予約していた便の出発時刻が近づいていた。搭乗口へ急ぐ。関西空港行きの飛行機に乗り込むと、最前列にはクボタのHC、トウタイ・ケフさんが座っていた。
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