ワンダーランド・なぎさ亭

アクセスカウンタ

zoom RSS 天理、劇的で非情なる決勝トライ 同志社、選手権出場ならず・関西Aリーグ第7節 天理大学vs同志社大学

<<   作成日時 : 2012/12/03 06:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

画像 月が替わると同時に、吹き抜ける風は冬のそれになった。12月1日、スタンドに詰めかけた観客の誰もが真冬の装束に身を包んでいた花園では、関西大学Aリーグ第7節、最終戦の天理大学vs同志社大学の1戦がおこなわれた。関学戦、立命戦など危ない試合はあったものの、ここまで6戦全勝で来て、前節すでに優勝を決めている天理に対し、同志社は2勝4敗。この試合に敗れると、大体、京産と同成績で並ぶ。3チーム間の対戦成績がすべて1勝1敗のため、順位決定は3チーム間の試合における得失点差に委ねられるが、この場合、同志社は6位となる。5位までが出場できる大学選手権出場を逃す、瀬戸際にいた。前節、2位を決めていた立命戦は20×24で敗れこそしたものの、ミスの少ない、中身の濃いゲーム。この分なら天理を相手に好勝負を演じても不思議はないと思わせただけに、楽しみな1戦だった。

画像 風下、天理のキックオフで試合が始まった。同志社は蹴り返さずに自陣から攻め、左展開のアングルチェンジで左CTB木村洋紀がラインブレイクしたあと、さらに順目。SO長井一史のパスをもう1度木村がもらったところで、アシストタックラーの左CTBトニシオ・バイフのノットロールアウェイがあり、1分、敵陣22メートル内へ進出した。7フェーズ目、長井とbW西林宏祐の左ループからカットパス、左WTB中村高大へつないで残り5メートルまで肉薄した場面をFB塚本健太に阻まれ、3分にSH下平凌也が右ショートサイドへパスアウトしたときは、FB宮島裕之が外にいる右WTB廣瀬哲馬に放せず、左WTB松井謙斗に捕まって、タッチを踏んだ。しかし、アタックの継続に進境をうかがわせる入りである。この天理ボールラインアウトが乱れ、同志社は再びマイボール。4分にノックオン、5分にラインオフサイドを犯し、いったんは天理に攻撃権を譲ったが、タップキックで仕掛けた相手が大きくエリアを戻さないうちに、下平がラックのボールをさばこうとしたSH山本昌太にプレッシャーをかけて、ノックオンを誘う。6分、敵陣22メートル手前左のスクラムを起点に攻めた同志社は7分、左オープンで決めてきた。下平−西林−長井−宮島−右FL金本航−中村。西林と長井、宮島と金本のあいだに1人ずつデコイランナーを入れ、中村とカバーの塚本という1対1を作った。対応した天理も立派だったとはいえ、流れながらのタックルでは分が悪い。中村が左隅へトライ。同志社が先制した。

画像 しかし天理は、すかさず1本返す。開始時と同様、キックオフを蹴り返さず、自陣から攻める同志社だったが、右へ振った10分、西林のパスが左LO森山雄に通らない。マイボールとした天理は、山本が右へ走りながら塚本へパス。ここで塚本が金本を弾き飛ばしたことにより、チャンスが拡大した。右CTBモセセ・トンガ−右WTB宮前勇規とつなぐ電光石火のトライを右コーナーへ。同点。同志社は13分、自陣から攻めた天理の左展開、バイフのスローフォワードによって、敵陣10メートル過ぎ右でスクラムを得る。左へ振り、長井に木村がいい角度で入った際、右FL梶間歩のタックルを受けて、ノックオンする一頓挫はあったが、切り返した天理のアクシデンタルオフサイドにより、敵陣10メートルと22メートルのあいだでスクラム。仕切り直しのチャンスが訪れた、右展開の8−9−15。下平のフラットパスを受けた宮島が、カットインでバイフを外すナイスラン。浮かしたボールをキャッチした西林が前進して22メートル内へ進出したが、下平が右ショートサイドを突いたときに、前方にいた左PR北川賢吾がディフェンスの邪魔になってオブストラクション。絶好機を逃した。天理はこのPKで自陣10メートル手前までエリアを戻し、同志社のノットロールアウェイ、ハンドをタップキックで仕掛けるなど、アグレッシブな姿勢を見せて、敵陣22メートル近辺まで攻め立てた、ところが18分、左チャンネル1で、SO白井竜馬がディフェンスのプレッシャーを受けて、ノックオン。同志社は自陣22メートル手前のスクラムからピッチ左を攻めたあと、3次攻撃の右チャンネル1で、西林が力強く裏へ抜けた。塚本を吹っ飛ばして、敵陣22メートル内までビッグゲイン。すぐに右へ振り、木村、宮島とつないだアタックは数的優位。左内に下平、右外に廣瀬がつく最終形ができあがっていて、どちらを選択してもいい感じだったが、下平へのパスが通らなかった。ノックオン。しかし、このスクラムで天理はアングルの反則を犯す。FKをタップで仕掛けた同志社は、ゴール前で力攻めに出て、HO秋山哲平がラック左サイドを突く右中間へのトライ。再び5点のリードを奪った。

画像 さらに同志社は25分、ハーフウェイ過ぎのラインアウトを起点に攻めた天理の4フェーズ目、チャンネル1の梶間を長井が止め、西林が絡んでターンオーバーしたのをきっかけに連続攻撃。木村の左リターンパスを受けた秋山がしぶとく前進したのち、右の狭いほうへBKの人数を配して、数的優位を作った。クイックハンズでつないで1人ずつディフェンダーを殺すか、飛ばすなら空気をヒュンと切るようなフラットパスがベストの局面。宮島が中村へ山なりのカットパスを投じたのは効果的ではなかったが、カバーに止められたとはいえ、ともかく22メートル内へ入った。27分、右展開における宮島から右CTB林真太郎へのパスがスローフォワードになったものの、天理は左LO佐々木順が負傷して手当てを受けており、7人でスクラムを組まざるをえなかった。同志社のFWがプレッシャーをかける。こぼれ球を下平が確保すると、西林がピック&ゴー。再びチャンスを迎えた同志社は29分、秋山、左FL於保学が連続してチャンネル1をクラッシュ。bW中島伴也のタックルを粉砕した於保がポスト右へ駆け込むトライ。コンバージョンも決まり、5×17とリードを広げた。

画像 31分、リスタートキックを於保がキャッチ。これまで通り、蹴り返さずに攻め、左へ振った同志社だったが、天理は宮前が宮島に対し、鋭いダッシュ。強烈なタックルを打ち込んだ。後方へこぼれたボールをキープした同志社は、なおも自陣奥から攻める姿勢。しかし32分、ノックオンにより、天理に好機を与えてしまう。天理は敵陣22メートル過ぎ右のスクラムを起点に、連続攻撃。一連のアタックには、マイナーチェンジが垣間見えた。それまでは果敢に前へ詰めてくる同志社のディフェンスに捕まるシーンが目立ったが、この局面は後ろを通すパスムーヴを使ってきたのだ。7フェーズ目の左展開、9−10−12−13は、バイフが廣瀬のタックルを受けたときには、すでにスピードに乗っていて、倒されないだけの勢いがついていた。34分、バイフのオフロードパスを受けたモセセがトライ。コンバージョンの2点を併せ、12×17とした天理は37分、自陣からひたすら攻め続けて敵陣奥までボールを運び、右展開のチャンネル2で宮前が突破したのち、右ショートサイドの9−10。白井が中村のタックルを外して右隅へ決めた。連続トライにより、17×17。前半終了間際、天理は長井のキックをキャッチした塚本がカウンターランしたあと、右チャンネル1で梶間が右PR才田智をかわし、HO芳野寛へつないで前進。さらに山本が右へパスアウトしたところへモセセが走り込むという震撼のアタックを繰り出した。しかし同志社は、直後の右チャンネル1、白井に於保が絡んでターンオーバー。ことなきを得て、タイスコアの折り返しとなった。

画像 後半最初のトライは、天理。同志社のキックオフをキャッチし、キックを使わずに自陣から攻める。左展開でバイフから右LO青野天悠へのオフロードパスが通ったあと、右へ振った。9−10−15−14。塚本がディフェンスを2人引きつけたあと、ダブルタックルを食らいながら裏を通したのが、決定打となった。宮前の前が開いている。右中間まで走り切るトライ。しかし同志社は4分、自陣22メートル過ぎ右でスクラムを得ると、ショートサイドのエイトアタック。西林が強さと速さを示してビッグゲインし、下平、廣瀬とつないで、一気に敵陣22メートルの中へ。10フェーズを超えるアタックを繰り出した6分の左展開は攻め手の枚数に余裕がなかったものの、宮島のパスを受けた金本が角度のランで決めに行った。宮前のコンタクトを受けながらも、左隅へなだれ込む。22×22。同志社が再び同点に追いつく。

画像 天理は9分、相手ノックオンにより敵陣10メートルと22メートルのあいだでスクラムのチャンスを迎えたが、右展開の8−9−10−12でバイフが抜け出したと思われたところで、白井のパスにスローフォワードの判定。同志社ボールのスクラムで再開となった。天理のアーリーエンゲージをタップで仕掛けた3フェーズ目、才田が左FL唄圭太に止められたポイントで1度はターンオーバーを許したが、切り返した天理、モセセのオフロードパスをマイボールとした同志社が、自陣から攻める。天理がラフプレー、オフサイドと続けてペナルティを犯したのに乗じて、15分、同志社は敵陣22メートルを超えた地点でラインアウトを得た。右展開でレシーバーの下平から西林。ここで背後からすぐ右へ現われた中村につなぐ、タックルターゲットを外しに行くアタックを皮切りに、北川、西林がチャンネル1を突く。右サイドを自ら仕留めにいった下平が佐々木、唄に阻まれてヘルドインゴールとなったものの、5メートルスクラムで好機継続。18分、近場に拘って、アタックラインができあがっていない中、長井と廣瀬が右側へ移動していったときにすぐに振っていれば大チャンスだったが、ワンテンポ、パスアウトが遅れてしまった。ディフェンダーが現われて、長井のパスに手を出す。とはいえ、ノックオンでなお同志社ボールのチャンスである。この敵陣右奥のスクラムを起点に、今度は決めた。7フェーズ目、右チャンネル1で於保がゴールラインに肉薄したあと、右ショートサイドへ展開。長井のパスをもらった西林が前を詰めた塚本のタックルを弾き飛ばし、最後は2人に捕まりながらもボールを持った手をインゴールへ伸ばす。21分、右隅へトライ。角度のあるコンバージョンも決まり、22×29。同志社がリードを奪った。

 しかし天理には、長い距離を、ボールをつないで取り切る力がある。24分、ハーフウェイ手前のスクラムから決めてきた。3フェーズ目の右展開が圧巻。9−10−13−15−14のつなぎで、塚本からバックハンドのオフロードパスが宮前に通ると、内にシャトルランはモセセ。モセセは宮島に行く手を阻まれたが、トライラインは間近だ。3フェーズ目、左へ振って、松井が左中間へフィニッシュした。

画像 27×29。天理が2点差に迫って、死闘の様相を呈してきた。34分、自陣10メートル左のスクラムを起点にした天理のアタックは、8−9の山本のパスが乱れる。塚本がボールへ確保したところへ襲いかかる同志社の勢いは、苛烈だった。乗り越えてターンオーバー。ところが35分、右チャンネル1を秋山が突いたところで北川が倒れ込み。クイックタップで仕掛けた天理は36分、パスダミーを入れて、バイフが突進した。同志社を応援するファンから悲鳴が上がる中、前から林、背後から金本のダブルタックルが決まった2フェーズ後、山本の右へ走り込んだ芳野が、パスのタイミングがわずかにズレてノックオン。同志社は自陣10メートルラインを越えられた程度で収めることができた。同志社はこのスクラムの右8単から、冒険的なパスムーヴを忍ばせ、ボールキープに留意した近場中心の攻めで時間を遣う。ロスタイムは3分。42分、天理のノットロールアウェイにより、PKをタッチへ蹴り出し、敵陣10メートル地点でラインアウトを得た同志社は、このボールをキープして、しばらくやり過ごせば――というところだったが、右LO前田修吏がキャッチミス。天理ボールとなった。すぐさま右へ振り、白井のパスをもらったバイフのゲインを皮切りに、天理が最後の反撃。4フェーズ目、左展開でバイフが秋山をハンドオフで退けながらモセセへパスをつなぎ、敵陣22メートル内へ入る。そして8フェーズ目、山本は右へパスアウト。控えているのは塚本、宮前の2人だけで、同志社のディフェンスの人数も揃ってはいたが、2人ともが、角度と加速のランで崩しにいった。塚本が右斜めラン、パスを受けた宮前も、2組の三角定規を使って平行線を引いたかのように同様。2人の連係によって、同志社の防御ラインが、面から点在に変わった。右端のわずかなスペースを切り裂きにいった宮前が途中出場のFB前田康次郎のタックルを外し、カバーに駆けつけた林のタックルももろともせず、右コーナーへ飛び込む。32×29。劇的な逆転トライ。この試合に勝てば5位へ滑り込んで大学選手権出場が叶った同志社ではあったが、宮前のトライによって、夢はもろくも崩れ去った。しばらくのあいだ、ピッチに膝を突いたまま動けない、同志社フィフティーン。冬の夕陽に照らされて芝の上に長く伸びる彼らの影に、名残惜しさ、悔恨、悲哀がすべて反映されているかのように感じられた。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

画像 試合後、ピッチ上で向かい合って整列し、健闘を称え合う両者。とりわけ、キャプテン同士の抱擁、芳野と西林が肩を叩きあっていたのが印象に残った。西林が、言葉に尽くせぬ思いを、まず相手チームの選手に託す。敗者と勝者における傷心と慰撫の交叉は、尊敬と友情の存在なしには成立しえない。ラグビーというスポーツの魅力、素晴らしさが凝縮された光景だった。僕は今季、試合中に、しばしば芳野の表情を観察していた。春に練習試合を観たとき、彼の背中にキャプテンらしい風格を認知して以来、注目せずにはいられなかったのだけれども、ふてぶてしいとさえ感じるポーカーフェイスが頼もしく思えたものだった。今回と同じく逆転勝ちした立命戦でも、相手のキャプテン、落合佑輔を称える姿に、やはり風格と温かみが兼備されていた。泰然たる人間像に、興味を抱かずにはいられない。

画像 その天理だが、ここ一番に取り切る強さは今季の象徴でもあった。メンタルの強さがうかがえる。昨年のチームは大学界屈指のBKを所有していて、関西リーグでは1度、マイボールにすれば攻撃権を手放さないままで、守備の時間がきわめて少ないゲームばかりだった。今年は、依然としてBKの破壊力は関西トップであるとはいえ、いくらかおとなしくなった感。相手に攻撃する時間を与える試合が多かった。そんな中、対関東勢を見据えて、ディフェンスでミスを誘うか、ボールを奪うかして切り返す力がもっとほしい、と考えている。この試合の個人的焦点はそこにあったが、タックルミスが散見され、僕自身が求めたレベルには達していなかったけれども、最後まで揺るぎないメンタルの強さ、立ち返るべき場所を知っている点は評価したい。今後の展望として、スクラム対策を挙げておく。練習しているとは思うが、クイックヒールアウトの技術をしっかり磨いておきたいところだ。個人的MOMは、宮前にスペースを生む貴重なプレーを評価して、塚本。

 同志社は立命戦の好内容を引き継いで、好勝負を演じてみせた。前へ出るディフェンスの遂行、攻撃時のミスの少なさは、ようやくここへ来てチームが成長、完成したことを感じさせる。春から夏にかけて、練習試合で負けが込んだけれども、個人的には秘めた潜在能力を買っていた。遅ればせながら良い試合ができたことに拍手を送りたい。西林の存在感は、日に日に増していた。天理を相手に健闘できた材料として、それぞれ1トライの秋山、於保、金本の攻守に渡る強さも指摘できよう。また、ピックアッププレーヤーとして、2年生の木村を取り上げる。1年生の林がすでに素質と能力をアピールしているが、木村も常に前が見えていて、相手のコンタクトを芯に食らわないステップ、あるいはわずかなギャップを抜くランコースを瞬時に判断できるプレーヤー。同志社のメンバーにいつも名を連ねているタイプのCTBで、今後が楽しみ。

 クールダウンが終わったあとも同志社の選手の顔は歪み、目から涙がこぼれていた。2012年、同志社のシーズンは12月1日をもって終焉。戦士の痛ましい姿を見つめながら、しかし、と前置きして、胸の内で呟く。――悔しい涙、悲しい涙を流した人間にしかできないことがあるはずなのだ。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。


にほんブログ村 その他スポーツブログ ラグビーへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
天理、劇的で非情なる決勝トライ 同志社、選手権出場ならず・関西Aリーグ第7節 天理大学vs同志社大学 ワンダーランド・なぎさ亭/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる