立命、BK展開で京産を崩す 全勝対決を制して優勝へ驀進~関西Aリーグ第4節(後編)

画像 関西AリーグのTV観戦記、後編は鶴見緑地の第2試合、京産vs立命戦である。開幕戦で関学を下した内容が非常に良く、先週の天理戦にも勝利して負けなしの3連勝で来た京産にとって、立命戦は大きな山場といえた。BKにタレントを擁する京産が、抜群の安定感を誇る立命の堅塁を越えることができるのか。対する立命も同志社、大体、関大に3連勝。優勝候補の下馬評どおりに順調である。今、一番元気のあるチームといっていい京産を相手に同様のゲームができるかどうかが、注目された。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 【●京都産業大学5×31立命館大学○】

画像 前半3分、京産は立命のSH井之上明のパントをマイボールとし、左ショートサイドを攻めて、右WTB城戸慎也が裏へショートパントを蹴った。右FL萩原寿哉が戻ってボールを押さえた立命だったが、キャリーバックで、京産は残り5メートル左のスクラムを得る。しかし、左8単で突破を図った№8高田薫平がノックオン。立命のSO大城海のタッチキックが伸びず、6分、京産は敵陣22メートル内のラインアウトで仕切り直し。モールコラプシングのPKを得て、7分には残り5メートルのラインアウトとチャンスが続いたが、3フェーズ目、SO三原亮太がステップを切り、左CTB山本耀司へつないだ右展開で、山本が右CTB宮本将希の足元へのタックルに倒され、井之上に絡まれてノットリリースザボール。先制機を逸してしまった。このPKでハーフウェイ手前まで地域を戻した立命が4フェーズ目、井之上が右サイドへ仕掛けてリターンパスを放し、右PR西村颯平が敵陣10メートルへ進んだあと、右へ振って仕留める。10分、深めのラインで前に1人、デコイを使った9-10-11。左WTB高木智司がギャップを抜け、22メートル内へ入ったあと、左チャンネル1、左FL中村優樹が空いた前を抜けて右中間へトライ。コンバージョンも成功、7点を先制した立命は12分、中村が右PR浅岡勇輝にコンタクト、ハンドリングエラーを誘ってマイボールとし、左オープンへ振ってから、FB山中駿佑が好タッチキック。相手ボールラインアウトながら、敵陣奥へ進んだ。13分、キックカウンターからツーパス、縦を突いた右WTB吉原浩之介のポイントで京産に倒れ込みがあり、井之上がクイックタップ。14分、ノット10メートルのアドバンテージが適用されたところで、大城がPGを決めた。

画像 0×10とされた京産は16分、PKでノータッチを蹴ったが、キャッチした№8嶋田直人をHO中島裕樹らがタッチへ押し出し、敵陣22メートルのラインアウトのチャンス。チャンスメイカーにしてポイントゲッターの三原が市原らに2人がかりで止められるなど、苦しいアタックとなったが、7フェーズ目、左チャンネル1でフラットパスを受けた浅岡がタックルを逃がす巧みなボディコントロールで1人を外して、ゲイン。態勢を立てなおしたかに見えた。しかし直後の右展開、左LO小川雅人が山中の足元へ刺さるタックルに仕留められ、ノットリリースザボール。好機が潰えてしまった。このPKをタッチへ蹴り出し、敵陣10メートル手前のラインアウトを得た立命は、4次でフィニッシュへつなげる。9-10-12-15の右オープン。先制トライへつながった右展開同様、今度も深いアタックラインだった。左CTB市原淳平が加速してボールをもらい、ギャップを抜ける。外側のラインが市原のランと同じスピードで上がってディフェンスの裏へ出る、完全に崩した形。パスをもらった山中が右コーナーへとトライ。角度のあるコンバージョンも成功、リードを広げた立命は、リスタートキックのポイントをターンオーバーした京産の10次超の反撃を、堅実なタックルで耐え忍んだ。最後は左WTB森田慎也をノットリリースザボールに陥れ、ピンチ脱出。25分、キックの蹴り合いで高木がハイパントを蹴り、自らチェイスして落下点に入ったものの、ノックオン。相手ボールのスクラムとなったが、京産が左へ展開、三原の2人を飛ばしたロングパスを右CTB増田大暉が落球したイーブンボールを、市原が足にかけた。インゴールを向かって転がるボールを追う市原。左ポストの根元に当たって撥ねかえり、ハンドリングエラーが起きやすいところではあったが、きっちり押さえた。コンバージョンも決まり、0×24。

画像 大量ビハインドを背負った京産は33分から36分、自陣奥へ攻め込まれながらも左FL芦塚大和、右FL李智栄(り・ちよん)のタックルが窮地を救い、相手ノックオンとターンオーバーで立命の追加点を許さず、敵陣10メートル過ぎで右LO宇佐美和彦をノットリリースザボールに陥れた41分、ショットを選択する。しかし、FB山下楽平のPGは不成功。山本がドロップアウトのキックをキャッチしてクラッシュしたポイントからワンパス、山下が迷い、HO庭井佑輔らに抱えられてモールアンプレイヤブルとなったところで前半が終わった。

 後半9分、京産はノーボールタックルのPKにより、敵陣22メートル内でラインアウトを得たが、キャッチに失敗してノックオン。立命はこのスクラムから左ショートサイドを攻め、高木がハーフウェイまで前進したあと、右チャンネル1の庭井を挟み、BKの右展開で吉原が残り10メートルまでゲインした。しかし、京産は井之上のパスを城戸がインターセプト。ピンチを逃れる。お互いにチャンスを生かせず、スコアが動かない中、京産は17分、ノットリリースザボールのPKで敵陣22メートル内へ進出。ラインアウトを起点に攻めたものの、チャンネル1で縦突破を図った山本が庭井の足元、宮本が上体へ行くダブルタックルを受け、ノックオン。しかし、地域で優位に立ち続け、23分、右展開で森田が裏へグラバーキックを蹴って自らチェイスした。戻ってボールを確保した宮本のキャリーバックにより、24分、京産は残り5メートル右でスクラムの絶好機を得る。高田の右8単を立命は途中出場の左FL和田健吾、同SH後藤大が阻み、カウンターラックでターンオーバーを狙ったが、倒れ込み。京産は山下が速攻し、そのまま右中間へ飛び込んでいった。

画像 立命は32分、敵陣22メートル内のラインアウトで2-5-7-8、左ショートサイドへつなぐ逆ピールのサインでトライを狙って嶋田がノックオンするなど、ピリっとしないアタックが続いていたが、ディフェンスは変わらず堅かった。京産のアタックにプレッシャーをかけ続け、中島のノックオンで得た自陣22メートルと10メートルのあいだ左端のスクラムを起点に、43分、有終の美を飾るトライで締めた。1次で右オープンへ振り、吉原が山下を外してビッグゲイン。敵陣22メートル内へ入る。吉原は芦塚の追尾タックルにとらえられたが、テンポよくボールを継続し、最後は20-10-21の右展開。途中出場の左CTB南友紀がギャップに照準を定めた位置でパスをもらい、右中間へ抜けた。ゴールも成功し、5×31。京産を一蹴するスコアで立命が全勝対決を制した。



 京産が前半の入り、チャンスをモノにしていれば、いくらか流れは変わったはずである。その後、ラインディフェンスの隙をあっさり衝かれて、京産は立て続けに失点してしまった。アタックに関しては、BKに個性的な面々が揃っているけれども、とりわけ核になる三原と山下が徹底マークされ、彼ら2人、あるいは強い増田、スピードのある森田との連動を絶対許さないという立命の防御にしてやられた感がある。ただ、後半はディフェンスでいいプレーも出て、勉強になったというか授業料を払った1戦ではないかな、と思う。相手のタックルに1発で倒されない、もうひと粘りや、サポートの速さを磨き、このレベルの相手にも有効なアタックが継続できるようになれば、と思わせた。

 この試合の立命のアタックの特徴は、BKラインを積極的に使ってきたこと。チャンネル0、1、2のFWランナーで崩してからというチームなのに、いきなり外へ展開するケースが多かった。報道を通じた首脳陣のコメントによれば、京産は防御ラインの対応に弱さがあると分析したという。フラットな浅いラインが全盛の昨今だが、立命は深いラインで仕掛けた。後方へ通したところからフラットパスでリズムを変えるパターンは昨年、何度か観られたが、そうではなく、ラグビーを題材にした映画やドラマを撮るときに設定するような、オーソドックスなラインアタック。それに対し、京産のラインディフェンスは浅いラインを相手にするときの詰め方で、立命のラインが深い分、「半詰め」の状態。見た目の陣形だけをみれば、そこからタッチ際へ立命を追い込むプッシュアウトへ移行すればいいと思うかもしれないが、そういうシステムにはなっていなくて、凸凹していた(内側に残っている選手も多かった)。深い位置でもらった立命の選手には、穴がはっきりと見えたはずである。前半の2トライへつながった高木や市原の突破が象徴的だった。こういうアタックもあるぞ、という知識を他チームに植えつけた意味でも、大きな勝利である。タックルが確実で2人目のアシストタックラーが速いディフェンスの堅牢さは相変わらずで、フィジカルも及第点。気の早い話だが、大学選手権で関東のチームと当たれば、勝つ可能性が高いか好勝負になるチームの割合のほうが多いのではないだろうか。少し気になるのは、優勢を保っているのに取り切れない時間帯があること。リードを奪って安心したのかもしれないが、前半の終盤から後半の序盤にかけて、アタックのサポートが遅くなっていた。2節の大体戦でもそうした面が見受けられている。ひとたびタックルが決まり出すと相手にとって厄介、ブレイクダウンが巧い、という感想を立命に持ち始めたのは5年くらい前からと記憶するが、3年ほど前までは取り切れない時間帯が1試合全部に及ぶか、2、3試合に渡る不振となって表われる傾向があった。今いるメンバーの安定感からいって、そこまで酷い状態にはならないが、今後へ向けた課題ということはいえるだろう。残りが何分という時間の味方を得ることなく、自力で相手の心を折る――無慈悲にたたみかけることができるようになれば、関西制覇は単なる通過点だ。大学選手権の準決勝以上が十分に狙えるチームである。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。

にほんブログ村 その他スポーツブログ ラグビーへ
にほんブログ村

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック