神戸、HB団のゲームメイク上々 ルルーの奮闘で粘るキヤノンを下す・TL第1節B 神戸製鋼vsキヤノン

画像 13日、待望のTLが開幕し、各地で熱戦が繰り広げられた。全8試合の中で唯一、15日の日曜日に組まれていたのは神戸製鋼コベルコスティーラーズvsキヤノンイーグルスの1戦。プレシーズンリーグで優勝、好調が伝わってくる神戸は、W杯へ出場したジャパンのメンバーが3人、先発に名を連ねるとともに、FB正面健司が100キャップを達成するメモリアルゲームでもあった。対するキヤノンは2ステージ制でおこなわれた過去2年、8強入りを果たし、上位進出を虎視眈々とうかがう新進気鋭のチーム。今年からLOへ転向した菊谷崇、そしてWTB小野澤宏時とベテランも健在で、好勝負が期待された。ユニバー記念競技場に詰めかけた観客は7863人。昨季までの1試合開催時より、およそ2倍という数字だった。

 神戸のキックオフで試合が始まった。最初に好機をつかんだのは神戸。前半1分、自陣10メートルのラインアウトから攻めた5次、SHアンドリュー・エリスが左裏、敵陣22メートル付近へハイパント。捕球態勢に入った右WTB森谷直貴にチェイスの左WTB山下楽平がプレッシャーをかけ、ノックオンを誘った。ピッチ左でスクラム。しかし、キヤノンはここでFWが8人一体となって押し、スクラム・ターンオーバーでピンチを脱した。蹴り合いを経た3分、神戸は自陣からFB正面健司が真上に近い角度で上げてしまうミスキックを蹴ったが、キヤノンはSH天野寿紀がキャッチミス。こぼれたボールを前方にいたHO庭井佑輔が拾ってしまうオフサイドを犯した。敵陣10メートルと22メートルのあいだでラインアウトを得た神戸は5次、9-5-12と右へ回した所で左CTB南橋直哉がトイメン12番、三友良平のタックルに倒され、ブレイクダウンのこぼれ球を右LO宇佐美和彦にセービングされたものの、ほどなくキヤノンのミスによってチャンスがめぐってきた。SO山中亮平のキックがインゴールへ達したドロップアウトで、キヤノンはSO橋野皓介がダイレクトキックを蹴ってしまう。神戸は敵陣22メートル地点でラインアウトを選択し、208センチのポートタワー、右LOアンドリース・ベッカーにスローを合わせる王道のサイン。モールを組み、プラットフォームをきっちり固めてドライブした。左ショートサイドのディフェンダーが1人になったタイミングで、右FL橋本大輝とエリスが意思疎通を図り、橋本が左へ持ち出して防御を引きつけてパス。6分、エリスがストレスフリーのランで左隅を陥れた。山中が角度のあるコンバージョンを決め、7×0。神戸が幸先のいいスタートを切った。

画像 8分、キヤノンは敵陣10メートルでラインアウト。神戸は№8谷口到がタップでスチールしたが、キヤノンは地面のボールを右PR城彰がセービング。そこから9-10-12と左へ展開した。神戸は防御ラインをすぐに整え、橋本が内から外へのプッシュアウトで激しく前へ出ていくタックル。三友を後退させ、HO木津武士がボールへ絡もうとした。被ターンオーバーの危機に焦ったキヤノンは右CTBティム・ベネットがボールの上へ倒れ込んでしまう。敵陣22メートルへ進出した神戸が連続攻撃を開始。浅い位置にFW、後ろにBKが立つのはセオリーとはいえ、FWの囮の使い方、ファーストレシーバーにしたFWがBK展開を匂わせるなど、防御側にとって読みづらい陣形で攻めていた。必然的にキヤノンは神戸の出方をうかがいながらの守りになる。よく対応してはいたが、相手を見る時間がある分、受けに回り、コンタクトで食い込まれていた。8次、9-6の右で左FL安井龍太がパスダミーを入れてゲイン、そこからBKが浅いラインに切り替えて9-10-13と攻めたのは巧い組み立て。11次、左チャンネル1の谷口が天野と三友のダブルタックルに止められた中央のラックから、9-6の左。安井がラック後方の死角から現われるシャドウプレーで前進する。その左には逆サイドからやはりシャドウランナーで右WTBアンダーソン フレイザーがついていた。これも絶賛したいアタックで、パスが通っていればほぼトライだったと思うが、惜しくもノックオンに終わった。

 しかし神戸は直後、橋野のキックをキャッチした正面がカウンターラン。敵陣10メートルと22メートルの中間左のラックから9-10-7と右へ回し、三友のタックルを受けながら橋本が順目へオフロードパス、ベッカーが敵陣22メートル内へ入る。キヤノンはベネットがアンクルタップ。なんとかベッカーを倒した。直後、左PR勝木来幸がピック&ゴーで前進したポイントがラックアンプレイヤブル。13分、スクラムで仕切り直しとなった神戸は14分にノットロールアウェイのPKを得て、残り5メートルでラインアウトの大チャンスを迎えた。ジャンパーのベッカーが早々に倒されてラックになったあと、左順目のワンパスで攻める神戸。ところが4次、左チャンネル1のベッカーがベネットと森谷のダブルタックルを受けてノックオンした。ベネットがスマザータックルで巴投げみたいにして倒す所へ横からボールにコンタクトした森谷の好プレーだったが、その後も山中、エリスが好キックを蹴った神戸は引き続き地域を制圧する。キヤノンはエリスのキックを菊谷が触れてハーフウェイでタッチ、橋野が自陣5メートルでノックオンしてタッチへ逃すといった具合に、神戸をアシストしてもいた。後者のプレーで神戸はラインアウトを選択し、ジャンプなしの速いタイミングで木津が手前の左LO伊藤鐘史へ投入。すぐにモールを組んだ。簡単に見えるプレーだが、試合の中で、ジャンプのない速い投入で整備されたモールを組み切れるチームはあまりない。キヤノンのモールディフェンスは完全に後手を踏み、菊谷が横から入るオフサイド。それによってモールが崩れた21分、レフリーはペナルティトライを宣告した。

画像 山中のコンバージョンも決まり、14×0。キヤノンは先の反則を犯した菊谷がシンビン処分を受け、10分間、1人少ない状況を余儀なくされる中、23分、キックキャッチのFBマイケル・ボンドがキックカウンターで仕掛ける。止めにいった山下楽の右腕が首近辺にかかるハイタックル。キヤノンは敵陣22メートルでラインアウトを得た。22メートル内のセットピースはこの試合初めてである。ところが、№8アダム・トムソンが最初から離れた位置に立っていて、レシーバーが2人いる状態。反則をとられてしまった。26分にも山中のダイレクトキックにより、敵陣22メートルでラインアウトのチャンスがあったキヤノンだが、庭井のスローが曲がり、ノットストレートで逸機。28分、キヤノンはトムソンがスローをキャッチした自陣10メートルのラインアウトモールが前後に割れ、ボールキャリアの天野が絡まれてしまった。ターンオーバーした神戸は右オープンへ振る。しかし、ハンドリングエラー。キヤノンはルーズボールを左WTB小野澤宏時が足にかけた。神戸は自陣5メートル付近右へ転がるボールへ山中が先着する。ここで小野澤がセービングする山中に対してチャージする反則を犯した。またもチャンス拡大がならず。ハーフウェイまで地域を戻した神戸はクイックモールからエリスの位置でハイパント。キャッチした橋野をフレイザーが倒し、後続が乗り越えてターンオーバーした神戸は右PR山下裕史が左へパスアウト、谷口が前進し、9-10-13の左展開を経て、左順目の狭いほうで9-10の左。キヤノンはボンドと橋野がきっちりカバーし、自陣22メートル内で山中をタッチへ押し出したが、直後のラインアウトで終了前にラインオブタッチを超えるオフサイドを犯してしまう。31分、神戸は残り5メートルでラインアウトの絶好機。キヤノンは手前の伊藤に投じられたスローを、宇佐美が素早い反応でスチール。橋野のタッチキックで事なきを得た。

 ここまでまるっきり冴えないキヤノンに目の覚めるようなトライが生まれたのは、33分だった。ハーフウェイのラインアウトが起点。菊谷がスローをキャッチしたモールをドライブ、サイドの防御がいなくなった隙を衝き、トムソンが左サイドへ飛び出し、橋本とエリスのタックルを外して敵陣22メートルへ入った。そして右CTB今村雄太の追尾タックルに倒されたラックから、左オープンへ振って仕留める。右FL嶋田直人がパスアウトし、10-12-13-15、両CTBが防御を引きつけるわずかなタメを作り、ボンドが左隅へ駆け込むスペースが残った。14×5(三友のコンバージョンは不成功)としたキヤノンは36分、ハーフウェイで神戸ラインアウトを左FLアイブス ジャスティンがスチール。左チャンネル1、嶋田が低い姿勢でクラッシュした。ここでベッカーがノットロールアウェイ。敵陣22メートルへ進出したキヤノンは3次でピッチを左端まで使い切ったあと、右へワンパスで庭井。ここで神戸は今村がラインオフサイドを犯し、アドバンテージ採用後の38分、キヤノンは三友が手堅くPG。14×8として前半を折り返した。

画像 後半の入り、キヤノンはキックオフの蹴り返しのボールをハーフウェイ手前で確保し、2フェーズ後、ピッチ中央のラックから9-5-7と右へ回した。宇佐美のノールックパスがスキルフル。そこから人数を多めに配した右へ回して9-15-7-8、ボンドがFWとのミスマッチを衝いてパスを放し、嶋田が山下楽のタックルを受けつつオフロードパス、ピッチ右端でトムソンがコンタクトに屈せず、おどろおどろしくゲインした。そして左へリターンパス、菊谷が残り10メートルへ達し、9-10-2-12-11と左オープンへ振る。ハンドオフで辛抱した小野澤だが、フレイザーらにタッチへ出されてしまう。左端にアイブスが控える陣形で、彼をブレイクダウン要員にしたラックを作ってもいいかなとは思ったが、小野澤のもとへ行ったサポートプレーヤーの数は神戸のほうが多く、粘りに行くのが正解だっただろう。結果、タッチへ出されただけの話である。でも、幸いのことにラインオフサイドのアドバンテージがあった。2分、ショットを選択したキヤノンは三友がPG。14×11、3点差に迫った。

 神戸は6分、相手ノックオンにより、ハーフウェイ左でスクラム。キヤノンは低い姿勢でプレッシャーをかける。8-10の左、山中がショートパントを蹴ったのは、谷口のパスが低く、足に近かった分ではなかったか。エリアを考えれば悪くない選択である。山下楽がタッチ際を走り、ワンバウンドでボールを手中に収めたが、橋野のタックルによってタッチへ出された。キヤノンは自陣22メートルでラインアウト。ところが、スローが合わなかった。後ろで城が捕球したものの孤立、橋本のタックル&ジャッカルによってノットリリースザボールに陥れられた。9分、神戸は手堅くPG。17×11とすると、13分、相手ノックオンにより、敵陣10メートルと22メートル左端でスクラムを得た。2フェーズ目、9-10-12の右展開でショートパスをもらった左CTB南橋直哉がしぶとく前へ出る。三友にボールへコンタクトされ、ノックオン。15分にはスプリングボクスでバリバリのレギュラー、FBへ投入されていたウィリー・ルルーのタッチキックによって自陣22メートルと10メートルへ後退させられた神戸だったが、エリスが真上に近い角度で蹴ってしまうミスキックを自らの好捕で帳消しにして主導権を握り続ける。3フェーズ後、9-14の左、キヤノンのディフェンスラインが外側を上げ始めていたところで、フレイザーが橋本とともに近場へフラットに走り込んでパスをもらったのはいいアタックだった。ここでキヤノンは、フレイザーを止めた天野がプレーオンザグラウンド。18分、神戸はショットを選択した。山中のPGは左へ逸れ、追加点はならなかったが、19分、橋野のキックにエリスがプレッシャーをかけて空振りを誘い、右PR山下裕史がセービング。すぐに9-2-6-13と左へ振った。今村が左隅へトライかと思われたが、そこへ飛んできたのはルルー。寸前でタッチへ出されてしまう。しかし、オフサイドのアドバンテージがあった。21分、神戸は山中のPG成功により、20×11とした。

画像 キヤノンは22分、相手キックをキャッチしたルルーを起点にハーフウェイ付近で連続攻撃。4次、9-23-4-8の右展開から左リターンパス、森谷へつないだあと、9-10の左、橋野が後ろへパスを放した。ところが、菊谷がハンドリングエラー。神戸は安井がルーズボールを拾って前進する。ルルーが止めたキヤノンだったが、庭井が倒れ込み。神戸は敵陣22メートル手前でラインアウトの好機をつかみ、右順目を3フェーズのあと、左チャンネル1を挟んでラインブレイクする。9-2の左、浅い位置に立っていた木津が後ろへ放し、10-12と左へ展開。山中の前でベッカーがデコイランナーとなって突進する二層攻撃に対し、キヤノンの防御は混乱をきたしていた。南橋の前にはぽっかりとスペース。菊谷のタックルを浴びながら、右についたベッカーへオフロードパスを放した。狂暴化したキリンのごときベッカーの走り。左中間へのトライを誰もが確信した瞬間、ルルーがカバー防御に来た。インゴール内、スマザーでベッカーを引き倒し、ボールの下へ体を入れるトライセービングタックル。ベッカーを相手にこの芸当をやってのけるFBが、世界にどれだけ存在するか。まのあたりにできただけで幸せというシーンだった。

 しかし、ヘルドアップインゴールであるから、残り5メートル左でスクラムと神戸のチャンスが継続する。思いのほかスクラムで手を焼いていた神戸だったが、この局面はコラプシングのPKを得た。26分、山中がPGを決め、23×11。しかしキヤノンは、ここまで今村とベッカー、神戸の2つのトライを防いだルルーが今度はアタックで観客を魅了した。キヤノンはリスタートを右へ蹴り、森谷がチェイス。キャッチする山下楽のノックオンを誘い、敵陣22メートル右端でスクラムを得た。21-10-12の左展開、フラットパスを受けた三友がまっすぐクラッシュしたあと、21-10-23と左へ回す。27分、ルルーが一瞬の加速で狭い防御間を抜け、あっというまに左隅へ疾走するトライ。神戸のディフェンスラインのプッシュアウトが遅れたのかと思ったが、リプレイを観るとそうでもなかった。ラインブレイクは橋本と今村のあいだ、わずかなスペース。狭いからこそ通常よりプッシュアウトが鈍る面はあったかと思うが、この種の守備局面で橋本が抜かれることはあまりない。通常の感覚をはるかに超越していたということだろう。これを観た他チームは戦々恐々、ルルーに絶対スペースを与えてはいけないと肝に銘じたに違いない。

 三友が角度のあるコンバージョンを決め、23×18。キヤノンは1トライで同点、コンバージョンが決まれば逆転というところまでこぎつけてきた。両者とも、エリアを意識した慎重なゲーム運びへ移行する。キャノンは30分、相手ハイパントキャッチから自陣で攻めた2次、21-23-10の右展開でルルーのパスがやや低く、橋野がノックオン。神戸は敵陣22メートル内左でスクラムのチャンスを迎えた。8-9-14の右展開から9-10の右、山中が外側へランで仕掛けた所へ正面が逆サイドから回り込んできて、角度で防御を切り裂きに行く好アタックを繰り出したが、山中のパスに正面がわずかに間に合わず、ノックオン。惜しいプレーだった。35分、神戸は敵陣10メートルのラインアウトを起点に左の順目を攻めた3フェーズ目、9-10-15-11の左展開で正面のクイックハンズパスをもらった山下楽が前進したが、22メートルを越えた地点で森谷と小野澤にタッチへ出された。そこからハーフウェイを挟んで地域獲得を狙うキックの攻防を経て、37分、キヤノンはルルーが右ショートサイドへスワーブラン。左へリターンパスを戻した。しかし、橋野が山下裕の肉弾タックルに刺さられてノックオン。神戸はハーフウェイ左でスクラムを得た。キヤノンはここでFWが乾坤一擲の押し。組み勝ってホイールし、マイボールスクラム。逆転勝利へ望みをつなぐ。ところが1次、21-10-12と左へ展開した際、三友が落球。万事休した。神戸が粘るキヤノンを振り切り、開幕戦に勝利。地元ファンを喜ばせた。


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画像 キヤノンはラインアウトの獲得率が8/12、ハンドリングエラーが11をかぞえ、反則も12と、以上に挙げた数字だけで、神戸に27回も攻撃権を譲った計算になる。それでいて5点ビハインドの敗戦、ルーズポイントを挙げることができたのは地力があると解釈できるし、2つのトライセーブに1トライ、15点分の貢献をしたルルーさまさまともいえる。逆に、巧く戦っていれば勝っていたという考え方もできよう。キヤノンはキックの蹴り合いよりもカウンター攻撃をしてリズムが出るチームだ。TLでいえばトヨタと同様、ボールを手に持って攻めてこそという面がある。キックを蹴るにしても、仕掛けて相手防御を動かしてからスペースを狙っていくのがいい。ところが、神戸はキックコントロールとチェイスの関係が精密なチーム。神戸がミスしてくれない限り、キヤノンがキッキングゲームで優勢に立つのは困難だった。後半は片側にアタッカーを多く配置、しかも深めに立つ陣形に突破口を求めて功を奏した。こうしたスペースの小さい人為的な数的優位に対し、防御側は自然現象としてその場で対応していく待ちの姿勢になる。いざとなればタッチラインを味方にすればいいというような。この状況で強さとハンドスキルに優れたFW(トムソンや菊谷)が加速して当たり、相手に乗っかってオフロードパスをつないでいくアタックが効いていた。昨年も1stステージのリコー戦、サントリー戦あたりでエグいシーンを見た記憶があるが、このチームはオフロードパスが通り出すと脅威だ。それだけにもっとポゼッション(ボール保持率)を上げて攻める場面を増やしたかった。キック処理を含めたディフェンス局面で橋野とボンドがよくポジションチェンジしていたが、攻める際にも、たとえばセットピースで三友がクラッシュしたあと、スペースのある所のファーストレシーバーとしてランが得意な橋野やボンド(あるいはルルー)が適宜ポジションチェンジしてボールを持つ変化をもっと加えられるといいだろう。いずれにせよ、大いになる可能性を秘める。今後の試合に注目したいチームだ。今回、称えたいのはスクラム。組み勝つ場面が何度かあった。ジャパン流の低い姿勢で組んでいて、強化が着々と進んでいた。

 神戸はキッキングゲームの絶対的優位性があった。相手ラインアウトにもいいプレッシャー。前半、完全に主導権を握っていた。14×0で迎えた同31分、残り5メートル地点のラインアウトでスチールを許さず、トライを取り切っていればもう少し楽な展開になったかもしれない。アタックに関してはバリエーションが多彩になっている印象。キックをベースにゲームを組み立てる分、昨季はトライレンジが狭く、フィジカル寄りで若干単調な気もしたけれど、この試合は前FW、後ろBKの重層的な陣形でスペースへボールを運ぶとともに相手ディフェンスと駆け引きしていくような面が見てとれた。シャドウランナーの使い方も巧い。最後はハンドリングエラーが出て得点できなかったとはいえ、前半9分、敵陣22メートルのラインアウトを起点に攻めた連続攻撃は以上の工夫に溢れていた。ベッカーがルルーのトライセービングタックルに阻まれた後半24分のアタックも、木津が前でファーストレシーバー、後ろへ放したBKを使う好ましい形。このあたりの二層攻撃は、パナソニックにちょっと似ている。ディフェンスは強いランナーにゲインを許したものの、まずまずだったか。ただ、プレシーズンリーグの決勝戦で指摘したと記憶するが、タックル後、相手側へ倒れてしまうケースが少し目につく。ここは修正しないと、狡猾なチームと戦ったとき、接点に閉じ込められてノットロールアウェイをガンガン取られることになるかもしれない。あと、気になるのは、試合中の波が少しあるかなということ。メンバーは揃っているし、MOMを受賞したエリスと山中の正確なキックは魅力。チェイスやFWのハードワークも関係するが、彼ら2人のジェネラルキックが他チームよりも抜きん出ていることによって頂点に立つことも可能だと思う。エリスと山中が何を考えてプレーしているのか――ということへ常に思いを馳せながらゲームを観るのも一興であろう。

付記 本文中、選手名の敬称は省略としました。


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